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今の地球社会が抱える問題について教えてくれる。親切な本だが、目から鱗が落ちるような情報や知恵があるわけではない。当時のブッシュ政権に対する憎悪の念はやや鼻に付いた。
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現在、そしてこれからの世界において大きな問題となる貧困、気候変動、生態系の破壊、人口増加に取り組むために、世界の国々が、個人が何をしなければいけないのかを書いた一冊。アマルティア・センの『自由と経済開発』も読めば、より理解が深まると思う。
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これぞ持続可能な発展のバイブルだ!
ボリュームがあって久しぶりにしんどかった本。
ジェフリー・サックス が記した前作『貧困の終焉』 に次ぐベストセラー。
実は貧困の終焉はまだ読んでないんです・・・。
本書をざっくり最初と最後をまとめると(ほんまに秀逸な問題提起、提案ばかり。)
過密する地球の今後、特に人口、貧困、資源、環境、経済について述べるところから始まる。
各論に対する効果的な対策を、国家、企業、NGOなどがすべき行動をあげている。
さてさて、まずは彼の主張をピックアップすると、
・エネルギー、土地、資源の使い方に関して、持続可能なシステムを構築する。
・2050年までに世界人口を80億以下で安定させる。
・2025年までに極度の貧困を終焉させ、豊かな国も安定させる。
・国家間の協力関係、企業のノウハウ、非政府組織の活力とアイディアを基盤に、問題解決に新たなアプローチで取り組む。
ここまでは、どこでも聞くようなお話でもある。ただ彼の場合は、エコノミストとして、定量的に物事をはかり、効果的な戦略を打ち立てているところが素晴らしい。
しかし僕が思うに、本書で最も重要視するべきは、中盤に書かれている持続可能な発展がなぜ滞るのかという点にある。結論から述べよう。
目的も具体的な数値目標も戦略もしっかりできている。誰もがこうしたらもっとよくなるってわかっている。
ただそれには資金がない。つまるところ、資金を出し渋る奴が世界平和の障害!!
(決してサックス氏は過激派ではなく、僕が勝手に彼の心の中を代弁してみただけです。)
なぜ途上国に対して、技術支援、資金援助をする必要があるのか?
なぜ市場の手からこぼれた10億人が最貧層を助ける必要があるのか?
なぜ海の向こうの人口爆発している国に資金と投入しなければならないのか?
人道的支援?慈善事業?先進国の義務?はたまた哀れみ?
否!これは自国、ひいては争いのない世界のために積極的にリスクをとることだ。
この途上国支援の本質、つまりリスクをとることがわかってない奴らが世界には多すぎて、サックス氏は、特にリスクをとらずに逆方向へと突っ走るアメリカ(ブッシュ政権)を徹底的に非難しまくる。
実際にひとつ、マラリアについての引用してみよう。
まず基本データは
アメリカ軍事費の2007年度予算は、およそ5720億ドル
国際安全保障(イラクやアフガニスタンなどへの支援)に110億ドル
開発と人道支援に140億ドル、外交機能(国務省、大使館など)に110億ドル
アフリカのマラリア感染地域に寝室が3億あり、これらを持続効果のある抗マラリア蚊帳(5年はもつ)で守らなければならない。価格は5ドル。一家に平均して3つは必要である。
結果として、1年につき1人あたり60セントかかる。蚊帳ひとつ5ドルとしても、数億人は手が届かない。
アフリカすべての寝室に蚊帳を配布する費用は15億ドル
ここで注目すべきは、アメリカの軍���費5720億ドル÷365日=15.7億ドル
つまり国務省が一日に消費する金で、アフリカすべての寝室に5年分の抗マラリアの蚊帳を提供するのに十分な費用が賄えるのだぁ!!
