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だらだら読み進めてたけど、全ての役者が揃った後半からは一気に読んでしまった。シュピーゲルグランツのチートっぷり最高。
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ケレンの帝王が書くケレン味たっぷりの神学論争。
はっきり言って、神学的な話の意味はさっぱりわかりません。
でもフィヒテンガウアーさんがとってもラブリーでした。
意味はよくわからなかったけど、面白かったのでいいや。
とりあえず、宗教ってめんどくさいけど魅力的だよね、という結論です。
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「天使」や「バルタザールの遍歴」に比べると大分読みやすいけど、
佐藤亜紀言葉選びのセンスは健在で流石。
神学者くずれのヨハネスと一緒に中世ヨーロッパを旅して豊饒な言葉の世界に耽溺しました。
キリスト教を題材に取った物語だけど、文字通り悪魔的な美少年シュピーゲルグランツがそこにいるだけでファンタジーの味付けをしてて、その匙加減が絶妙。
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平野は私のパクりよと本人があげたのがこの作品。作品自体は悪くない。題材がこどもの発見したすごいことみたいなのだけど、キャラや文体へのこだわりでいい具合にまとまっている。最後は勢い込んで読ませる。
しかし前述の題材にしても、こだわったとはいえ平文に近い文体にしても、まったく平野と重なって感じられない。本人曰く実にうまくパクったからだそうですが、方向性からオチから何から違う気がする。あえてあげれば時代、神、欧州くらいで、そんな作品はごまんとある。
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これ面白いよね?傑作だよね?
「ミノタウロス」も「天使」もよかったけど、これすごいな。
佐藤さんの作品だし、もっと小難しいものを想像していたんだけど、神とか悪魔とか世界とか欲望とか、題材自体も面白かったし、今までになくエンターテイメントというかストーリーが下世話というか、単純に物語としても読みやすかったですね。語り口もやさしかったのではないでしょうか。
しかしこの軽妙な旅の果てに、唐突に、そして必然的に訪れる世界観の崩壊。いやこれは崩壊ではなくて新たな世界観の出現か。それがカタルシスとなって読者を襲うのです。
ああ、どうやら僕は価値観がひっくり返る物語にどうしようもなく魅かれてしまうようです。。。
というか、みんな盗作騒ぎにこだわりすぎじゃない?いいものはいい!!
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この本を評価出来うる知識が私にはない。根本を形作っているキリスト教そして舞台となるこの時代のヨーロッパの民衆・風土について知識を入れてから是非とも再読したい。
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三人称小説の一部を「神の視点」とか言ったりするが、これは言うなれば悪魔の視点だなあ。滑稽。それも最初は面白かったんだけど、途中ちょっと居心地の悪さを感じて逃げ出したくもなった。それを超えたら結構面白かった。
佐藤亜紀作品は『天使』に続いて2作め、やはり今回も自分の頭の悪さを再確認した。二度三度読むべきなんだろうな。
何かいろいろ仕掛けのありそうな小説だったけど、章立てが二十一の章+最後にして結末の章で「アレフからタウまで」のヘブライ文字22と同じ数なのね。私に気づけたのはそれだけでした。よくわかんなくてもわかんないなりに面白いと思う。この文章を眺めているだけでも。
作品としてはどこをとっても申し分ないんだけど、好みの問題で★4つです。
平野啓一郎の「ぱくり」疑惑は勘違いだと思うけどなー。。。まあ、似たような題材の本は二つもいらないだろうと新潮社が判断して絶版にした可能性はあるのかなぁ。。。
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佐藤亜紀さんの文章読んでるだけで幸せなので星5。
キリスト教の知識はあまりないので、そのへんは解説で補いつつ読みました。一度読んだだけでは消化しきれない感があるので、そのうち再読したいなあ。
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『ヨハネスはもう随分と長いこと、ひとつのことしか考えて来なかったような気がしていた ー こうである世の中とこうでない世の中は実はさほど違うものではなく、ただどこか一点だけが、決定的に違うのではなかろうか。とすれば、全世界を変えるにはその一点を変えれば充分な筈だ』
百姓の小せがれでありながら、兄弟ともなじまず、世界の摂理についていつも思っていた不思議な青年、ヨハネス。その摂理を知るために叔父について錬金術を見聞きするも叔父の自殺によってその夢も頓挫し、大人の悪ふざけに絶望した彼だったが、なりゆきでプラハに学ぶこととなる。
そして彼は医学でなく神学を学ぶことになる。『質料(マテリア)を弄って世界を改変することができると考えたのがそもそもの誤りだった。問題は質料ではない、原理だ』
