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紀元前60年くらいに作られ、1901年にアンティキテラ島沖の沈没船から引き上げられた謎の機械の約1世紀にわたる解明の歴史を綴ったもの。たいへん面白い科学史の本である。はじめて、復元模型をつくったプライスは、中国科学史家のジョゼフ・ニーダムを師とし、SF作家アーサー・C・クラークの助言も受けていたそうで、大変興味深く読んだ。プライスの欠点を補い、ほぼ正しい模型をつくりあげたマイケル・ライトは、博物館の学芸員でありながら、余暇を利用し、機械の解明にうちこみ、離婚や離職の危機、仲間のプラウニーの裏切りなどに悩みながらも、地道なX線撮影をこなし、職人の目線から機械の解明を行い、遊星歯車をもつ惑星の位置を表示するプラネタリウムであるという説をたてた。CTやCGを使って解明に挑んだフリースもまた、面白い人物である。とにかく、30個ものギアを組み合わせ、5つの惑星の動き・月の速度変化まで反映し、食を予測するというような、天体を精緻にモデル化した機械が紀元前につくられていたという事実は、科学史を大きく塗り替える発見である。中国の技術が機械時計に流れこんだというニーダムの理論は修正をしなければならない。
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古代ギリシアの科学・技術のレベルの高さに驚かされます。
ただ、アンティキテラという装置の謎を解く研究者たちのドラマがメインになっていて、メカニズムに関しては、あまり詳しくは語られていません。なんとなく、とても複雑な装置が存在したということはわかるのですが...
大人の科学とかで、出してくれないかな...
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2000年前の沈没船から出てきた謎の物体を解き明かそうとする研究家達の100年の物語。
カンブリアの本を読んでいるような気分になりますね。
研究書に近い内容であまり噛み砕かれた解説はありません。
一時オーパーツとして名前が挙がっていたので聞いた事がありましたがこういうものとは・・・。
この上なく重要な発見ですが、得たいの知れない物なので、
合間合間でテキトーに放置されて劣化したり…というのが人間の悲しい歴史って感じがしますw
SF作家のA・C・クラークが出てきてビックリです。
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NDC:502
古代ギリシア時代に作られたとされる謎の機械装置を解明していく。
つい最近まで研究され続けていたことを考えると研究者たちの熱意に脱帽である。
技術的な部分が多いのは仕方ないと思いつつも、やはりわかりにくい。
しかし、内容としては面白かった。どう考えてもコンピュータだよな。
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「本物のオーパーツ」を真摯に科学的に分析していく過程は実に魅力的。イギリスあたりでドキュメンタリー番組になっていておかしくない。というかそんな感じのを見たい。
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2000年前の機械がどうこうよりも、アンティキテラの機械に魅せられた学者さん達のえげつないまでのイニシアチブの取り合いが香ばしい。
人類の遺産の写真に(C)がついてるのが滑稽々々。
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1 海底より現れしもの
2 ありえない
3 「戦利品」
4 科学史は塗りかえられた
5 大胆な推理
6 19世紀のコンピュータがふたりを結びつけた
7 すべては解読の名誉のために
8 最強の布陣
9 みごとな設計
10 アルキメデスの影
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内容(「BOOK」データベースより)
発見された2000年前の沈没船、引き揚げられた奇妙な謎の機械、その機械の内部には、複雑な歯車の構造があった。歯車による入力と出力の自在な変換は、中世の時計の発明を待たねばならぬはずだった。それが蒸気機関と結びついた時、「産業革命」が興り、数字と結びついた時、コンピュータは生まれた。二〇〇〇年前のギリシア人がつくりあげたその機械―アンティキテラ。いったい誰が何のために創った機械だったのか?大興奮必至の科学ノンフィクション。
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面白い!世界ふしぎ発見、あるいはプロジェクトXのファンにお勧め。
難破船から回収された古代の謎の機械、誰が、何のために作ったか?ハリウッド的設定だけどノンフィクション。わくわく一気読みした。ただしメカに弱すぎて読んだだけでは解明された構造を半分くらいしか理解できず。。手にとっていじれる復元モデル付録があったらよかったのに。アテネで本物が見たい。
私は超高度な文明を、享受してはいるけど、生み出してはいないし、理解してもいない。急に心許ない気分になった。ロードス島だかシラクサだかの2000年前の技術者に、あんたすごいな!と言いたい。
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このすごい機械?コンピュータ?を作ったのはいったい誰なのか。
構造が解明された今でも知的好奇心をくすぐられます。
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ギリシャの海の底に沈んでいたオーパーツを巡る、研究者たちの物語。天体を観測するための機械なんだけれど、古代にありながらほとんど現代的な機構で、これが古代のコンピューターであるのも頷ける。
話としては順序立てて進んでいくのだけれど、これがあまり物語としての推進力を生み出していないような気がした。もう少し面白くなるような描き方があったと思うのだけれど、これは構成の練り込みが甘かったのかもしれない。
アンティキテラの機械を最新の分析装置によって調べて、用途不明の歯車が天体観測の機械であることが分かるところはエキサイティングだった。これ、誰も興味を払わなければ、博物館の倉庫で眠ったままだったのかと思うと、偶然というのは価値があると思う。さらに、この装置の製作者を考察するところも面白かった。
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地中海の沈没船より引き上げられた異形の物体・・・オーパーツの謎をめぐって繰り広げられる一世紀にわたる科学者の戦い!
医学生としては、潜水技術の進歩にて生じたベンズの危険を顧みず沈没船からの引き揚げ作業を行った序章から楽しめました!
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自然現象を機械でシミュレートしようという試み、天体を歯車で再現しようとする過程から生まれた様々な歯車の機構は機械式計算機、やがて今のコンピュータへと繋がります。そういった発想と技術が古代ギリシア時代からあったとは驚きでした。
機械を発掘する過程での潜水夫の話、また機械を解明しようとする人達の悲喜こもごもも面白いです。
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2000年前のギリシャ人が作った装置を発見から解明されて行く過程を興味深く記載した良書。youtube等の動画と合わせて観るととても興味深い。特にX線により解明された内部の歯車の構造はすばらしい
Antikythera Mechanism Part 1: by Nature Video
http://www.youtube.com/watch?v=DiQSHiAYt98
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2009年刊。過日、ETV放映の「地球ドラマチック」で紹介されていた古代ギリシャの天体運行周期表及び食カレンダーの解明過程を描く。測定装置の発達が、新たな事実と内容を確定する。こういう研究史の面からも有益な書。また、結論は明快だが、数学的計算、アルゴリズムを複数の歯車にて行う実益、機械装置の発展への寄与(時計、動力装置)は忘れてはならない。さらに、この装置が、アラブと異なり、ローマにて保存・継承しなかった点は、ローマの軽視した科学技術、測定技術、それらを研究開発する人材、社会制度の重要性を物語っていよう。