投稿元:
レビューを見る
著者が高校で行った講義の内容をまとめたもの、みたい。
高校生にはレベルが高すぎるんじゃないか?というくらいにマニアックな情報が含まれてたけど、講義を受けてる高校生はちゃんと理解して鋭いコメントをしてたり。ってか高校で日本史適当に受けてた自分よりすごいわ彼ら。
講義内容は開国以降の歴史を追いかけつつ、日本の判断、戦略を多彩な資料を以って解説していく、というもの。
すごい細かい資料を使ってこの時代の空気はこうだった、とかこの判断はこれが根拠だ、と述べててすごく面白い。
特に日中戦争時の胡適の「日本切腹、中国介錯」論はこれだけでも読む価値がある、と言いたくなるくらい凄い。衝撃的な論説。
なんだけど、その日中戦争あたりからの解説については著者の解説は面白みが減ってく、と思う。日露戦争くらいまでは冷静に解説してるのに、どうもそれ以降は「日本のここが悪だった」みたいなのがちょくちょく入ってきて。
「わるかった」ではなく「あくだった」。
別に日本は正しかった、と言って欲しいわけじゃないんだけど、もう少し正義とか悪とかいうのを抜いて話して欲しいなー、と思うのです。歴史なんだから。
でもまだ多分日本の中で、日中戦争以降はまだ「歴史」になってないんだろうな。
そんなことを思いながら後半を読んでました。
投稿元:
レビューを見る
ちょっと難しい本だと思いました。
でも読み始めるととまらなく今まで読んだ本の中でも
一番時間をかけず読み終わりました。
読み終わっての感想は、歴史、戦争の見る目がかわります。
とてもいい本です。
投稿元:
レビューを見る
「普通のよき日本人が、世界最高の頭脳たちが『もう戦争しかない』と思ったのはなぜか?」というカバーに惹かれました。昨年の出版以降、結構話題になっており、ネット上の書評でも多く採り上げられています。書評は賛否両論の上、否定的な書評も「侵略戦争賛美」から「自虐史観」まで分かれています。日中戦争から太平洋戦争にかけては、未だ歴史として定着していないことを改めて考えさせられます。
東大教授である著者が、明治維新から太平洋戦争までを進学校の歴史研究部の中高生メンバーに授業する形式なので、理解しやすく書かれています。もっとも、この歴史研究部のメンバーのレベルが異常に高いのですが。日本史の授業では、近現代史はあまり時間をかけず、サラッと済ませていたので、初めて知った事実も多々ありました。また、近現代史は、日本史と世界史を一体で見るべきだと思いました。日本対アメリカ、日本対中国といった1対1の関係ではなく、多対多の中での日本を位置づける必要があります。
著者は、「歴史を学ぶことは未来に備えること」と対談で述べています。戦争責任に関しては、様々な見方がありますが、戦争は間違いなく甚大な被害をもたらします。そういった戦争の悲惨さを歴史に学び、後世に伝えるために、歴史を振り返るには相応しい内容だと思います。
投稿元:
レビューを見る
この本では、教科書には載ってなかったり、学校では教わらない深い部分までよく説明されている。今の世代は知らないことが多すぎる。学ぶところの多い本。歴史を見る目が変わる1冊だった。
投稿元:
レビューを見る
戦争について知りたいと思ったので読みました。本の内容は、学校では
習わないような世界大戦のときの日本の外交など日本の裏側的なことが載っていました。自分のなかの戦争のイメージが変わりました。
投稿元:
レビューを見る
加藤陽子さんが鎌倉の名門、栄光学園で高校生を相手に行ったレクチャーを単行本化したもの。
語り口は分かりやすいけれど話の構成は正直それほど分かりやすくもなく、文章もだらだらとした印象を受けた。彼女が一番神経を使ったという手書きの地図も、正直それほど見やすくない。
このレクチャーを話し言葉を生かしたまままとめようとした、編集者の力量もあるのだろうと思う。(そして対談をうまくまとめた編集者としての小熊英二をまた改めて尊敬する。)