********
佐藤亜紀氏の「鏡の影」は、一言でいうと何になるのかな?と考えた私がたどり着いたのは、これは「翻訳文学」ではないかということ。
作者の知識は置いておいて、作品全体を覆う宗教色、キリスト教の定理に迫る内容、と、テーマとしてはキリスト教を取り上げながらも場所も人物も日本人ではなく、しかもそこに設置された理解のベースに西洋的一般論(キリスト教に関する定義、その誤謬、世の定理を追求する人間と誘惑としての悪魔との契約)が大いに盛り込まれているので、まるで海外の作品を「日本語に翻訳」しているかのようなのだ。
そう気にして読み始めると、文章もどこか翻訳チックなことに気づく。まるで借り物のような文法的な順序だった表現はどこか、読者との距離感を生む。
巻末の解説は、作品の読み解きではなくむしろ作品世界を補充する、解説。ヨハネスの疑問は一神教を前提とすると、当然たどり着くべき論理的帰結なのだそうである。宗教図像学(ってそんな学問もあるのですな)の方が書かれるこれは、読むと内容がまた「翻訳」されて見方が変わるので、余力を残して読むのを勧める。
逆に、翻訳された作品はちょっとな〜というご仁には、日本語で書かれた作品なのにこれ?となるだろうので勧めない。ただしいったんはまるとこの本、佐藤亜紀氏の博覧強記ぶりにめろめろになれるんじゃないのかな。これが好き!となったら私の一押しはやはり、「バルタザールの遍歴」。これも一大スペクタクル‥ではないんだけれど、目の前にどかんと広がる西洋の一大スペクタクル(ただし知識のね)を堪能できる。脳みその体力のあるかたに、勧めたい。
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歴史的背景を理解していれば本当に楽しめるのだろうが、そうでなくとも十分に楽しめる、著者らしい無駄の無い文章でつづられた冒険譚的な読み物。
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翻訳物を読んでいる気がしてきます。
佐藤亜紀さんの小説は大好きなんですが、今まで読んだ中で一番難しい…
神学論を少しかじってから再読しようかと思います…orz
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ここまでテーマが神学的とは思わなかった。テーマも文体もクラシカルなのに痛快でカジュアルで読みやすい。
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正直理解が難しく、途中で何度か投げだしたくなった。価値観がゆらいでる世界での出来事を描いている、ということなのだろうか。ただ、異端とされているものの本質が明らかにされることがないので、いったい何について争っているのかが理解できないのだ。
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「世界を変えるには、ある一点を変えるだけでいい」
そのような考えにとりつかれた主人公ヨハネスは
科学とも魔術ともつかない神秘主義の世界をさまよい始める
要するに自分が世界の神になりたいのである
神の存在なんか信じてもないくせに
ヨハネスは、悪魔のような美少年につきまとわれながら
似たような願望を持つ人々に出会ってゆく
粗暴な騎士フィヒテンガウアーは
祖母から受け継いだ領地のケガレを取り除くべく
「妖術師」ヨハネスを追跡する
偽名を使って医者をやっているグァネリウスは
自らが異端者であるにもかかわらず
神がかりとなった恋人を自らの手で処刑するハメになった
説教師マールテンは、若かりしころ神にそむいた過ちを悔いつつ
死にきれず年老いて
ボーレンメントの住人にも同じ罪を背負わせようとする
……
善なる神の創りし世界に、なぜ悪は存在するか?
それは、善と悪が相対的なものであり
ワンセットでしか存在しえないものであるからだろう
そして神の作った人間は、まさに善も悪も超越しうる存在に違いない
しかし、そのことに自覚的であろうとするならば
彼はもはや自他の区別がつかない人だ
鏡に影の無い世界
それはつまり、エゴと博愛と世界が溶け合ったグレーゾーンである
カバラに伝えられるところによると
世界というものは
22文字のヘブライ語アルファベットによって
成り立ってるんだとか
よくわからないけど、それでプログラミングされてるらしい
だから、そいつをこねくり回して
ある完璧な図形を手に入れれば神になれるわけだ
という
ばかげた思い込みに突き動かされて
図形を完成させたとしても
それでどう世界にコミットするつもりなのか
出版するにしても、異端審問されて火あぶりがオチだ
なんにもなりゃしない
無駄に歳を重ねて、気がつけば残ってるのは追憶の中の栄光のみ
そのことに気づいたヨハネスが
みずから箱のなかに引きこもったとき
まったく思いがけないところで奇跡が起こるのだった
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キリスト教などの宗教の中で、神が存在し、神が世界を作ったとする。
その世界に生きる私たちは、どのような存在なのか。生まれた瞬間から、運命は決まっているのだろうか。ルターが唱えた予定説はこうしたものであり、免罪符などお金を払えば救われるといった当時の教会を批判するなどに至った。
宗教とはどのようなものなのか、解釈の変遷を辿るにはいい本なのかと。ちょっと読みにくいけど。