紙の本
グローバル社会のさまざまな分野でリーダーとして活躍することになる世界各国の予備軍たちは、いったいどういう教育を受けているのだろうか
2010/02/24 22:50
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る
これ一冊で世界の「エリート教育」を総覧できる、コンパクトだが非常に密度の濃い、お買い得な一冊。
学校と図書館向けの図鑑として刊行された『世界の子どもたちは いま』シリーズ(24カ国・24冊)と『世界の中学生』シリーズ(16カ国・16冊)の内容を一冊に圧縮した内容なので、情報がフルコースでしかもてんこ盛り、思ったよりも読むのに時間がかかって、少し食傷気味になるくらいだ。
ボーディング・スクールやプレップ・スクールだけでなく、小学校レベルからの中高一貫の「エリート教育」や、スポーツや芸術のエリート教育についても紹介されている。
英語が国際化にとっての必要条件とされることから、どうしても英語圏の米国や英国を中心に、その他オーストラリアやカナダの学校ばかりが紹介されがちだが、本書ではアングロサクソン圏の先進国だけでなく、教育を国家戦略に位置づけているインド、中国、トルコといったいわゆる新興経済国、また教育先進国となったシンガポール、そしてフランスの伝統あるエリート教育の現状についても紹介されているので、比較対象として参考になる。
「エリート」というと、多くの日本人には鼻につく表現で抵抗感も少なくないだろうが、真の意味におけるエリートは一流の人材であってかつ、いずれ人の上に立つことになる指導者(リーダー)のことであり、これは一国の生存のためには絶対不可欠の存在である。
もちろんすべての人間がエリートになれるわけではないが、グローバル社会のさまざまな分野でリーダーとして活躍することになる世界各国の予備軍たちが、どういう教育を受けているかを知っておくことはムダではない。大いに刺激と危機感を感じて、強い問題意識を抱いてほしいものだ。
「下り坂」にある日本だが、今後の生存のカギを握るのは、未来を担うリーダー予備軍の教育である。しかしながら、「エリートの条件」である、心身のタフネスと高いレベルのコミュニケーション能力を備えた人材を養成する体制が、果たして確立しているといえるだろか。現在の迷走する状況では、国に期待してもそれはムリというものだろう。
グローバル社会で問われるのはあくまでも個人としての存在だ。個人を前提とし、個性を伸ばすために本当に必要な教育とはいったい何かを考えるために、本書を通読してみることもその一助となろう。基本はコミュニケーション教育に尽きるといってもいい過ぎではないのだが、具体的な実例については直接読んで確かめていただきたい。
一流を目指す人、指導者(リーダー)を目指す人、そしてその父兄や教育者に読んで問題意識をもってほしいものである。
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『エリートの条件ー世界の学校・教育最新事情』(河添恵子、2009年、学研新書)
アジア、ヨーロッパ、北米、南米の様々な国の初等・中等教育で行われている、エリートを養成するための「特色ある教育」を紹介している。一国の教育には国ごとのお国柄や教育事情が反映されていて、読んでいて新鮮でおもしろい。
(2009年10月22日)
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エリートの条件は、日本の「東大出=エリート」といった図式とは大きく違うらしい。それは、一言では「何かの分野でトップリーダーとして活躍している人たち」だそうで、そのために、海外ではコミュニケーション全般を大変に重視し、様々な方法で早くからそのスキルアップを図っているということが分かった。
本では、そんな、世界の教育についてびっしり紹介されている。正直、簡単な小見出しのみで気がつけば他の国になっているなど、構成がとても読みづらかったが、内容は深いと思う。また、本の最後の筆者の考えは秀逸。この本は、そこを先に読んでから読むのがいいかもしれない。
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世界中の教育を紹介。
様々な文化を俯瞰していると言えるが、表面的で深みがない。著者なりの考察がない。
これでは各国の教育紹介で終始している。
結果、我々日本人にはどのタイプの教育が良いのかを示すべき。
但し、どうしても教育には金がかかるので、
金銭的な余裕の程度によって受けられる教育の分類を示すのも仕方がない事だと思う。
もしあなたが富裕層なら子供にどんな教育を望むか?
