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日本の政治においては奇妙な事態が起こったり、不可思議な言説が飛び交ったりすることが枚挙に暇がない。
・国会議員は国民の代表なのに国民から信頼されていない。でもその議員の再選率は高い
・政治家はともかく、ニュースキャスターやコメンテーターも「国民の立場」、「国民目線」という言葉を濫用
・「生活者(消費者)重視」?この言葉は「生産者」としての国民を見ておらず、国民を単なる行政サービスの受け手としか考えていないのでは?
・もっともらしい言葉が飛び交うのは「政局より政策」という風潮と関係があるのでは? 政治家は「国民のため」と聞こえのことを言って国民のことを考えているポーズをとるだけで、国民は政党の政策に目を向けるだけで政治の持つ俗悪さ(政治闘争など)に目を向けない。政治家も国民も善人ぶって真剣に政治に向き合おうとしないから、国民が本当に望む政治が実現しない。
著者は政治不信の原因を政府の肥大化(仕事の増加)、国民の高齢化(高齢者が増えると、医療・福祉を中心に政治に対する意見が多く出る)、価値観の変化(脱工業化、グローバル化による価値観の多様化)にあることを指摘し、政治にまつわるもっともらしい言説を追放し、政治リテラシー教育を進めることで政治を見直すことを主張する。
現状では中学の公民や高校の政治経済の教科書はつまらなくて勉強する意欲が湧きにくいし、日本人自身が自分の意見を表明することにためらいが多いということもある。だが、私もまず自分の意見を持ち、それを主張するということに慣れていきたい。