内容としては、関連する書物を色々ひっぱりだしてきて、~先生がこの本の中でこんな研究をしている、といった情報を逐一与えてくれるので、今後の勉強に役立つと思う。
ただ、せっかく高校生とインターアクションをしているのだし、もっと彼らからの質問や疑問を生かした形でレクチャーしてほしかった。それでも、何故戦争を選んだのか?ということに対して、明確なイメージがでてこないまま読み終わった。答えなんてないのかもしれないけれど。
投稿元:
レビューを見る
歴史研究者が、日中戦争~第二次大戦の日本の歴史を、高校生に講義形式で語る本。
当時の要人の書簡から細かく時代考証がされていて、いかにして日本人が戦争を選択したのかがわかりやすく書かれている。
歴史は点と点、それをつなぎ合わせるのが現代の我々の役割なのだろう。
投稿元:
レビューを見る
日清戦争も日露戦争も第一次も二次も、戦争は何となくごっちゃになって覚えてましたが、それぞれが色々な理由やタイミングで進んでいく、そのことを丁寧に先生が教えてくれました。
こんな先生がいたらもっと早く歴史に興味が持てたのに、残念です。こんな授業いっぱいやればいい。右とか左とかではなく、事実を淡々と、教えてくれた本でした。
投稿元:
レビューを見る
南北戦争の死者数が多いことを知る。
戦争のリアルさが抜けているのが怖い。学者の研究対象ではあるが
やはりそこのところは外してほしくない。
(少し言及されてはいるが)
投稿元:
レビューを見る
日清日露戦争から太平洋戦争までの流れを勉強することができました。
坂の上の雲を読んで、実史はどうなんだろうと思っていたので、思わず読みました。
また、戦争への道には帝国主義という時代背景はもちろんですが、根底に日本の貧困が原因としてあるとにらんでいたので、この本を読んでその考えに間違いがないと確信しました。
民主主義は完璧ではなく、いろいろ欠点もありますが、すくなくとも戦争には不向きな制度だと改めて思います。
世界中から戦争(内戦)をなくしていく作業にこの日本の経験が役に立てばと思います。
投稿元:
レビューを見る
日清、日露、第一次大戦、満州事変、日中戦争、そして太平洋戦争と近現代の日本史を戦争を軸に語られている。高校生への授業をベースに作られた本なのでとてもわかりやすい。地図も工夫されている(拠点、鉄道、領域)ので地政学的な観点から当時の為政者がどのように戦争を位置づけていたのか一目でわかるようになっている。
それにしても高校生たちの質問は鋭い。ちょっとできすぎの感がなくもないが……。
投稿元:
レビューを見る
本書(加えて『日本という国』)を読んでいる間、なぜかずっと頭の中にあったのは、フーコーの系譜学的な視点です。自分が立っている「今ここ」がどのようにしてあるのか、様々な諸力や分岐点、選択の積分に思いをめぐらしました。
投稿元:
レビューを見る
歴史って暗記科目だ。そう思って生きてきた。そう思っている人ってけっこう多いんじゃないかな。大学生はまちがいなくそう思っているからね。この間バイトの学生に「日本史とか好き?」って聞いたら、「好きですよ」という答えが返ってきた。へぇぇぇ、と感心して、「どこがおもしろいの」と返すと、
「私、覚えるのって得意なんです。それで覚えただけ点が取れると楽しくって。努力の甲斐がすぐに出るでしょ。」
笑い話みたいだけど、その学生、ごくまじめに答えてんの。ほんとうにマジな話なのね。そんな人が教師になってまた覚えるだけの歴史を教える。そうやってどんどん歴史は受験以外に役に立たない科目になっちゃうんだな。
あれ?この逸話、可笑しくない? ……あ、そうか。この話、何が可笑しいのかもたぶんわかんない人がいるかもしれないわね。なんせそういうふうに教わってここまで来ちゃえばねぇ。そういう人のためにひとこと言うと、歴史って暗記科目じゃなくて考える科目なのね。そして受験じゃなくて日本の明日のために役に立つのよ。きっと。
