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秦の始皇帝といえば、中国初のエンペラー。
彼は皇后と愛人の間に生まれたと疑われ、周囲から常に不信の目を向けられていた。しかし、兄弟が早逝し、国王である父も在位数日で亡くなり、若くして国王となった。そして、彼は生まれてから死ぬまで人を信じることはなかった。
数々の裏切りや暗殺を乗り越え、中国を統一するが、領土全てを自らの直轄地とし、法律で統治した。家族や配下に領土を分け与えるようなことはせず、頼るのは法と己の能力だけ。彼は国の権力全てを自らで管理した。「国=始皇帝」の結論のもと、彼が求めるのは自らの不老不死だったのは必然だ。
だから、彼の死とともに中国統一国家、秦が滅びたのも当然だ。
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始皇帝を主人公にした、500ページにわたる長編小説。
小説というから、フィクションも多数含まれていると思うが、始皇帝を暴君のイメージ通りに描いている。
キングダムの嬴政とはほど遠い。
でも、多分こちらの嬴政の方が実像に近いのだろうと思う。
むしろ、人の痛みを分からないサイコパスの様な人格でないと、中華では人の上に立ち続けることはできない。
この本では、嬴政が極悪人に描かれ、嬴政以外の人物、成蟜、母、呂不韋などは、むしろ嬴政に翻弄されている。
裏切り、謀反、焚書に、虐殺と、本書での始皇帝は凄まじい。
そして、中華統一後の嬴政は、国造りよりも、不老不死の薬を求めることに躍起になり、それがむしろ自身の寿命を縮めてしまった。
史上初中華統一を成し遂げたことは偉業だが、それ以降の経緯を見ると、それほど優れた人物ではなかったのかもしれないと思わせる。
特に死後、遺言を改ざんされ、長男を自殺に追い込まれ、信頼していた宦官趙高に好き放題されるというのは、始皇帝が自分の死後を全く考えていなかった証拠。不老不死を求めていたから死ぬつもりはなかったのかもしれないが。
始皇帝嬴政の光の部分だけでなく、闇の部分もきちんと見つめないといけないと気付かされた一冊。
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キングダムの結末気になりすぎて読んだけど、思ったより簡単に中華統一してた。
物語調で読みやすい。
キングダムでは呂不韋は悪いやつって印象やったけど、実際は頭の切れる敏腕商人やったと知って好感度上がった。個人的にはウツリョウが良かった。優秀で国に尽くした割に、秦王を見限るとあっさり身を引くところが世渡りうますぎる。あんな人になりたい。
逆に、始皇帝は思ったよりも偉大じゃなかった。始皇帝が中華統一を成せたのは、始皇帝の有能さもあるけど、それよりも環境が整ってたってのがでかいんやな。特に、法家主義だったこと、それに伴い有能な人材に囲まれてたこと、母親が墨家の拒子やったこと、いろんな条件が上手く重なって中華統一に繋がったと学んだ。歴史の教科書で学ぶと、あたかも始皇帝1人の手腕で統一したみたいに感じてたけど、その背景にあるドラマを知れて面白かった。
キングダムでは始皇帝が道徳者のように扱われてたから好印象持ってたけど、実際はかなり残酷なことしてたことに驚いた。それほど激動の時代やったんやなとも思った。戦国の世よりも、統一後の方が国民が苦しんだってのが皮肉的やった。
戦国の世ほど「明日は我が身」な時代はないと思う。失言1つで命が奪われる世界は怖い。あんなに活躍した呂不韋とか白起が呆気ない終わり方なのも世知辛すぎた。