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経済回復は確実にされていると言いつづけてきた麻生自民党が先週日曜日の衆議院総選挙で完敗して、鳩山民主党が今後の政権を担うようになりました。この1週間で多くの動きの中で私の感じたのは、鳩山ではなく小沢氏が今後の政治を動かしていくということでしょうか。
最近は何冊か日本経済の未来は明るいという本も出ていますが、これらを読んでみると現在行われている自民党が推進してきた政策が続けばという前提で書かれていると思います、それが崩れれば、多くの類書があるよう日本経済は大不況に突入してしまうのでしょうか。
アメリカの経済回復が不透明で、オバマ大統領になって保護主義を強めている中で、今後の日本の将来が不安なこの頃ですが、今後3年間を注意深く見守りたいと思いました。
以下は気になったポイントです。
・今回の「いざなぎ超え景気」は、雇用は大きく増えず、報酬も下がった(労働分配率の低下)ので内需拡大には至らず、輸出部門だけが突出する格好となった(p7)
・米国消費が拡大した理由は、「借金をしてでもモノを買うから」ということでなく、資産運用(自分が投資した株・不動産の上昇率がローン金よりも上回っていれば、ローンを組んだほうが得)という考え方(ローンも資産運用)がある(p16、148)
・先進国ではGDPに占める個人消費の割合が6割を超える、中国ではその割合が増えているものの、まだ4割程度であり中産階級が育っていない(p19)
・電気自動車はエンジンのかわりにモータを使用するため部品が3割減少し、部品メーカーの仕事は激減する(p39)
・販売台数が2割減に対して、生産台数が5割減というのは、在庫調整があるから、完成品が5割生産減となると部品は1,2割の生産にしないと在庫調整ができない(p47)
・トヨタの2009年1Qの赤字(7658億円)は、同時期のGM(5900億円)を上回るもの(p49)
・自動車関連の第一次下請けは400社、二次下請けは5000社、三次下請けは3万社、その下にも数え切れない4次下請け会社が存在する(p77)
・国債大量発行により国債価格が暴落、金利上昇、それにより為替レートの上昇(円高)、輸出関連企業には為替差損生じるので財政出動によるプラス効果はない(p108)
・格付け会社の米国債格下げが起きない限り、ドル崩落はあり得ない(p120)
・地方経済は、農業と公共投資で成り立ってきたので、1980年代のバブル崩壊による痛手は受けなかったが、小泉政権による構造改革で公共投資が減って、輸出産業とリンクせざるを得なくなった(p128)
・国際業務を行う3メガバンクは、総資産額の8%以上は自己資本を積む必要があるので、自己資本の12.5倍までしか貸し出せない(p130)
・米国の貯蓄率が4%台へと急激に上昇している、上昇している間は個人の資金は株式マーケットはなかなか戻らない(p151)
・中国は毎年、最低でも8%の成長をしていかなければ、失業者が大量に出て社会不安に繋がる恐れがあると���われる(p160)
・13億人の中国の平均年収は32万円(2.2万元)、月給3万円と、まだまだ低い、先進国ラインといわれる3万ドルの10分の1である(p165)
・日本経済は3段ロケット、完成品メーカ(1段目)、部品メーカ(2段目)、個人消費(3段目)であり、個人消費に火がつかないと本格的な日本経済の復活は無い(p171)
・日経平均は、日本経済を牽引している、自動車・電機・機械の3業種の「モノづくり御三家」に左右される、個別銘柄に投資するよりも日経平均に投資したほうが良い(p176)
・オバマ氏の資金源としてインターネット献金のみ注目を集めたが、シカゴ(ニューヨークと双璧)財界の全面的バックアップもあった(p223)
・米国に資金が還流してくる仕組みとして有力視されているのは、グリーン・ニューディールであり、排出権取引である(p227)
・日本国債が格上げになった理由は、空前絶後の財政出動を繰り返す米国債の格下げをしない済むようにするため(p229)