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新刊の棚にあった野中ともそさん。
ひさしぶりに野中さんの本を読んでみました。
めちゃよかった!
いい時期に読んだかも。
短編だったけど、心にくるお話が多かったです。
それぞれのお話に登場してくる人物像がとてもはっきりしていて、そのひとたちが真剣に語る言葉ひとつひとつに自分も重ねてみたりして、共感していました。
ひとつひとつ語りたいけど、時間がないので、かんたんに抜粋。
☆気になったぶぶん
・犬のうなじ
ジェイソンとナミエカップルがむちゃいい。とても好き。
本当に大きな哀しみには気づかぬふりで、些末なことに心を砕く。そうしないと生き延びられない同士だから、一緒にいるのだろうか。
緑朗が消失した時点で、「これからはオマケで生きよう」と言い聞かせた人生は、オマケで固められたディオラマを築いている。チョコエッグのオマケのように精密で愛らしい箱庭だ。そのなかでちまちま動いている自分を思い浮かべ、ナミエは満ち足りた気分になる。
・だまされ星は、やさしい光
主人公がやのだちゃんに惹かれる気持ちが、すごくよくわかる。
要領よくて、ずるくて、ひょうひょうとしていて、ちっとも罪悪感がなくて、一緒になってバカになって、なにも考えずにいられたら。。と夢をみてしまうのかな。
そのころの千里はすでに知ってしまっていた。ふいの休日に、調子のいい台詞とともにあらわれる父の幼馴染。唇の脇におだやかな皺の寄ったひょうきんな顔。だが、その瞳の奥に、どうしてもたどり着けない甘く透明な暗さがただよっていることを。
私と矢ノ田ちゃんのあいだには、何万光年もの距離が衛星のようにループを描いている。その軌道上に父がいる。ときおり矢ノ田ちゃんに鋭い視線を投げるようになった母がいる。そして、たぶん矢ノ田ちゃんを好いたり、好かれたりする女のひとたちが。
私は、衛星の軌道のはしっこにしがみついてる、くず星だ。
・椰子がなくちゃ、生きていけない
別れたけれど一緒に暮らしている睦美と隆生が旅行にでかける。
「私さ、いろんなもんが通りすぎるのをぼぉんやりながめて暮らしていけば、それでいいんだ。面倒じゃない?わざわざ風景として切り取って残したり、整理したりなんて」
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9.11アメリカ同時多発テロによって(?)変わってしまった人生を書いた短編集。
アレだけ大きなことがあったら、そりゃ人生も変わる。
9.11に深い悲しみや、思い入れがある人は読まないほうがいいでしょうね・・・。
特に関心がない人や、あんまり覚えてない若い世代に読んで欲しい作品。
個人的にアメリカの文化があんまり好きじゃないので、共感はできませんでしたが・・・。
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授かり婚の後別居中の娘夫婦の元へ通う「凧、つかむ」
流産して単身帰国し、離婚届を持ってニューヨークに戻る「天使のシンバル」
バイク旅から戻ってこない恋人を待ちながら拾った犬を飼う「犬のうなじ」
父に借金を押し付けた友達と温泉旅行にいく「だまされ星は、やさしい光」
別れたのに同居を続ける女とメキシコを訪れる「椰子がなくちゃ、生きていけない」
ピアノバーの客とグランド・ゼロに着物を投げ込もうとする「月の穴」
冒険家になり妻に逃げられた幼なじみの娘を預かる「銀河を、木の葉のボートで」
9.11にまつわる短編集。
装画:寺門孝之 装丁:大久保伸子
あまり心に残らない本だった・・・
9.11に関わりのある日本人たちの話なんだけれど
遺族というほど強く関係しているわけでもなく
近くで起こった大きな事件、というくらいの影響しか受けていない感じです。
せっかくの題材なのにという気もしますが
直接の被害を受けなかった大多数の人にとってはこういう印象なのかも。
それにしても理不尽さとか虚無感とかもう少し書いてほしかったなあ。
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9.11の同時多発テロに絡めて、様々なシーンで葛藤する7つのお話。どれもスパッと解決する最後ではなく、何かが動き出すのを ほんのりと匂わせる終わり方になっている。最初の2編が特に心に染みた。どれも映像が見えるような話になっています。
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ニューヨークと日本が舞台の短編集。
野中さんは新刊がでたら読むと決めているので読む。
物語のどこかにニューヨークの同時多発テロが絡む。
静かに暗いけど明るいような複雑な心境を表した話が
多かった。多少前後の話と登場人物が交差したりして
面白い遊びもあった。ただこれといって特徴のある話はなくて
どれもどこかで聞いたような読んだような話ばかりで★は3つ。
もう一度読みたいと思うほどの読後感でも文章でもなかった。
読んでもいいけど、この作家にとくに興味なかったら読まなくていいかな
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9.11の同時多発テロが必ずお話のなかに入っている短編集です。
図書館で借りて、細切れにばーっと読んじゃったので、あまり読み込めてないですが、ちょっと切なくて、なんかいいなと思える本でした。
もう文庫になってるのかな?
また読みたいです。
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ジャケ表紙のボーに惹かれて読んだ。
煤けたような恋愛短編小説だった。
第3話目に犬のうなじが出てくるのだが、主人公の心に残る恋人への想いを抽象したのが「犬のうなじ」なのだ。