1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:げん - この投稿者のレビュー一覧を見る
社会の仕組みがより理解できるようになれる内容です。
投稿元:
レビューを見る
「安心社会」から「信頼社会」への移行。本書は、このような社会変化が円滑に進むための条件を探っている。
安心社会とは身内の社会。契約書もなしに仕事が進む日本型ビジネスの象徴である。効率的であるが、異質な他者との関係を結びづらい。信頼社会は、他者を信頼できる仕組み、本書でいる「社会的知性」を備えた社会をさす。
グローバル化が進む現在、こうした知性の獲得は不可避だが、「KY」に見るように、日本はまだこの知性を備えていないというのが本書の見立て。
そのヒントとして、「評判システム」の活用などをあげ、信頼社会への移行を探る。「安心」と「居心地」の両立は可能か、考え込まされる刺激的著作である(日経新聞書評)
投稿元:
レビューを見る
アマゾンのカスタマーレビューで用いられているシステムは一般にピアレビューと呼ばれてる評価方式にメタ評価を組み込む試みの一つといえる。評価する人とされる人が場合によって立場を入れ替えて評価しあうやり方である。
投稿元:
レビューを見る
山岸俊男氏の最新作、2009年10月の出版である。内容は、『安心社会から信頼社会へ』のまとめ、マグリブ商人や江戸時代五人組の安心システムの分析、インターネットにおける信頼システムの評価、抽象商品の売買実験によってネット取引に必要な評判システムの要件を指摘、中国人と日本人における信頼ゲームの傾向、信頼テクノロジーに支えられた新たな「安心社会」の到来を予測、などである。とくに評判システムのポジティブ評価が資産として機能し、簡単にIDを変えて放棄できなくなること、評価の評価(メタ評価)の重要性、メタ評価の妥当性を保つにはメタ評価と推薦情報を連動させること、などを指摘しているのは鋭い点であり、「ネット時代の社会学とはこういうものか」と思わせる名著だと思う。プロフやブログの悪口も「評判システム」と捉えていて、「評判システム」論のすそ野の広さを感じる。ただ、共著者の吉開氏との担当部分がよく分からない。全部、山岸氏の論文のように思える。信頼テクノロジーにおいては、いわゆる「心変わり」などの点で問題が残るだろう。契約不履行などは法的手段に訴えられるが、そうではない事柄もあるかも知れない。ともあれ、興味深い観点がつまった名著であろう。
投稿元:
レビューを見る
閉じた集団による「安心社会」から、開いた集団による「信頼社会」へというテーマを掲げる山岸教授の著作。ネットでの評判実験がとても面白い。
amazonのようなユーザーレビューや評価をどのように機能させるか、とくに評価は加点方式と減点方式のどちらがよいか、悪意の評価をいかに減らすかという、実務的な観点からの解説が多く、実務的にも役にたち、アカデミックにも面白いという珍しい本。評価高い。
著作時点でのネットビジネスでのユーザーレビューに関するいろいろな方式やテクノロジーも紹介されており、辞書的にも使える。
この本でも引用されている、マグレブ商人の秩序形成に関するグライフ著『比較歴史制度分析』に日本語訳もほぼ同時に出版された。合わせて読むとなおよさそう。
投稿元:
レビューを見る
[ 内容 ]
信頼社会から、新しい安心社会へ?
ネットオークションの仮想世界に見る近未来の姿と、山岸俊男「信頼の構造」理論の新たな展開。
[ 目次 ]
第1章 安心社会と信頼社会(安心と信頼;針千本マシン;針千本マシンとしての社会制度;集団主義的秩序;集団主義的秩序のコスト;個人主義的秩序;信頼の二つの役割;安心の日本、信頼のアメリカ;日本社会が直面する機会費用の増大;集団主義と内向きの倫理;統治の倫理と市場の倫理;信頼を支える社会的知性)
第2章 歴史からの教訓(マグリブ商人;株仲間;マグリブからジェノヴァへ)
第3章 実験研究からの教訓(ネット上での不正取引;マグリブ商人とネットオークションにおける評判の役割;ポジティブな評判とネガティブな評判;ネットオークションの実験;第1実験;再参入可能な市場;再参入可能な市場でのポジティブな評判とネガティブな評判;第2実験(インターネット実験) オークションの手続き 第1実験結果の再確認 正直な売り手と不正直な売り手、どちらがより大きな利益を得たか? 評判の「追い出し:機能と「呼び込み」機能)
第4章 評価と評判(評判とは;評価者の能力;メタ評価とピアレビュー;評価基準のずれ;評価のインセンティブ;ネット上の詐欺行為と評判システム;電子商取引に際しての評判の役割;ネット社会における騙しの氾濫;ネット社会における評判システムの種類と特徴;評判システムの具体例;評判情報の抽出;ネット社会に要求される評判システム)
第5章 開かれた安心社会へ向けて?(「安心、安全」を求めて;日本と中国での信頼ゲーム実験;信頼を伝える;関係形成はの投資としての信頼行動;カバマダラとメスアカムラサキ;社会装置としての社会的知性;人は他人の表情をどこまで見抜けるか;完全暴露原理;ユビキタス評判社会;開かれた安心社会?)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
投稿元:
レビューを見る
意外と個人主義の国(中国とかアメリカとか)は人を信頼してる一方で日本人はガチガチの集団主義秩序を作り上げてるので人を信頼しなくていいらしい。
投稿元:
レビューを見る
6日前に同著『安心社会から信頼社会へ 日本型システムの行方』を読んで感動していたのに、山岸先生は4年前に既に「新しい安心社会」を唱えていたのだった。ちーん。/最近耳にするgoogleグラス系のアイディアが示唆されてました。面白かった。
投稿元:
レビューを見る
「論文」的な本です。
序論があり、仮説があり、実験があり、結果のまとめと今後の予測でまとめられてます。
安心社会と信頼社会の違いが述べられており、ネットリテラシーの勉強にもなります。
ネット社会を生きていくには、自分ブランドというものを、強く意識していかなければなりません。