そもそも昨今では、大国同士の戦争は起きていないし、世界では数え切れない紛争がおきている。
核の脅威や、軍事力に物を言わして国家間の緊張を高めるのはナンセンス。
武装組織に対しての空爆は、罪なき家族を殺された者を復讐者にする無限ループだ。
サックス氏いわく、ブッシュ政権のアメリカ外交は完全に間違っており、紛争解決、人道的支援も大切だが、長期的な開発を行うべきだったという。それがゆくゆくはアメリカの利益に繋がるのだ。
水ストレスの増大、人口爆発による一人当たりの食糧の減少、エイズ・マラリア・その他の感染症、その他多くの解決困難な問題。これらにより人は、奪い合うことでしか生存する道を選べず、紛争に発展し、周辺の国に緊張が増し、結果的に数え切れない死者と事後修復のための莫大な資金を要する。
それを防ぐために、力で脅えさせるのではなく、支援することで、信頼を勝ち取るべきである。
サックス氏によれば、最貧国への資金援助の推定は、豊かな先進国の年間所得の0.7%さえあれば、農業、医療、教育、インフラなどが可能となる。豊かな国の総年間所得を35兆ドルとすると、その0.7%の2450億ドルの援助をすれば、資金難が解決できる。世界同時多発で、日本でいえば、1000万円プレーヤーが年間7万円未満(※収入ではなく、所得)の援助をすれば、貧困を世界からなくす大きな大きな前進となるのだ。
たったそれだけの支援で、紛争を防げるならみんな喜んでやるよね。
しかもこの0.7%という数値は、既に国際的な合意に至っている数値である。
ん?だったらもう世界からは貧困は消えつつあるやん!!
と思いたいのはやまやまだが、先進国がたった0.7%のお金を渋っているのだ。
そうこっからが問題なんですよね。
発展的な変化に向かおうとする新しい考え方に対して
最初は「やっても無駄だ」、つまり問題自体解決不可能だという主張
次に「逆行する」、つまり解決しようとして、逆に問題を悪化させているという主張。
最後に「危険だ」、つまりもっと重要な問題があるはずなのに無駄遣いしているという主張。
こいつらが邪魔をする。特に頭のかたい目の前のことしか考えていない政治家たちによって。
しかも合意を無視してしまえるほど、すごい力で押しつぶすんですよね。
しかしこのような否定的な言葉は人間心理から生じたもので、まったく根拠はないとサックス氏はいう。
人類の最大の敵は、案外そういった否定的な人間の心理状態なのかもしれませんね。
それならば、これらの障害を乗り切るために今こそ全ての人、集団、機関の協力が必要である。
国連は、横断的に部門同士が協力して相乗効果をつくりだし、
国家は、国際経済、世界人口、環境ストレスに立ち向かうために、国家ではなく、ユニオンとなり、
地方自治体は、文化の多様性、伝統を維持し、地球規模の問題に市民とともに立ち上がり、
企業は、市場とは関係ないフィー���ドで、ビジネスの本質を保ちながら、企業活動を展開し、
NGOは、斬新な発想と起業家精神から問題解決のリーダーシップをとり、
研究大学は、垣根を低くし、技術の掛け合わせによってイノベーションをはかり、
僕たちは、地球市民として、以下に示す8つのできることをやる。
・現在の課題について知ること
・なるべく旅をすること
・持続可能な開発を推し進める団体を作るか、参加すること
・周辺の人々にも参加をうながすこと
・SNSを介して、持続可能な開発を促すこと
・政治に参加すること
・職場を巻き込むこと
・自分自身がミレニアム・プロミス の基準に沿って生活すること
ほらほら、だんだん世界が秩序に保たれた青写真が浮かび上がりませんか??
