紙の本
怨嗟の鎖は断ち切れず、ただ引きずって進むだけ
2009/03/08 14:29
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
「国富論」もしくは「諸国民の富」と翻訳されるアダム・スミスの著作がある。この中で彼は、個人個人が各々の利益を目指して行動することによって、本来全く目的にしていなかった社会全体の富の向上を達成することができる、というようなことを説いている。これを導くものが有名な、見えざる手、というやつだ。
取引が成立する唯一の条件は、買い手と売り手が合意することだ。通常、それぞれはそれぞれの意思に基づいて判断し取引を実行するが、最近では決められた法則に従ってプログラムが自動処理をする取引というものも存在する。この結果として、仮に"見えざる手"が変な場所に導いてしまったとしたら、誰を罰すればよいのか。形のないものを罰することはできないので、犠牲の山羊を供して鎮静化を図ることになる。
冷めないスープ、と呼ばれる領有権が未確定の荒野。そこに、残酷号と呼称されることになる、圧倒的武力をもった何かが降り立つ。それは、そこで虐殺されかけていた難民たちを救出し、その後は世界を転々としながら、弱い者を助けていく。
誰が、何のために、何をする、あるいはしたのか。それが明らかになって行くごとに、残酷号と行動を共にするロザン、レギューン、千兆帝ロードマンなど、様々な者たちが、過去の残照に導かれるように一点に収束していく。訪れる未来が幸いかどうかは最後まで分からない。
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やっと出ました新刊!!!
イラストが金子一馬氏でなくなったのが
少々、不服ですが・・・。
思ったよりはイメージ崩れなかったのでよかったです。
そしてこれ、前作に若干かぶってて
それの内容をあんまり覚えていなくて・・・。
読んでて、また一巻から読みたくなりました。
EDがあまり登場しなかったのが残念でしたけど、
事件シリーズは上遠野さんの中で一番ですね。
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前作の「禁涙境事件」から4年も経ってしまって…
もう続刊は出ないのかと半分諦めていました。
ミステリ色は薄かったですね。
レギューンの最期の悟りとか、ラストのEDの謎解きが
「ナゾ」の部分だったのかもしれませんが、
最初から興味がなかったので…すみません。
正直、どうでもよかったです。
最大の読みどころはストーリーだと思いますが
前3作ほどの感動には及ばなかったです。
これもすみません。
作者のあとがきはとても興味深かったです。面白かった。
それにしても毎回、度を超した天才や超人ばかりでてくるし
ブギーポップに似てきたような…
ところで風の騎士って、もっと紳士的なイメージがありましたが
あんな事する人だっけ?!とビックリ。
もう一度、前の作品を読み返してみなきゃ。。
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久しぶりに事件シリーズの新刊でたと思ったら挿絵が金子さんじゃなくなってるとか…。
ダメージ受けまくりです。
1冊目でたときには、それも売りだったのに。悲しい話。
話的には前回の禁涙境に出てきた残酷号のお話ですが、なんだかまた話が広がっているようないつでも収められるような。
思わず、前の巻とか読み返してしまいました。ぐは。
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−知らぬ、知らぬ
一遍の歌を巡り、太古の実験を経て。
現れたるは「類は怪人、名は残酷」
たった一人の少年が、守れなかったという後悔を胸に。今度は守ると言う決意を意志に。助けを求める声に空を掛け現れる。
恐ろしい姿に反して、彼は弱者に安堵を齎す。
その裏にある複雑で様々な社会など関係なく。
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残酷。―それは人生そのものか。酷薄なる運命のことか。積み重なりし理不尽に対し、怒りと共に選ぶ道のことか…残酷号と呼ばれる謎の怪人が戦火の絶えぬ世界に降り立つ。無敵の力をふるい暴虐の軍と闘うその正体は、心を喪失したひとりの少年、義賊ロザンは少年を救おうとするが、その前に立ちはだかるのは、怪人を生み出した元凶―邪の極ともいえる敵だった。歪んだ世が悪を生むのか、人の性が悪ゆえに世が歪むのか。なくした心を探し求める残酷号に未来はあるか。
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過去の話と現在の話のシンクロについては上遠野さんの真骨頂、今作でも相変わらず。
背景世界と「残酷号」との関わりは読んでて切なくなりました。
