紙の本
身も蓋もない人生論
2009/07/07 23:37
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:tammy - この投稿者のレビュー一覧を見る
「はじめに」に、
”非合理な楽観論で甘やかしたりするのは徹底して避けた。悩みやトラブルへの対処は、まず現実を直視することから始まる。”
とあるように、また、「解説」で蝶々さんに叱られるくらいに、合理的に考え、現実に向かった人生相談集となっています。
慰めて欲しい人には不満もあるのでしょうが、これは作者が本気で相談に乗っている、本気で悩みを解決させようと考えている証であると私は感じました。
これほど、合理的に考える方法を教えてくれる書き手はあまりいないのではないか、と思います。
例えば、このように、
悩み:「彼氏が画家を目指してフリーターに。(P.82)」
答え:”同じことをずっとやっていても、まったく飽きることがないというのが、才能なんです。(P.83)”
”何かを望む場合、たいてい夢ではなくて現実なんです。(P.83)”
悩み:「貯金をするのがバカバカしい気がします。(P.44)」
答え:”たとえば40歳になって、容姿も衰えて、トレーニングをしてないからお金を稼ぐ手段もなくなって、結婚もしてないし信頼できる友人もいない。何も無くなった人が、「私は20代のときに華やかな生活をして遊んできたからもういいの」と、言えるのか。僕は言えないような気がする。(P.45)”
悩み:「28歳から夢を目指すのは遅い?(P.42)」
答え:”28歳という年齢について言うと、遅いということはありません。でも22歳と比べると不利です。それだけの話です。(P.43)”
これらのやり取りに、私は勇気をもらいました。
興味を持った皆さん。まずは本屋で立ち読みでも良いと思います。
自分の人生に視線を向けるきっかけになるかも知れませんよ。
紙の本
あなたは甘えています。
2009/08/15 20:00
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
「わたしは甘えているのでしょうか?」(27歳OL) 村上龍 幻冬舎文庫
自分の給料が安いと訴える人がいます。だけど、給料が高い人は、ストレスがいっぱいの毎日を送っています。長時間労働で責任も重い。24時間、仕事のことだけを考えながら過ごしています。命をお金にかえています。健康や家族を犠牲にしながら稼いでいます。
この本は、この本の冒頭にもあるとおり、夢や理想を助言するのではなく、「とりあえず今を生き抜くための村上龍氏からのアドバイス」となっています。
相談内容が短文であるためか、相談者の背景がわかりません。相談内容は、本来、相談者が自分自身で考えて、解決していくべきことが書かれています。切り捨ててしまえばいい人間関係を切り捨てることができずに、いじいじとしている相談者ばかりです。物事を割り切れて、線引きができたら楽になれます。考えあぐんでもきりがないのです。
自分はこのことについてこう考えるのだが、村上さんはどう判断されますかという問いかけ手法のほうがいい。
村上氏は、小説家として取材結果に基づいて助言をしているのですが、取材は一時的、一面的なものです。取材された側は、取材する相手に自分の都合のいいことしか返答しません。結局、実際にその場にいる者、あるいは、そこで働いている者だけが事実を知ることができるのです。
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現実的に、順序だてて、思考しよう、って思いました。
社会人になって、お金もらって、自立しよう。
結果、だそう。
自分が何を求めてるのか、現状の何が嫌なのか、ちゃんと知ろう。
まともな本。
いろんなアルバイト経験したい。
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27歳前後の女の人が持つ、社会、人間関係、将来から友達関係の不和までを村上龍さんに相談する本。
「私は甘えているのでしょうか?」という問いになんだか共感さえ覚えてしまうけど、村上龍さんはそこで「そうだよねえ、つらいよねえ」と一緒に悩んでくれるような人じゃなくて、「何故甘えていると思うんですか?おかしくないですか?」と言ってくれる非情に現実的な人でそこがいいなあと思いました。
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「転職したい」と考える自分の気持ちを
より客観的に捉えてくて、パラパラめくって購入してみた。
後書きの人、好きじゃないな。
なんでこの人が後書き書いたんだろ。
まぁ、そもそもこの本にちょっと期待持ちすぎてました。
男目線の客観性という点においては秀逸と思いますが、
なんせ質問する女たちが自分と一線を画するものっていうか…
幼いっていうか、ちょっと違う気がして、
ゆえに思っていたものとは違うものでした。
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帯の『一般的な「幸せ」や「理想」。そんなものは幻想にすぎない。』に惹かれて読んでみた。
はじめに、がこの本の全てのエッセンスを物語っている。
・悩みやトラブルへの対処は、まず現実を直視することから始まる。
・とりあえず最初の一歩を踏み出すためには、もっとも深いところで 自分自身を肯定することが必要
・そういった過程では、「元気に頑張る」よりも「とりあえず生き抜く」という 価値観がより重要になるのではないか
