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読んでいて示唆に富んでいたり、面白い点は多かったものの、作品全体として見たときに「じゃあ、一体何が言いたいんだろう?」という感じだった。
本書は、一般的な経済書というよりは、著者自身が本文で書いていたとおりエッセイなのだろう。そう考えれば、なんとなく雑然とした構成も理解できるし、知識人たちをこき下ろしているものそれなりに痛快ではある。
どうしてこの本がアメリカで100万部以上も売れたのか不思議でしかたない。というのも、本書の内容は決して万人が理解でき、且つ読みやすいものではないと思ったからである。この点は、僕個人の知的レベルが低いのか、理解力が乏しいのか、あるいはアメリカの一般ピーポーがこの分かるようアン分らないような作品を読むことによって、知的虚栄心が満たされるからなのか、良く分からない。
そういった意味では、読んでみても損はない作品かもしれない。とにかく僕にとっては微妙で印象的な1冊であった。
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言ってることは、なんとなく分かる。。。ちょっと分かりづらい。。。訳が悪いのか?使ってる用語の意味が伝わらないのか?。。。もっと、内容のあることを筆者は言ってるようなのだが。。。もう少し、関連した本を読みたいのだが。。。ちょっと、結論はまだ早いよね。。。
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● ある事象が起こる可能性がどれぐらいかわからなくても、その事象が起こったらどんな影響があるかはちゃんと把握できることがある。地震が起こるオッズはわからないが、起こったらサンフランシスコがどんなことになるか想像はできる。意思決定をするときは、確率(これはわからない)よりも影響(これはわかるかもしれない)のほうに焦点を当てるべきなのだ。不確実性の本質はそこにある。
● 電車を逃して残念なのは捕まえようと急いだときだけだ!
● 自分の土俵を自分で決めれば、自分の人生がそれまでよりずっと思いのままになる。
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ブラック・スワンの下巻。
いよいよ数理経済学者が切って捨てられています。ブラック=ショールズ=マートンの方程式がずたずたで、いかさま呼ばわりです。金融危機前にこの強気は褒められてしかるべきなんでしょうね。
フラクタルのマンデルブロがかなり手厚く扱われていたりします。複雑性の科学の話はCG以外で何かの役に立っているんだろうかと思っていたりしたのですが、こういうところに出てきたりするんですね。
好きな言葉、ルイ・パスツールの言葉がよい意味で取り上げられています。
Chance favors a prepared mind - 「運は準備を怠らない者に味方する」と訳されていますが、色んな訳し方があるんですね。
ちなみに15年前にギリシアに行ったときに、黒い白鳥(きっと白鳥)がいるのを見ました。珍しいので写真も撮っていますが、黒い白鳥にしか見えません。これって何だったんでしょうね。
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★確かに正規分布は胡散臭い★立ち読みで上下巻をざっとなので読解不足ではあるが、投資のリスク管理が正規分布を前提としすぎることに対する疑問や不満に答えてくれる。100年に一度の危機が起こりすぎるのはやはりおかしい。それに対応する投資手法として、資産の8~9割を短期国債のような超安全資産に振り向け、残りはベンチャーや発明など滅多に当たらないが当たればリターンが予期できないほど大きい(その意味で宝くじはリターンが予測できるので適当ではない)に振り向ける。つまり「良いブラックスワン」を取りに行くという。なるほど。
