投稿元:
レビューを見る
本当に、『幻妖』っていう言葉が相応しいなぁと思った短編集。こういう類のファンタジーは、スッて入ってくるか全く受け付けないかなんですが、不思議とこの短編集は面白かった。血わき肉躍る冒険譚、ではないと思うのですが、妖しく美しい、『ファンタジー』よりも『幻想譚』って漢字で言いたくなる感じ。
投稿元:
レビューを見る
まったくのジャケ買い。表紙の女性の妖しさに、つい手に取ってしまった。しかし、看板に偽りない妖しい物語がみっちりつまっていた! 渋い訳文ともあいまって、寝物語にもってこいな感じ。
投稿元:
レビューを見る
幻想に相応しい一冊。思い浮かぶ光景が美しく、良い訳だった。しかし、この世界観は凄い。実際にある神話と勘違いしそうです
投稿元:
レビューを見る
死にゆく赫く翳る太陽
不毛の砂漠と廃墟と化した城
降霊術に操られた屍体に傅かれた饗宴
突如碧空を遮り暗黒の潮流へと翻弄する海
茉莉花色の肌で幻惑する、異形の者へと変容する魔女
作者のクラーク・アシュトン・スミスは詩人だそうで。
そのせいか映像がありありと思い浮かぶような文章。
そして、描かれているものは残酷だったりグロテスクだったりするのに不思議と美しい。
投稿元:
レビューを見る
詩人でもあり、名文家としても知られるクラーク・アシュトン・
スミスによる、未来の終末期の地球にある大陸ゾティークを舞台と
した幻想短編集。
ラブクラフトとの親交からクトゥルフ神話に関係して語られること
の多いように思うC.A.スミスだが、この短編集を読む限りクトゥルフ
神話とはまるで違う作品だと思う。おぼろげに恐怖が浮かび上がり
それが描写できないからこそ恐ろしいラブクラフトの小説とは
異なり、あらゆる場面においてその映像が目の前に浮かぶように
感じるほどイメージ喚起力が強いのが実に印象的。スミスが描こう
としたのは恐怖ではなく幻想であり、読後にまで心にどこか引っか
かるようなクトゥルフ神話とは違い、読んでいる間だけ異世界に
トリップさせてくれる上質な童話、そんな感じである。
時期を空けずに他の短編集も読みたいと思っている。
投稿元:
レビューを見る
クラーク・A・スミスの本が久々に出版!
読み始めたら引き込まれ、一気に読んでしまいました。
今までたくさんのラヴクラフトの著書やクトゥルー系書籍を翻訳している大瀧 啓裕さんの翻訳なので、世界観の描き方はいいですね。
短編集なので、気楽に読めますし、SFファンにもお薦めです。
投稿元:
レビューを見る
遥か未来――。
太陽は衰えて弱まり、物質文明、技術、宗教は衰退して、精神文明、魔術、新たなる宗教に取って代わられた。
大陸は水没して、残った陸地は群島となり、その中で最も規模の大きい群島の地域はゾティークと呼ばれていた。
本書は地球最後の大陸ゾティークを舞台に、魔術や降霊術が横行し、妖術師らが術を競う話が集められた連作短編集である。後にクトゥルフ神話に取り込まれることになる、食屍鬼の神が登場する『死体安置所の神』や彗星に乗って地球外からやって来た魔物が登場する『墓の落し子』など、17篇を収録。
グロテスクながらも詩的な描写。予言や神々、運命に抗いながらも翻弄され、哀れな最期を遂げる登場人物たち。淡々と、しかし肝心な所は無駄なく克明に綴られる物語。ハイ・ファンタジーが好きな人ならきっと気にいるだろう。
投稿元:
レビューを見る
降霊術、魔術の支配する地球最後の大陸ゾティークを舞台とする妖異と怪奇に満ちた幻想短編集。物語的な面白さよりも、精緻な文体を駆使した描写とイメージが際立つ。死と残酷と冒?をモチーフとした物語群は小説よりも、むしろ詩に近いと思う。エドガー・アラン・ポーやゴーチエを想起させる。