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紙の本
次の展開への橋渡し(?)的な1週間の出来事
2009/06/12 23:25
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
これまでの『プロローグ+本編3話+エピローグ』の構成とは異なり、雅人の1週間の幸と不幸を綴った第5巻は、同時に外神雅人邸(テント)の倒壊から奇跡の復興(プレハブ)、そして束の間の栄華の後に訪れた再度の破壊までの顛末にもなっている。
【月曜日-幸運の女神】大雨でテントが倒壊して濡れ鼠になるだけの話なのに、とっても幸せな気分になる。なぜなら雅人とキチの2人が実に楽しそうで幸せそうだから。読後感が心地よい。
【火曜日-神狼】天草沙代と雅人が本格的にコンビを組む話。天草さんの正統派ツンデレ振りが今回も冴えている。バトルもあるが敵が敵だけに微笑ましいもの。P.69の挿絵は結野嵐子かと思った。
【水曜日-ニノミー】今度は二之宮良子の話。二之宮さん視点で書かれた、友人達との距離感や淡い乙女心の描写が上手い。奇しくも天草さんと同じような思いに至る雅人の無防備な寝顔は破壊力抜群のようである。
【木曜日-怪物】二之宮(兄)が怪物として誕生する瞬間である。つまり怪物化するようなことが水曜日に起こったということ。笑える。
【金曜日-白と氷の輪舞】ここですぐに二之宮(怪物)が現れずにトトの話が挿まれる構成が巧み。キチの不在時にしっかり雅人邸のベッド(この頃が栄華のピーク)に忍び込むトトの抜け目なさが微笑ましい。今回、キチへの対抗意識を露わにする言葉を二言だけ発する。
【土曜日-史上最年少特命霊的捜査官】ラヴを除く本巻のメインイベント。とうとうヤツがやって来る。前回のカッパをも凌駕する常軌を逸した二之宮(怪物)の所業が描かれる。何しろ忠実に描かれた挿絵が最早人間ではない。雅人邸あえなく破壊。さらにはキチの不在からか思わぬピンチな雅人の末路も少し情けないものに。ただ、助けに現れた天草さんへの印象が良くなり、ここで早くも究極の選択に迫られる雅人である。この選択は日曜日にも訪れるが結果は次巻に引き継がれる流れとなる。ちなみに、天草さんは火曜日の頃から雅人の隠れた本性について気にするようになるが、この好奇心を無自覚な恋心と絡めているのが上手いと思う。
実はこれまでで最も頁数が少なく、いつにも増して短いセンテンスや改行が多い本巻だが、本が薄くても内容は薄くなくて「いい仕事してます」である。そして挿絵が物凄く頑張っている。可愛らしい絵(と怪物のおぞましい絵)がいっぱい詰まっている。
今後の興味第一は、雅人邸の破壊により雅人とキチが誰の家でご厄介になるかだが、二之宮さんの何かしらの決意や天草さんの想いなど、ラヴ要素が表面化しつつあり、今後の行方をさらに楽しみなものにさせている。
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