のアンケート結果などは載せてみたい。
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5/20(木):
各国の教育事情の事例集としては楽しめました。
ただ、情報が古いからでしょうか、あまり新しい情報はなかったように思います。
事例集といえども、日本への示唆がもう少しあってもいい気はしました。
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よくまとめられた取材。
が。
昔なら面白がって読んだだろうけど、子供がいる今、なぜか読んでて本をぶん投げたい気持ちになる(笑)。
こんなすごい学校があるんですよー。こんな素晴らしい教育方針を実現してますよー。と、それはいい。が、もちろんすべての子供たちがこういった環境で教育を受けることは、許されておらず、こういう不公平の1極端にいるグループ「エリート」が、社会に出て競争に勝って、当然のごとくリーダーになっていく、という図式が、なんか頭にきた。
要は、「一部のエリートを体系的に作り出し、その人たちが優れた頭脳と高い理念(願わくば道徳観念も)をもって社会を率先して作り、その利益が下層民へももたらされるように」という考え。以前読んで衝撃を受けたPedagogy of the oppressedは、これと全く反対(抑圧されたものが教育を通じて声を持ち、下から世界を変えていく、というもの)なんだけど、この本の筆者、ここに書かれるエリートたちは、こちらの本を読んでどう思うのだろうか?
でも、「エリート」といっても、地域(特に西洋と東洋)で若干定義が異なり、それに従って各国で力を入れているエリート教育の内容も異なる、というのは、興味深かった。世界の子供に一律の基準で競争させても、その順位は全く正確じゃないと思うし、アメリカで教育を受けたエリートが日本や中国で立派な政策を立てられるかというと、それも違う気がする。それを考えると、「エリート教育」というものそのものが、なんかあやふやな意味しか持たない気がするなあ。親の自己満足、が、案外一番当たっているのかもなあ。そういう意味では、親や本人がこれを読んで、「こういうカリキュラムを受け(させ)たい」といった希望を具体化するための参考にはなると思う。
(家庭や日本国内では到底不可能なカリキュラムが多いけど)
ちなみに、本書のPISAとTIMSSという学力調査テストについて述べたところでは、百点知識型タイプのアジア諸国はTIMSSに強い、とあったが、最近のPISAでは上海がぶっちぎりの1位。こちらの傾向も変わってきているよう。
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[ 内容 ]
勉強ができても、魅力的なリーダーにはなれない―。
コミュニケーションスキルや倫理観、「負けない心」を育むために、世界の「将来、国を支えるエリート」たちは、どのような学校教育を受けているのか?
各国のさまざまな英才教育の実態を克明にレポートし、日本の教育の深刻な問題点を浮彫にする。
[ 目次 ]
序章 世界標準の「エリート教育」とは何か
第1章 世界の未来を予測する教育環境
第2章 国家戦略とエリート教育
第3章 早期バイリンガルは世界の常識
第4章 IQだけではないトータルバランス
終章 日本のエリート教育は再生できるのか?
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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各国の「エリート」と呼ばれる人材について、教育という視点から事例紹介した本。
サブタイトルである「世界の学校・教育最新事情」とあるように、世界各国のエリートに施す教育を紹介しただけどあった。
記述に対しての筆者の意見はほぼ見られず、日本の教育について問題提起するのは良いが、改善策を出さないことはくだらない。批判なんて誰でもできる。折角、各国の事情に詳しい方なのだから、日本と比較した上で、目指すべき教育像を説いてもいいのでは?と感じた。
↓印象に残った点↓
日本人、日本社会は完璧(理想)を求める´百点からの減点主義´だが、世界の価値観は圧倒的に´ゼロからの加点主義´
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今やネイティブ並に話せるバイリンガルは当たり前。
それに加えて基本的な学力、スピーチ力、自己アピール力、スポーツで培う人間力、地域活動や労働経験で培う社会力を備えたリーダー力をもった人間が世界をになうエリートと言える。
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各国エリートの作成法が書かれている。日本以外の階級社会ではそうだということ。日本のような大衆社会には向かないだろう。なにより、これらの国より、日本の国力が勝っていることは確かなのだから、まねする必要はない。