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もともと日経新聞に連載されたものを加筆修正して単行本にしたものなので、一つ一つの項は短く読み易いです。しかも半分はグラフや表なので、斜め読みなら1時間で読めますw
入門書ですので、どこかで一度は目にしたものが多いです。
項目毎に関連書がたくさん紹介されていますので
面白そうなのへ読書を広げて行きたいと思います。
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一個一個しっかり検討してみると、経済の構造を理解するうえで役に立つかもしれない。嶋中さん意外と立派かも。
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ジェグラー「恐慌に先行する兆候は大繁栄というシグナルである」。
複合循環 超長期=コンドラチェフ=社会資本投資による 長期=グズネッツ=建設投資による 中期=ジェグラー=設備投資による 短期=キッチンサイクル=在庫投資による。
季節変動は12か月移動平均によって予測する。これを除いたものが季節調整値。
先行・一致・遅行のDI。それを基にしたCI。
OECD総合(景気先行指数)は日本の輸出数量に先行する。
ユーロ圏は米国景気を後追いする傾向が強い。景気回復の先導はドイツの輸出産業。
過少消費説と過剰投資説。
景気の山では過剰投資説、景気の谷では過少消費説が説得力がある。
乗数効果と加速度原理を組み合わせたモデル=サミュエルソン
玉突き台の理論=完全雇用による所得水準の限界を上限とし、と独立投資の増大を下限として、国民所得が両方の間を動くという理論。
円安は穏やか、円高は急激。輸出企業のドル売りがさらなるドル売りを呼ぶ。
ケインズと対極のシュンペーターとハイエクは、景気循環の制御に反対。フリードマンは、認知、実施、効果のラグがあるため、政策によって増大するおそれがあるとした。
景気の山では
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景気循環というと、個人的にはややマユツバものというイメージがありました。
確かに景気は上がったり下がったりする事実は分かるけど、それが物理現象のような正確な規則性をもって美しい波を描くとは俄かに信じ難く、経済って不確定要素に影響されたり、構造的な要因で前提条件が変われば景気の波の周期や幅も変わると考える方が自然なんじゃないかと。
この本を読んでそのイメージは少し改まりました。
景気循環といっても「いざなぎ景気」みたいな比較的短期の波を指すだけではなく、周期が長いものから短いものまで複数の循環サイクルを考慮する必要がある。
コンドラチェフ・サイクル:50〜60年周期の長期波動(社会資本投資サイクル)
クズネッツ・サイクル:20年周期の長期循環(建設投資サイクル)
ジュグラー・サイクル:10年周囲の中期循環(設備投資サイクル)
キッチン・サイクル:3〜4年周期の短期循環(在庫投資サイクル)
これらの長短のサイクルを組み合わせて考えると、歴史上様々な現象を説明することができる。
また、狭義の経済現象だけでなく、たとえばコンドラチェフ・サイクルの長期波動を2回分まとまた百年サイクルで、国際政治の覇権サイクル(ポルトガルの時代→オランダの時代→英国の時代×2→米国の時代)が説明できたりもする。
何が循環をもたらしているか、についても多くの説が紹介されています。
在庫や設備投資のサイクルや過剰投資説・過少消費説などの経済学的な説以外にも、太陽黒点説やエルニーニョなどの自然現象に基づくとする説、技術革新や景気心理によるとする説など多様なものがあります。
おそらくすべての説にそれぞれ正当性があり、またどの説によっても単独では循環を説明することができないというのが正しいのでしょう。
多数の複合要因に基づき結果として規則正しいサイクルが現れるのだとしたら、確かに物理現象・自然現象に近いものがあるのかもしれません。
そして、それをすべて解析できたとしたら、未来が読めるようになるかも。
だけど正確に未来が読めるようになったら、それによって現在の経済行動が影響を受けたりして…と考えていくとゲーム理論っぽくなっちゃいますな。
本著は、自分が愛読している日経新聞朝刊の「経済教室」と同じ面にあるコラム「ゼミナール」に、昨年(2009年)はじめに連載されたものをまとめて本にしたものです。
あの面はホントに中身が濃いです。
というか日経も、あの面以外そんなに熟読する価値のあるところないかも…。