投稿元:
レビューを見る
この小説を読んで「情けは人の為ならず」という言葉がぱっと思い浮かびました。
人にかけた情けは相手の為になるだけでなく、巡り巡って自分のもとに良い報いとなって返ってくるわけですが、この物語の場合「銀二貫」というお金を媒介に情が巡っていく様がとても印象深く描かれています。
寒天問屋の主人・和助が、親の仇討ちに巻き込まれた子供を助けるために、「銀二貫」でその「仇討ち」を買うところから、この人と人の絆を巡る物語は始まります。
物語はこの時助けられた子供・松吉を中心に、大坂に生きる商人たちの生き様をいきいきと描いており、とても清々しいです。
松吉たちが何度も何度も苦難にぶつかる様子には「生きる」ことの苦しさを感じるとともに、それを乗り越える人間のたくましさを感じます。
それにしても『八朔の雪』を読んだ時も思いましたが、この時代は本当に火事が多かったんですね。
江戸時代の人たちはそういう危険と常に隣り合わせにいながら日々を力強く生きていたんだなぁ、と思いました。
最後の和助のセリフにはジーンときます!心温まる良い作品でした。
投稿元:
レビューを見る
お金の使い方、っていうのは、ああ、こういうのなんだなぁと、心の底から思った。人を活かす。作中、銀二貫が何度も人を活かし、未来を拓き、人を笑顔にしていく。その度、お金は本来、こうして使うべきものなんだな、自分だったらこんなに気前よく使えるかなぁと自省しました。商い、って本来こうあるべきなのではないでしょうか?和助や善次郎、そして松吉の、感謝と恩を忘れず、自分たちの扱っている商品と商売に矜持を持つ、そんな人柄を思うと商売繁盛して当たり前というか、そうでなかったら間違っている!と思ってしまう。江戸時代の大阪を舞台にした、時代小説という形ですが、時代も場所も関係ない、あるべき人と人の関わり方が描かれている名作だと思う。
投稿元:
レビューを見る
いいです、やっぱり!!高田作品を読むと、生きる勇気がわいてくる!今の世の中、いかに楽してもうけるか、あるいはそうできる人が賢いとされる風潮がありますが(もちろんそうでない人も多いけれど)やっぱりなんだか違うと感じます。そんな時高田さんの本を読むと、なんだか勇気がわいてくるのです。そこにまっとうに生きている人々に対する暖かいまなざしがあるからでしょう。いつの時代も厳しい現実があるのは変わらない。何度も挫折したり、つらい思いをしたり、自分にはどうすることもできない事態の中で必死で頑張ることの意味を問いかけ教えてくれる気がします。自分自身のためだけではなく、大事に思う人のためにだからこそ頑張れる。そんな人と人とのつながり、温もりのある世の中にしたいものです。
投稿元:
レビューを見る
江戸時代の大坂、寒天問屋の主人が出先でたまたま遭遇した仇討ち事件。父を仇として斬られた遺児を銀二貫で買い取って・・。真っ当に生きようとする登場人物たちが皆、好ましくて一気に読みました。武家の子から丁稚になり身を粉にして働く鶴之輔、彼に目をかけ商売を教える主人とお店大事の番頭、先輩丁稚の梅吉、初恋の相手の真帆・・。ネタばれです寒天に工夫を加え、現代の私たちが食べている練り羊羹ができていくまでの苦労の過程がとても面白かったし、度重なる火事の恐ろしさには、幸福が自分の才覚だけでは続かないことを知る江戸時代の庶民の気持ちになって読みました。ネタばれ終わり食べ物の話で定評のある作家さんらしいですね。初めての高田郁だったのですが、また、新しい楽しみが増えた気持ちです。
投稿元:
レビューを見る
うわ〜またしても泣かされました。武家の子供が寒天問屋の丁稚になりやがて主に収まる、と言う数奇な人生もさることながら、昔の商店の旦那さん、番頭さん、丁稚という確固たる関係が気持ちいいです。もちろんお互いの信頼があってのことですが、最初から生まれるわけではなく、付き合っていくうちにいろんなことがあって、徐々に気持ちがほどけていくのがまたいい。お金というものはこういうふうに使う物だ。と教えてもらいました。
投稿元:
レビューを見る
たなぞうでの評価が高いので読みました。登場人物がみんないいですね。高田郁さんの他の作品も読まねば・・・
投稿元:
レビューを見る
みなさんの評価が高いので軽い気持ちで借りました。失敗しました!早く借りすぎました。とにかく涙でした。会社で涙、電車で涙、家で涙。自分の涙腺が壊れたかと思いました。銀二貫涙。
投稿元:
レビューを見る