実際に敬愛するユヌス氏だって、マイクロクレジットがあれだけダメダメ言われたのにやってのけた。
本気でやろうとしている意志、掲げた旗を降ろさず、最適な戦略と十分な資金をもってさえすれば、絶対に貧困をなくすことも、温暖化をとめることも、予防・治療可能な命も救っていける。
ゴールも明確で、戦略も戦術もあって、やればみんなに気持ちいいことだってわかってる。あとは覚悟だけ。その大きな一歩を僕たちの世代で作ってやると・・・そんなことをこの本を読んで思いました。
他にも
・社会福祉国家>市場主義国家
・地球環境システムの閾値
・プラグイン方式ハイブリッド車と二酸化炭素回収・貯留技術で温暖化を食い止められる。
・生物多様性は緩衝材になる。
・950人の億万長者の資産の利子で極度の貧困を終わらせる。
などなどなどなど。おもしろい切り口で書かれている本書はお勧めです。
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前作は貧困をなくす、というのがテーマだったけど今回はそれも含めて地球上に存在する様々な問題を提示している。
温暖化、地球人口の増加、水問題などの問題を一つ一つ丁寧に解説し、解決策の提示も行っている。これだけの問題すべてに気を配り、調査を行う著者の守備範囲の広さには驚かされる、というか手広すぎるぞこれは。
手広い分前作ほどのインパクトはなかったけど、それぞれの問題は繋がっているのでこうして俯瞰する価値はある。読み終わったあと、自分にも何かできることないかな、と考えたくなるいい本でした。
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ジェフリーサックスの著作。
環境問題全般を扱い、打開策を提案するという壮大な本だが、なんかいまいち総花的でピンとこなかった。
サックスは本当に天才なんかね?
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サックスの『貧困の終焉』に続く本。どちらかというと、貧困の終焉に比べて環境経済学の話が多かった気がする。良書。
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これまで自然にあったもの、例えば空気や海や山や、もしくは宇宙までもこれからお金で取引されるようになるって、なんか虚しいなぁと思った。「ほとんどのエネルギー資源は商品になる」
アフリカはダイヤモンドなどが発掘されるのに経済発展とうまく関連づけられていない。もったいない。もっと、いい手段を使ったらアフリカは発展できるだろう。
まぜ主要産業を築くことによって、港も発達し貿易も栄える。
一般的に地理的不利だと思われる場所でも、見方を変えればその相違を有利な状況に転換できrのではないか。
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先進国が当たり前に享受している幸福をどのようにして途上国が手に入れるうるかを複数の視点から考察した一冊。途上国が先進国との格差を収束(コンバージェンス)する方法を述べている。貧困、環境、人口、官民、緑の運動、医療がキーワードになっていて、世界が抱えている問題が実は容易に解決できることを強調して、先進国の活動に提案をしている。
入門書のような気軽さで、でも深いとこまでえぐってる。ただ長いなあ笑
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前著(「End of poverty」。特に臨床経済学の項)は必読だと思いますが、本著は筆者以外でも書けるという印象。
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1.持続可能なエネルギーシステムの構築に必要なコストは世界の年間所得の1パーセント。極度の貧困を無くすためのコストも同様。
2.生物多様性の損失により、突発的な思いがけない結果を招く危険性がある。生態系は様々な部分で関連性があり、ごくわずかな力関係の崩壊でも壊滅的な変化を起こしかねない。
3.出生率の低下を促す努力が貧困の終わりを呼び寄せる。人口転換を成し遂げる必要性。
4.社会福祉国家は雇用率がたかく、貧困率が低く、ジニ係数が低い。一人当たりGNPも高い。
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Global Issue をざっくり理解するには良い本だと思う.
環境問題,人口爆発,貧困の罠,緑の革命,経済の国際協力体制...
ありとあらゆる問題が複雑に絡み合って世界が成り立っているが,それをできるだけわかりやすく解きほぐしていると思う.
もう一度,振り返りたい一冊.