【上巻再読100510】書いてあることはシンプル。人間は過去にとらわれて未来を予測しすぎる。自分が分かっていないことを分かっていない。後付けの講釈をとりたがる・・・。読むのに面白いが、エッセンスはもっと絞り込めそう。とはいえ、冒頭の著者の”自伝”部分はやはり興味深かった。レバノンの混乱も今となっては多民族国家だけに当たり前に思えるが、戦争が起こる以前はとても考えられなかったという。まさにブラックスワン。だからと言って著者が不確実性の問題を考えるようになった「原因」と見なすのは誤りだと注意深く書かれてもいるが。それにブラックスワンに賭けるだけではデリバティブトレーダーとしては仕事にならず(チャンスがそんなに多くはない)、逆にこうしたまぐれに振り回されないようなポートフォリオで稼いでいたというのが正直かつキモだろう。
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ブラックスワン下巻。
ようやく読み終わる。
内容的にはものすごく面白かった。
ガウス分布の存在意義を全面的に否定しているが、それを覆せる理論はないだろう。
俺は、ベル型カーブに汚染されていたけど、今ひとつその効用を信じきれていなかった。
今回、タレブの主張によって、新たな視点が開かれた気がする。
この本を読んだ後の道程は決まっている。
そして、俺はハイエク・マンデルブロの本も準備済みだ。
正直、これ関連を突き詰めると、今の仕事を考えなおす時期は近いのかもしれない。
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『第11章 鳥のフンを探して』
・反復期待値の法則.強法則.将来のある時点で何かを期待すると今期待するなら,その何かを今すでに期待していることになる.弱法則.予測ができるくらい将来を理解するためには,その将来自体から来た要素を取り込まないといけない.すなわち,将来発見される科学技術が分かっていないと,将来は予測できない.でも,そんなものがわかっているならほぼ自動的に,すぐさま私たちはその科学技術の開発を始められる.
・ポワンカレの有名な「三体問題」
・七面鳥の問題を思い出してほしい.それまでの過去を振り返って,将来に関する何かのルールを導き出す.でも,同じ過去のデータが一方で何かの仮説を裏づけ,同時にまったく逆の仮説も裏付けてしまうかもしれないからだ.
・将来のものごとを予測せずにいられないのは,それが進化の一面だからのようだ.一つありうる仮説.予測を行う能力を正しい形で,本能的な反応の代わりに使えば,私たちは,即座に働く第一次的な自然淘汰からうまく逃れられる.
『第12章 夢の認識主義社会』
・知識に関する謙虚さについて考えよう.「認識主義者」.私にとっての理想郷は認識主義の社会だ.
・私たちは過去の経験を振り返って学ぶことができない.私たちは物忘れがひどく,将来における自分の情緒の状態を予測するとき,過去に予測を間違った経験が活かせない.
『第13章 画家のアペレス,あるいは予測が無理ならどうする?』
・人は損をすると恥ずかしく思うことが多い.だから,ボラリティがとても小さく,でも大きな損失が出るリスクのある戦略をとる.
・「バーベル」戦略.可能な限り超保守的かつ超積極的になることであり,ちょっと積極的であったり,ちょっと保守的だったりする戦略ではない.そういうやり方をすれば,間違ったリスク管理に頼らずにすむ.計算できないリスク,自分に害をなすリスクを刈り取るのだ.
・意思決定をするときは,確率(これはわからない)よりも影響(これはわかるかもしれない)のほうに焦点を当てるべきなのだ.不確実性の本質はそこにある.
『第2部のまとめ』
・私たちには何が起こっているかなぜわからないのか.①知識に関するうぬぼれのせいで,未来を見るのに不自由だから.②プラトン的な型のせい.つまり,人は簡略化したものにだまされる.③欠陥のある推論の道具のせい.とくに,月並みの国でつくられた,黒い白鳥の出てこない道具のせい.
『第3部 果ての国に住む灰色の白鳥』
『第14章 月並みの国から果ての国,また月並みの国へ』
・マタイ効果.彼は科学者の業績を調べ,最初に有利な立場に立つと学者人生を通じてずっと追い風を受けられるのを示した.現代マスコミが現れて,マタイ効果はいっそう強くなった.
優先的選択の理論は直感に訴えるものがある.でも,新顔に地位を奪われる可能性はやっぱり考慮できていない.
『第15章 ベル・カーブ,この壮大な知的サギ』
・ガウス型カーブで大事なのは,ほとんどの観察結果が月並み,つまり平均近辺に集まっていることである.そこから剥離した���果が出るオッズは,平均から離れるにつれて急速に小さくなる.