今作はミステリ色は薄れましたが相変わらず面白かったです。
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2010年7月6日 読了。
今回からこのシリーズの挿絵家さんが変わってます。ちょっと残念。
もともと購入からかなり経っての読了なので、前回までの内容がほとんど忘れてます。
なので、特に前作との関わりのところでは”どんな話だったけ?”と考えてしまう始末。
それは、ほかのシリーズでも似たような物なのだけど……。
それはともかく、今回のお話はほかのお話と比べて”後味の悪さ”があります。
『犯人』を追求しきれないなんて……。
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イラスト、正直言って金子一馬から換えてほしくなかった;
そのせいだけではないとはいえ、事件シリーズの中でも私の中ではこれが一番評価低い。
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表紙・挿絵が金子一馬氏ではなくなったのですね。表紙・挿絵目当てで購入していたので、これはかなり残念。
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事件シリーズでは一番新しい一冊。
上遠野浩平さんの著作はブギーポップから大方読んでいる。一番多く著作を読んでいる作家は、実は上遠野さんではないかと思う。不思議な魅力にあてられて、つい手をとってしまうのである。
上遠野さんの小説はさながら面白い哲学の講義のようで、冒頭でまず問題が出されるわけです。
「さあじゃあこれについて考えて見なさい」
そして、読者に考えさせながら並行して物語という一つの「例題」で導いていく。最終的に物語は終わり「この例題ではこのような答えが導き出されました。さて、あなた達はどんな答えを見出しましたか?」と問いかけたところで都合よくチャイムが鳴るのだ。教室から出て行く先生はのっぺらぼうなのに、ニヤニヤと笑っているようでなんとなく悔しい想いがあるのだけど、少なくともその時間はあっという間で案外有意義だったと納得してしまう。
相変わらず抽象的な説明で申し訳ないのだけど、実際、繊細で溢れる感性を感じさせる文章でもなく、感動的で読む者が涙してしまうようなストーリーでもない。
しかしながら、引き込まれてしまうのである。それは構成や演出、文章などそういった個々に分けることをしないで、あくまでも全体をひっくるめた小説というものを通して本質的な部分に語りかけてくるからではないだろうか。
本書で登場する残酷号の凄いところは距離が関係ないところだ。どんなに遠くても痛みと助けを求める声を聞けば駆けつけて行く。物理的な距離というのは、それだけで色んなものを麻痺させてしまう。例えば、アフリカの子供が飢餓に苦しんでいますと言われても私達がするのはせいぜいが募金程度だ。けれど、目の前に骨と皮だけの子供がいて助けを求めたらなんとかしなければと思うし、行動を起こすだろう。
現在のインターネットは精神的な距離を縮めたかもしれないが、物理的な距離は埋められない。そのことに注目している人は少な過ぎるような気がする。
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カドノ式自動的変身ヒーロー活劇。
このシリーズ久しぶりだったのでなかなか人物が頭に入りにくかったけど、じわじわと伏線回収されていくのが面白かった。
残酷号△
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正直、ヒースロゥやエドにもっと活躍して欲しいんだけど、今回はあまり出番なし。全体的に楽しめたけど、もう少し残酷号の心の内を掘り下げて欲しかった、イマイチ彼の動機に納得できない。
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前の禁涙境事件からかなり年月が経っての出版で待ちわびていました。
でも、イラストが金子さんから変わってしまったのがかなり残念です。
イラストも楽しみにしていたのですが、世界観は気に入っているので続けて読んでいこうとは思っています。新書で買い続けている小説はこれだけですので・・・。
内容は残酷号の大活躍と苦悩といったところでしょうか?
ファンタジーにミステリーが薄まり、ヒーロー要素が追加されて少し異色でしたが相変わらず面白いです。登場人物のロードマンが名前の響きが気に入っていたりします。
次巻は「無傷姫事件」
何年後に発売されるか分かりませんが、気長に待ちます。
おそらく月紫姫が出てくると期待・・・。
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ヴァルプルギスに釣られての再読。
絵師が変わってせつないです。
お話もせつないです。
2022.3.13再読