この3つで全ての解答は成り立っている。
読んでいて思ったのは、この3つさえちゃんと考えられれば、悩むという事なんてあり得ないのかもしれない、という事。この本を読んでいて、なんとなくわだかまりを感じたのは、自分がこの3つをしっかりできておらず、自分の事を指摘されているかのように感じたからかもしれない。。だから☆1個マイナスで笑
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何せ20代後半から30代前半のOLが対象だから、悩み事が超リアル。
村上龍の答えも、そうですよねぇと元気づけられるものや、それを言っちゃあ・・というミもフタもないものもたくさん。
でもこの非情な回答がかなり笑えます。
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この人にしかできない、という能力があれば、絶対にそのひとを選びます。
自分が何をしたいのか、がわからない限り、不安は晴れないのです。
仕事がつまらなければ、趣味に打ち込んでもイキイキできないでしょう。
あまり他人と自分を比べない方がいいですよ。
日本は人と同じことをしないと、というプレッシャーが他の社会よりも強すぎます。
必要なのは、定年までいてください、と言われる能力や技術なんだと思います。
タレントでもないのに、テレビや雑誌にヒョコヒョコ出てくる人は信用しない方がよい。
本か洋服かという問題でなく、有効にお金を使うことが大事なんです。
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村上龍が雑誌上で読者からの質問に対して答える。という形式のもの。単純にそれだけ。なんだけど、これ読んでいるとこの人の根底の価値観とかが垣間見れて、それはとてもとてもクールであり、現実的であり、でもどこか希望を持っていて。そういう意味ではこの作家のことをより知るという意味でいい一冊だったかな。と思う。(10/1/15)
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よく見る番組の司会者。TVの中では冷静沈着・淡々と喋るイメージだけど本の中では?と思い読んでみた感想―全く同じ!
まるで私が叱られているような錯覚になって胸がチクチクした。毒舌だけど本質を突いた発言。。。重みを感じます。
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タイトル&村上龍買い!
仕事や恋やお金のことで悩んでいる若い女性の悩みに村上龍がドライな愛で答える!と言った内容。女性の質問は、本当にこんな質問して来たの?と言った感じのものばかり・・・でも実際にこういう悩みを持っている人たちってたくさんいると思うのである。そして他人の目からして見ればバカバカしい悩みであっても本人にとってはこの上なく切実だったりする。そんなこと、村上龍はわかりにわかっているんだろうなと。
一つ一つの答えを見ると、友人でも何でもない他人の悩みの又聞きだったりしたら、ズバッとサラッと言ってしまう答えを、村上龍は本当にズバサラと言ってくれているのである。相談者は、おそらく友人に言われたら、「何でそんなひどいこと言うの?私は聞いてほしかっただけなのに・・・」と思うのであろうが、村上龍に言われたら、納得するのであろうか・・・でもでもそれで前に進めるとしたらそれはそれで良いと思うのであったりする。
そしてこのズバサラの答えを反芻してみたりして。
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27歳前後で人生で悩んでいる女性たちの質問に
村上龍がシビアに応えていくスタイルの小説です。
下着から何から最高の服で決めて、彼氏と高級レストランでおいしいものを食べて、素敵なセックスをして、「よかったわ」と思うのも大事なことです。
大事なんだけど、それを続けるのはやはりリスクがある。
たぶん人間は、そんな思い出だけでは生きていけないんです。
と鋭い考察を読み進めていけます。
・言い訳しないで自分で動く
・フェアであることを大切にする
・リスクをとった上で、楽しんだり勝負する
・強くて美しいものをたたえ、弱く醜いものに厳しい
と村上龍の魅力も解説で
記述されている通り。
悩みやトラブルへの対処は、まず現実を直視することから始まる。
本質をずばり多面的に捉えるところが教えていただいた部分であり
かつ、村上龍の素敵な部分です。
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村上さんははっきりものをいう人だなと思った。優しい言葉をかける感じではなかった。打たれ弱い私にはグサッとくる言葉がちょこちょこありました。でも…なるほどな。と思うところも結構ありためにはなった。
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2011/09/25読了
蝶々さんの解説まで含めて、よかった。村上龍さんのスパッと切る感じと、蝶々さんの、それでも女子はただ聞いてほしいだけのこともあるのよーっていう感じ。
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村上さんはほんとうに、いまの時代を曖昧な言葉で表現しない人だと思った。勘違いできるはずもない言葉で、世の中にたいしてばさばさっと切って行く。