・ヨーロッパのお金持ちの分布は,平均値から離れるにつれて急速に小さくならない.一定だ.これが月並みの国と果ての国の違いである.
『第3部のまとめ』
・私がものを考えるとき,黒い白鳥に立ち向かう部分は,決して安易に済ませられるようにはならない.でも,私のような態度をとっていると,カモになるのを避けるのに加えて,どんな振る舞いをするかの決まりごとができる.
『第4部 おしまい』
『第19章 半分ずつ,あるいは黒い白鳥に立ち向かうには』
・分でつくったゲームなら,だいたいは負け犬にはならない.ありえないことが起こる危険にさらされるのは,黒い白鳥に自分を振り回すのを許してしまったときだけだ.自分のすることなら,いつだって自分の思いのままにできる.だから,それを自分の目指すものにするのである.
----------以下感想----------
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ある予想を立てても、起こる事象はただ一つ。だから、統計も歴史を分析しても突発事象に関しては無力であると説く。くたばれベル型カーブ!
クリスマスまでの七面鳥の運命、コイントスでの続けて20回表が出て次は?表裏1/2づつ?否、コインに偏りあり!よって「表」!。
下巻は半分近くが引用紹介と索引。まさにブラックスワン。
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第11章 鳥のフンを探して
第12章 夢の認識主義社会
第13章 画家のアペレス、あるいは予測が無理ならどうする?
第3部 果ての国に棲む灰色の白鳥
第14章 月並みの国から果ての国、また月並みの国へ
第15章 ベル・カーブ、この壮大な知的サギ
第16章 まぐれの美
第17章 ロックの狂える人、あるいはいけない所にベル型カーブ
第18章 まやかしの不確実性
第4部 おしまい
第19章 半分ずつ、あるいは黒い白鳥に立ち向かうには
エピローグ
謝辞
訳者あとがき
参考文献
注解
用語集
索引
基本的には上巻と同じ主張。「世の中の現象を予測する事ができる」という考えは間違っているということ。これらの主張の中で歴史(現在→未来、現在→過去)すらも例外ではない。
・現在→未来
「歴史的な事件を予測するには技術進歩を予測する必要があり技術進歩は本質的に予測できない。」(ポパーの主張の核心)
上記の説明は、反復期待値の法則からいえる事である。
反復期待値の強法則:将来のある時点で何かを期待すると今期待するなら、その何かを今期待している事になる。(彼、彼女の浮気を明日分かることが今日の段階で確実であれば、今日それは分かっている)
反復期待値の弱法則:予測が出来るくらい将来を理解するためには、その将来事態から来た要素を取り込まないといけない。(中世の時代の予測でに蒸気機関や電気の発明を予測しているようなこと)
現在→過去
溶ける角氷の実験で、溶けてしまった角氷の元の姿を推測することが不可能である事。実験を使わない歴史においてリバースエンジニアリングは不可能である。歴史家の「講釈」を楽しむには十分ではあるが、仮説をつくったり、一般的な知識を得たりする場ではない。
また、この世の中は不平等に出来ている。マタイ効果や優先的選択の効果により富、アイディア、言語に集中化が進む。)。集中によりできた強者はいつも黒い白鳥の脅威にさらされる。ロングテールにより集中化の様相は変化したが、依然脅威である事は間違いではない。
つまり、この世の中はベル・カーブで説明できるものではない。
予測の出来ないところでの作者の投資戦略は、「バーベル戦略」:85%-90%をものすごく安全な資産に投資し、残りの10%-15%をものすごく投機的な賭けに投じる。作戦としては、
a:いい偶然と悪い偶然を区別する。
b.細かいことや局所的なことは見ない。
c.チャンスや、チャンスみたいに見えるものには片っ端から手を出す。
d.政府の持ち出す、事細かな計画には用心する。
e.「世の中には、分かってないけどそう教えてはいけない人たちがいる」
上記のように戦略の展開を行っているが、実際は懐疑的実証主義者として理論よりも実践を重んじるような人間くささが伺える。
強烈に黒い白鳥の事を述べられてたが、最後に皆がこの世に生まれてきた事自体が驚異の確率で起こったことであり、それこそがまさに黒い白鳥であり感謝すべきこととしているところがお茶目��面白かった。
