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昔の「マリア様が見てる」的小説。
エッチな関係はなく、耽美で美しい描写が沢山。
溜息が出ます。
個人的にはダーリアという短編が好きです。
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名高い「花物語」の上巻をようやく読み終わりました。感傷を誘う美文に一点の曇りもない清らかな乙女たちの讃歌であります。美しい乙女と歳上の美しい女性が惹かれ合い、悲しい結末を迎える…そんな展開が花になぞらえつつ金太郎飴のようにループしているのですが、これがどっぷり浸れます。ああうるわしきエスの世界。悲劇もまた美の女神に捧げられたもうた美酒であるのか!
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クララアグネス白書のしーのが愛読する
1920年ごろ(大正末から昭和初期)書かれた少女小説短編集
家族の愛情や同性の友人との友情はあっても
異性との恋愛はないのが90年前であり
少女小説なのかと疑うところだが
そのくすぐり感傷を誘うつくりは確かに今のままである
とはいえ少女マンガならともかく
氷室冴子せんせ以降のライトノベル的少女小説の多くは
恋愛以外の感傷を必要としていないが時代のゆえか
独特の修飾で綴られたかくありたしという
美意識よりなる本作の文章は
いわゆる「少女小説」でなく
姫野カオルコ作品のようなあちらであろう
少女より上の女性をさすことばがないのであちらとしかいえないが
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花の名前を冠するお話の短編集で、花の様に儚い少女たちのお話。
上下巻を通して思ったのが、比喩が情緒あって美しいということ。
「双のひとみに露は結ばれました」
「泣きぬれた女の瞳のように、灯がうす赤くぽっとつきます」
「三日月の銀の挿櫛と浮かぶ頃」
….なんですかこれは!
胸の奥がきゅうっとなるような、切ない表現がたくさんあって、それだけでも読む価値はあると思う。
そして、色の表現がとても良い。
上巻の「あやめ」の雨の尾張町(グレー)の中の、差し掛けられた傘のうす紫の柔らかい翳、濃紫に白さも交じるあやめの花の一束…そして、優しい人の黒髪と可愛く紅さいた唇
……想像すると、ほうっと溜息が出るぞこれは。
他にも色々とあるけれど、それは読んでからのお楽しみ。
私は少女小説が割と好きだけど、下巻は上巻とは雰囲気がまた違った。
私自身、女子校に通っていたが、やっぱり「お姉さま」と言う雰囲気の先輩はいたなぁと懐かしく思った。
全編を通して、なんだかとってもノスタルジーを感じた。
私の祖母の家から見る、山へ沈む夕日を思い出して、切なくなった。
私は鬱金桜が一番好きだった…
心が荒んでいる時に読むと、純粋な少女たちの話に触れることが出来て、気持ちがすーっと楽になる…
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言わずと知れた名作を。
中原淳一の挿絵が有名だけれど、こちら河出書房新社さんの新装版で。
矢絣のお召の着物に、海老茶の袴。女学校などを舞台に繰り広げられる、女の子たちのときめきに溢れる日常が、花の名を冠した作品で綴られる短編集。
憧れの上級生、可愛い下級生、聡明な級友。街で見かけた美しい奥様、地元の海辺で出会った可憐な人。
でも彼女たちは決してふわふわした夢の時間を送っているわけではなく、しかと地に足をつけて生活している。彼女たちは理想を求め、常に世界と抗う。学び学び、追い求める。時に父母なき妹弟の姉として。病に伏した人の友として、姉として、子として、そして本人として。
「女子は結婚し家庭に入るもの」とされていた時代、男性がほとんど登場しないこの物語を読んだ女の子たちはどれほど勇気づけられただろう。女の子たちはただ庇護されるべき存在ではない。女の子たちはお互いを慈しみ、励ましあい、手を取り合い、自らの信念の元に生きていくことができるのだ。
初期〜中期のお話が好きだな。友情よりも少し強いけれど、愛情まではいかない繋がりが生まれ、育まれ、切なさのなかに消えてゆく。
特に好きなお話たち↓
❁*。上巻
・コスモス
・紅椿
・雛芥子
・三色菫(少し毛色が違うけどこれはこれで切ない)
・露草(このお別れが切な苦しすぎる)
・寒牡丹
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初版は1920年代。当時の思春期の少女たちを一様にセンチメンタルな気持ちにさせたであろう、数々の物語。
実は一編の長編小説と思い込んで購入。
ショートショートのようにごく短いそれぞれのささやかな物語には、同世代の少年や青年は全く登場せず、少女たちの憧憬の対象はあくまでも年上の少女であり大人の女性である。清く純粋な少女たちの一夜の夢のようなストーリーを通して当時を思った。
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今更多くを語るまでもない名作少女小説です。ほんとに素敵なお話しかなくて、忘れてるかなと思っても、ほとんど覚えております。褪せることなく燦然と輝く、それは花物語! 100年前に読まれていた物語ですよ、それでも今尚読み継がれているのはやはり美しいことです。「はしがき」を書いている時の吉屋さんに報告してあげたいですよね。下巻もおいおい読もうと思います。
すごく悩んだ末、上巻で1番好きな話をあげるなら「雛芥子」かなぁ。「雛芥子」のページに、すごく感動したであろう付箋が3枚も付いていましたので(笑)
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1916年から1925年にかけて書かれた少女小説集。はしがきに「日支事変勝いくさの第二年目」とあるのが時代を感じます。上巻は三十三篇を収録。友情を拒まれるその理由がつらい『白菊』、慈善病院でいやいやながら働いている看護婦が自らの仕事の尊さに気づいていく『ダーリヤ』、ミッションスクールの寄宿舎に逃げ込んできた富豪の妻とルームメイトの儚くも激しい友情『燃ゆる花』の三篇が心に残りました。
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いつか読まなければと思ったまま積んではや数年、やっと読むことができました。具体的な感想は下巻の方で!
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少女小説としてももちろん、短編集のお手本としても読むべき価値のある作品。どの短編も僅か数ページで読者の心に細やかな感動を与える。嶽本野ばらが影響を受けているのがよくわかった。