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以前店頭で衝動買いしたものだが、はずれだった。
北海道に変容しながら現在伝わっている信仰についての、民俗学的記述が読みたかったのに、これは全然そうでなく、松前藩とか、日持とか、とにかく歴史的記述ばかりだった。そして、そうやって古い時代に道南に伝わった宗教ばかりえがいており、現檜山管内の乙部町の神社なんかもとりあげて詳述している。
「無形・有形を問わず、その心の共有財産を、後世にもしっかりと伝え残していかなければならない」
などとかっこつけて言っているが、早い話、乙部がいわゆる「田舎」だから残っているというだけで、だから田舎は田舎のままにして、過疎化してもいいからそのまんま残しなさい、などという話はとおらない。
だいたい、この本が通用するのは道南の一部に限られている。
全道的に、近世から近代?にかけて、全国のあちこちから入植されてきているのであり、かなりバラエティに富んだ出自が混ざり合っているのが、北海道の現在である。
そして、北海道化する過程で、宗教的なもの・冠婚葬祭的な習慣が、シンプルになったり、変形されたりして、こんにちまで続いている。そのへんの民俗誌的な探究を、読みたかったのだが。。