そういうことを実際にやってみたのがこの本。書いたのは東大の日本史のセンセイ。でもこの本はこのセンセイが書いたと言うより、このセンセイが中学生、高校生に講義した成果なのね。だから、中高生向きの教科書と考えればいいわ。
加藤センセイは日本史の教育は大学では遅い、鉄は熱いうちに打て、とかねがね思っていたようなのね。それで彼女なりの「理想の教科書」を書きたかったらしいんだわ。それを知った朝日出版社が加藤センセイに中高生を対象に講義をさせるという企画をしたらしいの。その成果がこの本というわけ。
というわけで、加藤センセイの日本史講義は二〇〇七年の年末から翌年にかけての五日間の集中講義で行われたのね。お相手は栄光学園中学一年生から高校二年生までの一七名。歴史研究部のメンバーが中心だというので歴史に対する関心は強い生徒たちだ。という前置きはさておき、五日間の集中講義なので、講義を聴くつもりで読むとついていきやすいわ。実際の講義をもとにしているから、ときどき生徒に問いかけたりしているのね。そのやりとりがけっこうレベルが高い。しかし、中学生や高校生でこの程度の反応はできておかしくはない。そういう素地があればね(小中学校の責任だよ)。
で、題名がすごいでしょ…「戦争」を選んだ…だもね。講義のテーマは「日本の近現代と戦争」なんだ。日清戦争に始まり太平洋戦争に至る、その戦争をどうして日本は選択してきたのかを生徒たちにまさに当事者になったつもりで考えさせながら歴史を解読していくのだ。日清戦争-日露戦争-第一次世界大戦-満州事変と日中戦争-太平洋戦争と章立てはそうなっているけど、それらの戦争はずっと一貫して続いてきたんだってことがわかるし、それは日本とアジアだけに閉じた歴史じゃなくって、世界史的な構造の中での話だったことがわかってくる。学校の歴史教育が日本史と世界史に分かれていること自体がおかしいのかもしれない、と思っちゃうね。
そうすっとね、単純に侵略したとかしなかったとかではなくて、その時代の中にいた日本���の歴史を選択してきた理由を推し量ることになるんだなあ。歴史ってこんなに意味のあるものだったんだってことがよくわかる。受験のためだけに暗記させていく歴史教育がいかに非効率的かってこともよくわかるね。だってこの本のほうが教科書よりもよく歴史がわかるんだもん。わかるだけじゃなくて、この本を手かがりにちょこちょこ調べていくと入試なんて屁のカッパだな。ちゃんと理屈の通った物語として頭に入っていく。試験対策に覚えなくても自然にいろんな物事が頭に入っていく。まさに「理想の教科書」なんではないかな。
平和教育に戦争の悲惨さだけを実感なくつたえたり、侵略と被侵略の単純な構図なんかで歴史をいじりまわすこともちゃんちゃら可笑しくなっちゃう。そんなわけで、この本で授業改革できそう。
自分で授業を作るためには参考になりそうな文献やらなんやらは加藤センセイがいっぱい紹介してくれているから、自分なりの授業プランが作れそうだし、高校だったら日本史と世界史をドッキングさせて授業作りもできそう。但し、教師の力量が問われることもまちがいないけどね。
もちろん、フツーに歴史書として読んでも痛快。あたしも松岡洋右を見直しちゃったし(国際連盟脱退の時に席を蹴って退場するイメージとは別の、ほんとうは戦争なんかしたくなかった彼を知ってしまったの)、何枚も眼から剥がれる鱗があると思うよ。
とは言え、この栄光学園って、東大に何十人も入る進学校なんだ。そう言うと「だから、こういう講義をやっても成り立つんで普通の高校じゃねぇ、ちょっと無理じゃない」などという自己防衛の声が聞こえそう。でもね、この学校、例えば高一ゼミというのがあって、「沖縄」とか、「原子論の歴史と原子論的な歴史の見方・考え方」とか、「映画で学ぶ世界の歴史」みたいなテーマの成績のつかない少人数教育をやっている。そう、「自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考える」下地ができているんだね。単なる受験校ではないのだろう。
