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今まで読んだ小説の中で、一番衝撃的。
とても一気には読めなかったが、読んだ後の達成感がすごく心地よかった。
村上龍の文章に慣れていない人は読みづらいかもしれないが、
一生のうち一度は読んでみてはいかが?
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『五分後の世界』でも見られたような、「煩雑で暴力的な都市」のイメージ。それを破壊するダチュラを求める少年。
空気を読んで周囲に強調して生きていくことを憎み、何もかもぶっ壊してやりたいと思えるのは若者の特権か。
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難しかったけどおもしろかったなあ。
寮の後輩の愛読書。
村上龍は性描写とか殺し方がエグイw
そこがまた良い味出してるよね。
人間の嫌なところを描き出してく感じ。
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世界が崩壊する物語、には相変わらず惹かれてしまう。
抑圧というものは誰にでもあるが、人によって抑圧しているものは全く違う。性欲であったり、社会的欲求であったり、空間への希求であったり、自分でもわけのわからないもの、であったり。
当然抑圧を解放する手段も人それぞれになるわけだが、自分でもわけのわからないものを抑圧し、それを創作によって解放するのがアーティストや小説家、ミュージシャンなんだと思う。それ自体は本質的には「排泄活動」に他ならないのかもしれない。
俺のような一般人は生理的な排泄と同じように言語を排泄して抑圧を解放する。カタルシス。
創作家はそれとは違う何かを排泄する。
圧倒的に違うのは、彼らは手段を創出することができるが、俺たちは手段を与えられているにすぎないということだろう。
抑圧を解放する術が他者の手に委ねられている不安、そして諦め。養鶏場の鶏のような生活には、常にこういう感情が付きまとう。俺たちが抑圧から解放されるためには、爆発しなければならない。けど、そもそも爆発するべき対象すら与えられていないのかもしれない。
“気付き”は不幸な時間を生む。
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なんだろう、一文一文から立ち上るこのエネルギーは。
残酷で生々しくて不衛生で不平等。すぐにでも目を逸らしたいのに,
熱に浮かされたように読み続けてしまう。みんながみんなどこかしら狂っているので、“普通”を考えることがばかばかしくなってくる。
しかしアネモネはかっこよかったなぁ。きれいでお金持ちで魅力と才能に溢れているのに毎日物足りなそう。だけど自分が一番欲しいものをよく知っている。法廷で肩を落とす恋人に向って更に犯罪を助長させるような発言をする彼女の破天荒さと、その恋人を追いかけて北海道でも小笠原でも行ってしまう一途さ。素敵だ。
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僕はこの小説が大好きだ。
何と言えばいいのだろう。生きることへの抗いというか。嫌われることへの恐怖だとか。煮えたぎる怒りだとか。そういった生きる上で必ず付きまとうであろう感情という感情がこの一冊の本にびっしり詰まっている。
コインロッカーで瀕死の状態で発見されたハシとキクはその場で死んでいてもおかしくなかった。なのにちゃんと生き残った。
<弱虫め、僕は、ちゃんと生き返ったんだぞ>
この一文にハシの迷いない決意が浮かび上がる。
ハシとキクは破壊をやめない。戦い続ける。
簡単には死なないぞと最後に決意するハシの心強さ、成長に感銘を受けた。
圧倒的な世界観と緻密な表現力。そこから編み出される無数の感情の渦はこの小説の価値を何倍にも膨れ上げさせている。
村上龍の小説が、僕は大好きになりました。
それから金原ひとみの解説にはかなり差し迫るものを感じました。彼女の背景まで知って読むとぐっとくる。良かった。
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手を伸ばしたら、
そこにあったのが甘いチョコレートだったら
足を踏み出したら、
その途端に雨が止んで虹が出てきたら
空を見上げたら、
青い空と白い雲がそこに浮かんでいたら
君と一緒にいたら、美しい未来が描けたら・・・
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灼熱の暗闇で誰にともなく助けを求める夢、深海に潜りその水圧と闇に押し潰される夢、舌を噛みきり止めどなく流れ出る血液を飲み干す夢。
本書を読み進める度に、幾度も夢を見た。そのどれもが暗く苦しく、逃げ出したくなる夢だった。
それほどに、この小説からは大きな衝撃を受けていた。
母親の顔も見ることが出来ずにコインロッカーに捨てられたキクとハシ、二人の人生はどれほどの苦しみを伴ったのだろう。
作中で男がハシに対して、お前は産まれた時以外は温い場所で甘やかされて生きてきた、と言うが果たしてそれはどうか。一番重要な基盤となるものが欠如してしまったものに対して、それ以降の幸福はどのような影響を与えるのだろう。答えと言えるべきラストに繋がっているのだと思う。
巨大な鰐を飼うアネモネは、キクとともにテロを企てる。東京を美しい灰の街に変えるというその計画。
エネルギーが溢れていると感じた。
これほどまでに力強い、読者を揺り動かすような小説は初めて読んだ。
物語に入り込んでしまえば、頁を捲る手は止まらなくなるのに、一度休憩を挟むとなかなか表紙を開けない。それでも読んでしまう。
十六歳の今、この小説を読んで感じ受け取ったものは、数十年後に読むときと比べてかなり少ないだろうし浅はかなものだと思う、でもだからこそ今読んでみて良かったと思った。
大切にしたい本になった。
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凄い速さで走り過ぎて行くような話。読んでいるときは苦しい。でも、読み終わった時に消化不良を起こさない。
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村上龍で1冊だったら、やっぱりこれかな。
それまでこんな世界に触れたことがなかったので
衝撃が大きかったです。
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「時には、僕を忠実に愛している者の頭を叩き割ることが必要だ。何のために?自分の欲求と出会うためにだ。」
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本好きな友達から勧められた1冊。
小説にしては長編で、
入り込むまでに時間がかかったけれど
中盤からはスピード感あるストーリー性で
一気に読むことができました!
人間らしい影の部分とか
ちゃんとあらわされてたのが印象的です!
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一気読みしてしまいました。いやー面白かった。
厳密に言うと、おもしろかったのかわからない、気持ち悪いし怖いし、不安になる小説。だけど、先の読めなさと二人の主人公を交互に登場させる手法は飽きる暇を与えない。
奇想天外でありながらも、根っこの部分は人間の原点、自分の存在意義や親とのつながりというリアルな苦悩を扱っているから、感情移入できるのだろう。
しかし上手い。ガゼル、山根、文鳥の鼓動、オートバイ…というつながりというかサイクルというか、あの辺が好きだった。
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ワニを飼う女の子っていうスタイルは岡崎京子が元祖だと思ってたけど、たぶん、こっちの方が先だよね。これに影響を受けたのかね、岡崎京子は。なんてことも思ったわけだけど、それは蛇足で、ハシとキク、アネモネのトライアングルが醸し出す協奏曲であり狂想曲の素晴らしさ。切迫感だなぁ、やっぱり村上龍の作品のキーワードは。すごい疾走感で、読んでる側の中にあるいろんなものを食い散らかして、いろんなものを崩していく。目を背けたいものを「ほら、これこれ、ここにあるよ」と目の前にかざすような小説。(10/2/21)
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読むのがつらい。みな汚れ苦しむ暗黒の世界の描写は気持ち悪くて感覚を逆なでしてくる。でも不思議とやめられない。あの癖のあるオリーブの実を、全然好きじゃないのにやっぱり食べてしまうそんな感じ。
彼らの奏でる不協和音の鳴り響くその世界に、否応なしに引きずりこまれてゆく。
2010/07