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紙の本

いまだに歌い続ける、生き続ける「ひばり」の不思議

2009/07/27 16:09

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:栗山光司 - この投稿者のレビュー一覧を見る

今年3月30日の朝日新聞朝刊によると「昭和といえば何を思い浮かべますか?」でアンケートをとったら、人物なら(1)昭和天皇(2)田中角栄(3)美空ひばりだったらしいですね。
本書の最後に「昭和84年(2009)年5月15日」と記されている。齋藤にとって「ひばり」は生き続け、昭和はまだ終わっていないどころか、延々と続いているだなぁと思う。
明治維新後の近代化(欧米化)へのいわば文化高速道路の文明建設は良くも悪くもこの国の周辺を覆わなかった。だけど、覆わなかったけれど、非欧米化の装置から溢れ出たものを思想としての天皇制が支えたのであろうし、民俗・芸能としての前近代の受け皿が「ひばり」的なものに回収されたのであろう。
確かに、昭和天皇、田中角栄、美空ひばりを記述することによって戦前を含めた昭和の伏流を語ることになるかもしれない。
焼跡で消えたはずなのに、戦後民主主義道路からはずれた獣道をも徘徊する「角兵衛獅子」の唄は人々の深い闇にいまだに誘い込むのではないか。
僕自身、リアルタイムの映画体験でいまだにまざまざと思い浮かべることが出来る映画は『鞍馬天狗・角兵衛獅子』(1951)です。嵐寛寿郎、山田五十鈴、川田晴久、月形龍之介、そんな大役者にごして、ひばりが杉作少年を名演する。
だけど、映画雑誌『キネマ旬報』では一度も『鞍馬天狗』ものはベス20位、30位にも入っていないでしょう。雑誌『平凡』、『明星』とはクロスしない芸能/映画は前近代/現代というスレッドで棲み分けして戦後文化は語られた傾向があるから仕方がないかもしれないが、果たしてこの国に近代という時代があったのかと問われれば確信出来ない。
1960年安保デモでなくなった東大生、樺美智子と美空ひばりが昭和12年生まれで同年なのだけど、ふたりはまるっきり接点がない。同じ23歳なのです。恐らくこのふたつを架橋する「近代」がこの国の大多数の人々にとって無縁だったのかもしれない。
近代を経ないポストモダンは前近代とどう違うのか。美空ひばりは間違いなく前近代のアイコンだと思う。
思想として「樺美智子」は語られたが、思想としての「美空ひばり」はまとまって語られたことはなかった。大衆芸能という大きな枠組みで、吉本隆明、鶴見俊輔、、平岡正明、寺山修司などや、生のひばりにアクセスした竹中労などの労作があるが、齋藤はそれらの膨大なテキストを読みこなしてもうひとつの「美空ひばり通史」ともいうべきものを書き上げようとしたのです。
昭和14年生まれの作者が満州を引き揚げ山形県酒田市の飛島に移り住んで『悲しき口笛』、『私は街の子』、『越後獅子の唄』を聴いた衝撃を語り、あとがきでこう記す。
《そして何より美空ひばりさん。あなたのお陰で孤島の少年Sは辛うじて生きてきました。あなたは誇り高いプライドのひとでした。プライドとは(と太宰治は言っています)「あのことにも、このことにも自分は誰よりも苦しんだ、とひそやかに言える自負」と。もしお会いしても、私は頑固頑迷、それに恍惚人ですから、決して“お嬢”なんて呼ばないでしょう。“姉御”ぐらいは言ったかもしれませんが。》p454
偶々東映で働いていたことのある昭和12年生まれの近所の人と話をしていたら、ひばりの弟たちが、京都市中をサンダーバードでぶっ飛ばした後始末で田岡組がお出ましになったり、トンデモないことが色々あったらしい。撮影の時にも母・喜美枝が傍を離れず、撮影のスタッフに年上であろうと、同年であろうと、「美空先生」と呼べと強要するんだと、その傍若無人振りにはまいったとのことです。当時の東映でひばりの出演料が一番高かったのです。こういうのは都市伝説ではなく実話に基づいたものであろうが、真偽のほどがわからぬ「ひばり伝説」が村々や町々にあるでしょうね。
ただ、齋藤の目論見の一つに日本人の自然観、歌謡曲とナショナリズム、旋律の天皇制、などを点綴しよと画策していたがそれは崩壊したと書いているが引き続いてそのことをテーマに書いて欲しい。だから四つ星。
葉っぱのBlog

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2009/07/01 22:30

投稿元:ブクログ

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