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紙の本
この方の作品が好きで、読みました。
2014/10/24 21:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:shingo - この投稿者のレビュー一覧を見る
この方の作品が好きで、読みました。
1つの祭りを表と裏で見せる短編集。すべて繋がっていて、伏線を楽しむカンジです。ただ、ネタとしては弱いかも、です。
紙の本
万華鏡の中に見える六角形
2009/10/15 22:27
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る
森見登美彦のデビュー作『太陽の塔』を読んだ時に、「この作家は早晩消えるだろう。いや、そもそも第2作が書けないんじゃないか」と思った。それはロザンという漫才コンビが出てきた時にも思ったことなのだが、「京都大学」というワン・コンセプトでは後が続かないだろう、ということだった(もっともロザンの2人のうち京大卒なのは宇治原だけで、菅のほうは大阪府立大中退だが…)。
結局、ロザンはしぶとく生き残り、森見のほうも次作『四畳半神話体系』が出た時には「やっぱり」と思って僕は読まなかったのだが、その後も彼は書き続け、ついに『夜は短し歩けよ乙女』(これは久しぶりに読んだ)で花開いた感がある。
その作品で森見は従来の京大生を戯画化しながら京都と青春を描くというところから、少し幻想的な世界に踏み出して見せたのである。その時には「ああ、こんな森見もいるのか」と思った程度だったのだが、この『宵山万華鏡』に及んで彼が完全に幻想譚の手法をものにしているのに驚き、そしてひょっとするとこれが彼が究極的に書きたかった世界なのかもしれないという気がしてきた。
舞台はやっぱり京都ではあるが、京都大学の学生あるいは卒業生と明記された人間は出てこない。そして、タイトルから解るように祇園祭の時期である。そこには6つのお話が並べられているのだが、京都の同じ辺りの同じ宵山の一夜を6つの角度から切り取ったような構成で、ちょうど万華鏡の中に見える六角形の6つの辺のように思える。
その6つのうちには、今までの森見の小説の中に出てきそうな、少しデフォルメされた人物たちによるややバカバカしい青春譚もあるのだが、その同じ出来事を裏から見ると、そこでは別の人間が別の夢想めいた出来事に巻き込まれてしまっているのが見えたりして、とてもとても不思議な気がしてくる。
結局その不思議は何も解明されないまま終わってしまうのだが、それがそのまましっかりと余韻になって行くところが森見の新しい真骨頂になってきている。
ただの不思議な小説ではない。ああ、そう言えば、子供の頃なんかこんなことがあったような気がするという風に思う(実際には子供の頃そんな空想に耽ったことがあるということなんだろうけど)、そんな小説に仕上がっているのである。
そう、まさに「仕上がっている」という感じがする。そこがきっと森見の力量なんだろうと思う。
by yama-a 賢い言葉のWeb
紙の本
めくるめく不思議なファンタジー・ワールドに、行ってらっしゃい!
2009/07/05 13:06
12人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
京都の祇園祭は宵山(よいやま)をめぐって展開、回転する話が六つ。仲のいい小学生姉妹の冒険を描いた最初の「宵山姉妹」の話にはじまり、それぞれに繋がり、絡まり合う「宵山金魚」「宵山劇場」「宵山回廊」「宵山迷宮」の話を通って、おしまいの「宵山万華鏡」の話に至る連作短編の妙。それはなんだか、話の中にも出てくる万華鏡をくるくると回しながら、覗き見している感じ。ああ、面白かったあ。いつまでもいつまでも、この宵山の祭りの世界から抜け出したくない、そんな思いに駆られたくらい、それはめくるめく不思議なファンタジー・ワールドでした。
話の中にいつしかさ迷いこんでいて、その世界を旅している味わいに似ているところ、通じているものがあるかなあとふっと思い出したのが、恒川光太郎の「夜市」「秋の牢獄」といった短編。本書の万華鏡世界から抜け出した後、そちらの世界にも足を延ばしてみる、というのも面白いかもしれません。
きらきら光るものを散りばめた表紙カバー、装画のさやか(呼び捨て御免)の絵もいいっすね。お祭りの賑やかさ、楽しさ、わくわく感に包まれる素敵なイラスト。この表紙カバーを外すと、そこにはまた、一種異様で、暗くて怖い幻想味に満ちた絵が、目に飛び込んでまいります。本を広げてその絵に親しんだ後、くるりと本をひっくり返し、頁をめくって、宵山の祭りの世界に、行ってらっしゃい!