「銀二貫」はこの時代の大金。それを随所でうまく活用されているのは本当にすごい。そして、この話で一番すごいと感じたのは、人と人との関わり合いが、いつの日にか実を結んで行く、それをこの話はただの「人情もの」としてではない形で実現してくれているんです。
大火で消失した天満宮再建のために、銀二貫を寄進しようとする度に舞い込む入り用がもう憎い。でも、涙ぐみながらも、今度はどうやって乗り切ってくれるのか、乗り切ることを前提に安心感を読むことができます。
松吉のひたむきさもいいんだけど、何といっても井川屋の主人・和助と番頭・善次郎の掛け合いがとてもいいです。 松吉に語りかける和助の言葉も胸にしみるものばかり。
本当に何度も涙ぐみ、人間の温かい部分をたくさんみせてもらいました。この本に出会えて本当によかったです。
投稿元:
レビューを見る
農作業の合間に読んでしましたが、2回泣きました。帯のコピー「求めたものは、一つの味と一つの恋」。本当にそんなお話しだし、とても久しぶりに誠実と信心という言葉を噛みしめさせてくれました。やっぱり時代小説はいいなあ。高田さんという作者始めてでしたが、他も読んでみたい。
投稿元:
レビューを見る
結末の、和助と善次郎のやりとりで号泣。
人情ものの落とし話のようではあるが、切なくてうれしくて…。 寒天問屋という地味な舞台設定ながら、そこに繰り広げられる様々な物語、ページを繰る手が止まらない。
寒天問屋の主である和助に拾われる、主人公松吉のまっすぐな性分、そして、松吉と真帆との恋、作品冒頭銀二貫で仇討ちを売った侍のその後の働きなど、エピソードそれぞれが心に沁みる。
読み終えて、切なくも幸せな気分になれる作品。
投稿元:
レビューを見る
昔の商売人、本当の日本人はみんなこうだったんだと思います。
数年前問題になった食品偽造みたいな事も昔もあった様だけど、そんな商売人は淘汰されますね。
和助、善次郎、松吉、梅吉、真帆、嘉平、半兵衛みんなみんな素晴らしい。
仇討ちを銀二貫で売る情けない武士がいたもんだと
思っていたが最後にどんでん返し。泣かせますね~
"
投稿元:
レビューを見る
ううう(泣)何も言えないです。松吉が生まれ故郷の村に帰ってその変貌に驚き、老人から事の顛末を聞くあたりからもう涙涙。最後は「朝から泣いてる」大番頭さんと共にまた涙。まっすぐに私心なく生きる人たちに心が洗われた。
「八朔の雪」があまりに良かったので、普段読まない時代小説を続けて読んだ。最初の方こそ「うーん、ここら辺はもう少し書き込んで欲しいところ」なーんて思ったりしつつ読んでたけれど、どんどん引き込まれてページを繰る手が止まらない。うまい小説なら他にもあるだろうが、これは絶対支持!とひいきしたくなる作品だ。
いかにうまく立ち回るか、いかに利口に生き得するか、そんな情報ばっかりがとびかう今だからこそ、「銀二貫」」に込められた人々の思いが胸を打つ。出てくる人がみんな愛おしい。大阪弁(船場言葉)が何と柔らかく凛としていて美しいことか。皆さんの熱い感想に納得。紹介してくださった方ありがとうございました。
投稿元:
レビューを見る
銀二貫が取り持つ人の縁。その不思議な縁でみんな幸せになって行く。大阪の商家を舞台に心がほんわかする人情時代話。
投稿元:
レビューを見る
仇討ちを銀二貫で買い、引き取った子供の成長+大阪商人の人情商い話。じんわり来て、それでいて実に美味しそうなお話でした。銀二貫の使い方がどれも実に心にしみる。人情を感じるんですね。相変わらずこの作家さんの料理の研鑽場面を読んでいるとヨダレがでてきます。おいしそうだなああああこの本読みながら心太が食べたくなってたら偶然おみやげにもらったので「これも天神さまのお引き合わせ←殴」と喜んでいただきました。夏はやっぱりサッパリと寒天のお菓子が良いですね☆
投稿元:
レビューを見る
たなぞうみなさんの評価の高さから、手にしてみましたが、大正解!
たまたま遭遇した仇討を、大事な大事なほんとに大事な銀二貫で買い上げてしまったことから始まる物語。
ああ、この先どうなるんだろう??と、ずっと思いながら、読み進む。
真っ当な商いを一番とする、寒天問屋の店主と番頭。
武家の子から、問屋の丁稚として生きていくことになった少年の成長。
寒天って、そうやって作るんだ・・・と初めて知る。
幾度の苦難を乗り越えて迎える結末。
銀二貫の使われ方に唸らされた。
年明けから、涙涙の作品続き。
心があったまります。