http://ekh.jp/ga/k1z.html
とは言え、やはり、当然ながらというかレベルのチョー高い学校であることにかわりはない。しかも歴史好きの歴史研究部のメンバーだからね。でも、いやだからこそ見習うべきことは見習った方がいいと思う。
☆☆☆☆ そして、二度と戦争を選択しないためにわれわれはどうしたらいいのか。それを考えるのにも本書は必読だ。
投稿元:
レビューを見る
中学の時に流れだけサラっとやって、個人的にロマンを感じる時代ではなかったので深く探ろうとしなかったのですが、やはり近現代の戦争は現代にも繋がるから、きちんと押さえておいた方がいいなぁと反省しました。
現代の私たちは、「武力はよくない」とか「戦争は悪いことだ」とか、「戦争をする前に話し合うべきだ」とか、とにかく前時代を否定的に受け止めて世界平和を説いています。
学校の教科書でも、平和主義とか戦争根絶とか、そんな風に刷り込むように教えています。
だから私たちは、「戦争」というものを否定的に受け止めている。
でも、もし、戦うことが時代の風潮で、それがエエカッコシイ、つまり時代の風潮だったのなら。
きっと私たちは、流されてしまったでしょう。
「メディアリテラシー」なんて言葉もあるけれども、結局のところ情報源と言うものはある程度限定されていて、真実が暴かれると言っても、それは事実のほんの一部でしかないのです。
私たちは作為的にリークされた情報から、都合のいい状況証拠のみをかき集め、論理武装で主観と独断を正当化しているにしか過ぎないのでしょう。
この本や、現在一般的に「この人の考えは正鵠を射ていて、先時代的」と評価されている言論は、現在の我々の風潮にとって都合がいいもの、合ったものでしかない。
善を際立たせるために、悪をピックアップする。
でも、悪には悪の論理があって、正義や大義名分があったのだろうとも思います。
誰か、何か、一部特定の存在に責任を擦り付けるのではなく、その人にはその人なりの思惑があって、人々の利害が複雑怪奇に絡み合って糸を引いてしまった結果が「総力戦」の戦争だった。
ただみんな幸せになりたくて、家族が笑ってほしいとか、そのために国にしっかりしていて欲しいとか、或いは自分の権力を認めて欲しいとか、自分の考えを肯定されたいとか、結局それが根本のように思えます。
日本を守るために、朝鮮をロシアや中国の支配下になるのを阻止しようとして無理やらかしたり、満州を支配してみたり、なんか色々やっているうちに引き返せなくなっちゃって、突き進むしかなかったのでしょう。
日本軍の、ごく普通の兵隊さんたちの大部分は農民で、農民を懐柔する政策を掲げた軍に人が集まるのも無理はないし、村民を差し出せば村に補助金が出るなんて聞いたら村長さんが村人を満州の開拓に送り出すのも無理もない。
様々な立場の人がいて、様々な考えがあって、その結果「もう戦争しかない」という結論に辿り着いてしまった。
歴史は螺旋階段の用に巡りながら、くり返しながら、それでも学習してゆく。
生き物みたいに。
私たちは常に、様々な切り口や角度から物事を判断しなければならないのだということを改めて実感しました。
投稿元:
レビューを見る
テキスト的な時系列だけではなく地政学的な空間把握から政治・軍事・経済・文化・・・と多面的にまとめられてて素晴らしい。特に、最近の本にしては珍しくルビがかなり打ってあったのが色々と気を使っている感じがしていいです。講義に出てきている中高生頭良すぎてびっくりしたけど、やっぱり加藤先生に会ってみたくなりました。