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現在のグローバルな諸問題(政治、経済、環境)の深刻さを、経済学のシンプルなロジックで分かりやすく説明している。G0となった世界という見方との親和もあり、読んでいて面白い。
資源だが限りある魚を今、捕って得られる利益と代わりに投資したことで得られる利子を含めた収益との比較など。
後半には、問題解決に向けた処方箋とそれに対する世界の現状、成功事例が怒涛のように、論理的に明快に並べられていた。読んでいくと、本当に自分自身がまだ何も行動していないことを痛感するとともに、いち早く個人・市民・会社員として積極的に地球レベルの問題の解決に関わっていきたいと感じた。
富裕国のGNPや財団からほんの少しの金額が提供されることで、人口問題・農業生産性・飢餓・伝染病・地球環境問題を解決に近づけることができるということは本当に驚かされた。
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幅広い入門書。
世界にある様々な問題を、個別のものでなく横断的に捉える視点が役に立った。
それぞれのファクターについてもっと深く知りたくなる。
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我々が「国益」と称しているものは、21世紀を生きるにはあまりにも狭小すぎて我々が幸せに生きるのを阻害していると思い知らされる。
原題は"commonwealth"だが、著者の提起する"commonwealth"の概念は「地球上の全人類の暮らしを守るための組織体系」だ。
「気候変動」「生態系の破壊」「人口増加」「貧困」は、先進国の我々にとっては他人事にされ、後回しにされがちだ。
しかし、著者は先進国に起きている国家安全保障、気象災害、伝染病などの問題を旧世紀の「国益」単位で捉えているために、その本質を見誤っていると読者に気づかせる。
そのために、本書の前半は、気候変動、人口増加、貧困などの世界規模の問題の解説に充てられている。
ブクログには「世界の問題の理解に役立った」レベルのレビューが見受けられるが、それはどうやらこの大著の前半で読む気が失せたためと思われる。
本書の後半から、なぜこれらが全人類の共通の問題と捉えることで、これらを解決することができるのかが示される。
このビジョンだけを読むと夢物語になってしまうために、前半に膨大な論拠を示したのだと気づかされる。
前から順に読むことに疲れたら(現に疲れますけど)、先に後半のビジョンを読んでから、前半の論拠に戻ってみることをお勧めしたい。きっと全く違うレビューになるはずだ。
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原著のタイトルはCommon Wealthだから「共有の利益」「豊かさの普及」といったところか。国単位の経済活動のような視点ではなく、環境、人口、貧困を解決するための大きなビジョンを掲げている。
CO2濃度を工業化以前の2倍以下に保つためのコストは世界の年間所得の1%以下、人口増加を抑えるための政策の導入には富裕国の年間所得の0.1%以下、極度の貧困をなくすためには富裕国の年間所得の1%以下で足りる。しかし、この行動をしなかった時の結果の甚大さは比較にならないほど大きい。環境については気候変動枠組み条約や生物多様性保全条約などが、人口問題については人口開発行動計画が、貧困・飢餓についてはミレニアム開発目標が、それぞれ作られている。
環境保護と個人的な動機付けを両立させるための政策として、環境破壊に対する課税(外部性の内部化)、総量制限(キャップ&トレード)、業界ごとの基準設定、ゾーン区分があげられる。天然資源の採取を持続可能なレベルに制限する方法としては、取引可能な収穫権の導入、共有物の私有化、地域社会による共有化がある。
専門家は気候変動への対処方法について、エネルギー効率を改善することだけでは不十分であり、再生可能エネルギーは限られた役割しか果たせず、低価格で豊富な石炭などの化石燃料は利用され続けるため、回収・貯留(CCS)技術の費用効率が高くなれば重要なものとなるとの見解で一致している。
内戦の引き起こす要因として、若年層の突出、住民一人あたりの耕地不足、都市部の急成長があげられ、どれも高出生率が続くことと深く関わっている(Population Action International)。
世界の貧困は、内陸部、熱帯地域、水が少ない地域、マラリアの蔓延地帯、国際貿易ルートから外れている地域に集中している。イースタリーの海外援助に対する非難は、日本が東南アジアのインフラを整備して工業製品の輸出国へと成長させたことや、韓国・台湾・中国・インドなどが新興成長市場となったことを無視していること、1人あたり年額15ドルの援助支出(援助国の所得の0.3%)を大金と決めつけていることの2点が誤りであると主張する。
9章以降はスルーした。