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みんなのレビュー95件

みんなの評価3.8

評価内訳

93 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

SF的な仕掛けと 物語の勢いとの間に 強い結びつきが感じられない

2009/12/05 22:26

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る


 2033年、人類初の有人火星探査船の乗組員の一人ノノが精神に異常をきたし、リリアンは火星到着後に堕胎するという事態が発生。
 一方、アメリカでは次期大統領をめぐって激しい選挙戦が展開。そこへある生物兵器の存在が浮上して…。

 物語は実際の2000年代初頭のアメリカの国際政策を下敷きにしていることが明白です。
 そのぶん、近未来SFの体裁をあえて借りる必要があったのかと思えるほど、書かれていることの多くに目新しさは感じられません。

 例えば、一人の人格が多角的であるとする分人思想(dividualism)というのは、社会学でいうところの「役割の束」という人間観からさほど遠くないと思います。分人思想と名を変えたところで、新味が増すとは思えませんでした。
 米国が支出を減らすために民間に戦争を委託するという話も、ブッシュ政権下の問題点として散々報道されていたので、この小説の中でことさら詳述されても何を今さらという気がしました。SFで論じる上でのひねりがあるわけでもありません。
 『外注される戦争―民間軍事会社の正体』というノンフィクションの読み物のほうが、大変興味深くその問題点を知ることができると思います。
 日本人乗組員・明日人の死んだ息子・太陽の代わりとして創造されたAR(一種のホログラム)もスピルバーグの映画『AI』に類似していて新鮮味がありません。

 もちろんこうした新奇さを欠いた要素を用意したのも、現実味を帯びたSFとして提示するための仕掛けだからこそという見かたもあるでしょう。
 確かに私も、300頁あたりまではそうした近未来の仕掛けのあり得そうな現実感に引っ張られて頁を繰ったのですが、それ以降、主人公たちが停滞して物語に大きな展開がなくなり、一方で著者の訴える思想めいたものが強くなっていくのを見るにつれ、私の中の関心が徐々にしぼんでいくのを感じました。

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紙の本

人間の愚かしさはますますその度を加え、生も死もますます難儀になる

2009/08/17 17:22

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あまでうす - この投稿者のレビュー一覧を見る

「私小説は自慢話である。自分は絶対に書かない」ときっぱり否定するこの人。その言うや良し、です。

私が最初に読んだ彼の作品は、ショパンやドラクロワやジョルジュ・サンドがまるで史実のように動き回る面白いロマンチック小説でしたが、その実録歴史風の時代がかった衒学的な文体がことのほか気に入りました。

ところがその次に読んだ「決壊」はまるで秋葉原事件の漫画風解説本のような趣で、主題こそ当世流行のネット時代のおける現代人の悪意と殺人事件を描いてはいるものの、登場人物にまるで存在感もリアリテイもなく、でくの棒のような不自然な人物造形と人工的なプロットに、「いったいこれのどこが小説なの?」と辟易させられたものです。

そこへ今回突然ドーンと登場したのが本書で、これは2033年に人類初の火星着陸を成功させたアメリカを舞台にした近未来フィクション小説です。

アメリカはもちろん全世界の家庭や街頭には隈なく監視映像ネットが隈なく張り巡らされ、全国民が複数のアバターを分かち持ち、それらのキャラクターをTPOごとに使い分けている「1人多重人格社会」がすでに確立されています。20世紀に揺らぎ始めた自己同一性原理は完全に破壊されてしまい、人類はそのアイデンティティをいかにして再確立するかに頭を悩ませているのですが、妙案は見つからず、その苦悩と分裂は深まるばかりです。

主人公は佐野明日人という日本人宇宙飛行士兼医師なのですが、世紀の偉業達成の陰に、彼の同僚の女性飛行士の妊娠、流産事件と言う不祥事、NASAのそのスキャンダルにからんだ大統領選挙の陰謀、さらに東アフリカ融解戦争への加担から派生したテロリストによるマラリア蚊兵器の登場等々、いかにも三文小説風、アメリカ流にいうとパルプマガジン風の「いかにもな事件」が次々に起こり、主人公とその家族たちを翻弄します。

つまりここで著者が闡明しているのは、いまからさらに時間が2,30年ほど経過し、科学技術が驚異的に発達しても、世界の政治と経済は相変わらず混迷を続け、人間の愚かしさはますますその度を加え、生も死もますます難儀になるぞ、という暗い予言なのでしょう。

しかしそんな小学生でもわかっているような当たりきしゃりき車引きのお話を宇宙関係の文献やらネット資料をもっともらしくどんどこ援用して500ページになんなんとする原稿用紙を無駄にする必要が果たしてあったのでしょうか? 

この小説に唯一救いがあるとすれば、そのタイトルの「ドーン」が英語のDAWNであり、人類の「ダウン」ではなく「夜明け」を暗示している点でしょう。


    ♪古書市芥川全集3500円で叩き売る 茫洋

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2009/08/25 22:53

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