よく引用されていたマンデルブロ、ポパーの本を読みたくなった。
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下巻は全ページの2/3ほどで内容が終わる。あと、おしまいだけ読めば「ああそれがいいたかったのか」と思う。
それに至るまでは多少、読むにあたって統計学の知識があった方が楽に読める。無いとつまらない章があるので、まあそこは飛ばせばいいんだけど。俺が大学の卒論で引用した本が出てきて、その本に書かれている形で使うのはどうかなあ的なことを著者は言っていた。でも、そのまま卒研発表でしゃべっても誰もつっこまなかった。やはり多くの人が受け入れる普遍性でもってものを言うとこんなもんである。だからこそ逆にノーベルとか出た時にわーわーなるんだろうね。
”数学者は経験的にそうなると物理学者が見つけたと思い、物理学者は数学者が数学的にそうしなければいけないと信じてると思っている”
いうてますけどね、でまあ感想はポパーやハイエク、モンテーニュなどここ数年の短い読書歴の中に出てきた人がいっぱいな御陰もあってか、随分繋がりが見えてよかったなと。というのも、おれが浅はかながらにも思っていたことを、学のある人間が同じように考えてる節があるという点で気持ちがよかった。しかし、これがベストセラーと言うとそれもまた複雑な話で、多くの人の不確かな確信を持ってこの世は動いているはずなのに、いざ反証という形を示したこの本が売れるというのはどこか不自然である。
ブラックスワンだって気付く頃には本来のブラックスワンの意味からは少し遠ざかるように思う。そうやって定まらないとこをずーっと、逆位相の波の中で泳げるのがブラックスワンなはず。
だからこれを読んだ人で納得してしまった場合、その人はまだブラックスワンにはなりきってないのかもしれない。
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難しいことはよくわからないが、著者が言いたいことは
私のとって気持ちのいいものでした。
ただこの本を細かい内容まですらすら読みこなすほど
私には知識がないのであります。
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経済学者との対比や、科学的である事と現実を見ている事の違いなど、上巻よりもより具体的に語られています。
しかし、このブラックスワンを知った上でもなお、理論化された世界からは離れられそうにない。私は現実を知らないのか。
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・リスクのとり方
-大きなリスクに10%、安全なリスクに90%、中途半端なリスクはだめだ(はずれ値が起きるため)
・ガウス分布(正規分布)が、一部の拡張可能な事象にいかに当てはまらないか
を延々と語る下巻。正直上巻のほうが面白い。
が、この本はよくある、自分の知識基盤に知識を上乗せする知識を与えてくれるのではなく、新たな見方や知識の基盤となるものを提供するので非常に面白いです。
ガウス分布を検定するときってANOVAで分散調べてるんだけどそれさえも意味ないというのなら、拡張可能な現象についてはガウス分布は当てはめちゃだめだと。
でも人々はある程度の期間中はずれ値が起きないと予測してガウス分布に従うと仮定して予想するもんなんだけどなー
呼んでて論理力が非常に鍛えられます。
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本書の価値はすべて下巻にあるといっても過言ではない。
結論:私たち自身がブラックスワンということを自覚しよう。
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「忘れないでくれ、あなたが自身が黒い白鳥なのだ。」最後にこの言葉を読むと感動すること間違いない。証券マンなどはもちろん誰が読んでも面白いと思う。「エクセレント・カンパニー」トムピーターズは「ブラックスワン」の表紙の間には、現実のありようについて、図書館1ダース分以上の内容が詰まっている」と言っているがその通りだと思う。人生はブラック・スワン。人生を読もう!