紙の本
面白かったです。この話、実写化しても面白いかも。
2009/12/14 18:09
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投稿者:紅葉雪 - この投稿者のレビュー一覧を見る
救急車がジャックされる、という内容紹介に、『ジャックもの』が好きな自分は、これは面白そうと手に取ってみた。
もちろん日明 恩さんが、なかなかに自分の好きな作家さんの一人だということもある。
ただ。
日明さんの本は「それでも、警官は笑う」から「ギフト」まで全て読破してきているが、好き嫌いの激しい自分の中では、話によって好きか嫌いかが見事に分かれるという作者さんでもある。
読んでみるまで好みかどうか判らないところは、まるで福袋のようで、それも楽しみながら読んでいるのだが。
その日明さんが今回描くのは、救急隊の話。
とにかく面白かった。
救急車や救急隊のトリビア的な、『知らなかった』・『そうなんだ』知識も豊富に詰め込まれ、それも読んでいて面白かったし、なにより話が単純に進んでいかない。
そもそも救急車ジャックをした犯人自身が、「家族を人質にとられ」、「救急車ジャックをしている」と言う。そして『真犯人』は、犯人や救急隊に電話を通して指示をしているのだ。
話が進んでいくにつれ変わっていく「犯人」と救急隊の関係も味があった。
もとゾク上がりという「2か月前に異動したばかりの」運転手の機関員・生田を中心とし、「学級委員長のような」救急救命士 森。そして穏やかな隊長の筒井。
彼ら救急隊のメンバーを中心に、救急隊の無線を傍受している真琴や、マスコミの徳居も絡めてある。
こちらの脇役も話を盛り上げていく。
個人的には真琴と生田の妻、さらに救急隊指令センターの「鬼平」こと鬼島が大変に気に入った。
車や人質の元に爆弾を仕掛けられ、車を止めたら即座に爆発と脅され、犯人の指示を受けあちこちを走り回る設定は定番ともいえるが、その車が緊急車両、救急車というだけで新鮮味が加わっている。
さらには。同じ消防署絡みだけに、「埋み火」・「鎮火報」の登場人物もサラリと関わっていた。そんなところも楽しんで読んでしまったのだが。
先に日明さんの本は好き嫌いが大きいと書いたが、この本は文句なく面白いと思えた。
そして。
これは実写化をしてみたら、非常に面白い話になるかもしれないと感じた一冊でもある。
紙の本
失踪する救急車が訴えるもの
2011/07/05 11:47
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
消防隊の機関員である生田温志は、救急隊長の筒井圭一や救命救急士の森栄利子と組んで、救急車の機関員も兼務している。どちらも緊急走行する車両ということで同じ様に思えるかもしれないが、運転のコツはぜんぜん違う。なぜなら救急車は、卵よりも振動や衝撃に弱い急病人を安全に、かつ、素早く搬送しなければならないからだ。
そんな彼らの仕事には困難がいっぱい。例えば、大した症状でもないのに簡単に救急車を呼ぶ。例えば、サイレンを鳴らしても避けてくれない。例えば、搬送先の病院がなかなか決まらない。だが今回、彼らを襲う困難は、それよりも直接的にハードなものだった。
病人を装って救急車に乗り込んだ悠木という男が、森にナイフを突き付けて救急車をジャック。その悠木が持ち込んだのは爆弾で、彼自身も家族を人質に真犯人に脅されているらしい。
犯人の要望によりマスコミに報道され、無線で実況されるジャックの状況は、消防・警察だけでなく、無線を傍受する人々にも詳らかにされていく。そして犯人の要求により、救急車ノンストップで都内の病院を走り回らされる。
果たして犯人の目的は何か?そして、救急車は無事に解放されるのか?
救命救急の啓発的な意味合いも含まれている印象を受ける。動機は分かりやすいものだけれど、その状況を生み出す救急のことはあまり知らないことを自覚させられた。
最近、福島第一原発で話題の第三消防方面本部消防救助機動部隊(NBC災害対応部隊)も後半に活躍する。
ちなみに、タイトルのロード&ゴーとは、迅速な車内収容と高度な医療機関への搬送の宣言のことらしい。
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久しぶりの日明さんの新作!待ち望んでましたー。
その期待感を裏切らない、日明節全開の熱い作品。
素敵です。好きです。
鎮火報シリーズに近い作品で前述が消防隊だったのに対し
今回は救急隊員にスポットを浴びせています。
救急患者の受け入れ問題などニュースで見たりしますが、
今作を読んでからだとその認識も大きく変わります。
こういったあたりを作品の中に自然と、そして現実的な問題として
僕らに提起してくれるのが日明作品のしっかりしたところだと思います。
当然、その分好き嫌いは別れそうですが...。
グッと喉の奥が詰まって鼻の奥がツンとするような
シーンが何箇所もあって本当に電車内で泣く寸前でした。
素敵です。好きです。
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救急車がハイジャックされた。都内の病院を指定の時間以内に駆け巡る。救急車のことってほとんど知らなかったので、勉強になったし、新知識が面白かった。
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元暴走族の過去を持つ消防隊員、生田は、周囲も認めるベテランの運転手。だが、二カ月前に異動してからは、慣れない救急車のハンドルも握らなければならなくなった。そんなある日、路上で倒れていた男を車内に収容したところ、突然、その男、悠木がナイフを手に救急隊員のひとりを人質にとる。同じ頃、警察とTV局に謎の男から犯行声明が入った。男は、悠木の家族を人質にしていることと、悠木に爆弾を持たせていることを告げ、二億円を要求する―。
《ブックデータベース より》
《2009年11月21日 読了》
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もしも救急車がジャックされたら…。
止められないとまらない、な感じでした。スピード感もあって素晴らしい。
いろいろ考えさせられる上に、勉強になりました。人を救うって難しい。
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日明さん、久々ですね。消防署シーリーズの救ちゃんズとは違いますが、救急隊員の日常と、非日常、そして、事件発生。
119には二度お世話になったことがありますが、心強かったです。何件目かの病院で受け入れが決まったとき「ちょっと遠いけど、大丈夫ですからね」と励ましていただいたりと、ほんとうに感謝感謝です。
いろいろ社会的に難しい問題がありますが、119についてあたらな視点が持てたような気がします。応援歌になれば良いなぁと思います。
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犯人の正体や結末については結構早い時期に読めてしまうんですけど、それで面白さが減るわけではありません。事が起こってからのジェットコースター的展開はじゅうぶん楽しめました。ただ、最後の暴走の必要性に今ひとつ説得力が感じられなかったので★一つ減点。
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あれなのね、鎮火報のつづきだったのね。
すごいだからおもしろかった。
このひとの話、すきだなぁ。
最後が常にここにおとしてほしいってとこで
きめてくれるの。
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怪我人を装った男に救急車がジャックされた!
犯人はナイフと爆弾を持っている。
しかも、その犯人は別の真犯人に、家族を人質にされ
脅され犯行を起こしたという
走り続ける救急車
マスコミとのカーチェイス
減り続けるガソリン。結末は?!
これはめちゃくちゃ面白かった
テンポよく話が進み、ドラマあり、涙あり。
ラストの消防車総出動のくだりは、最高だった~(実際にはあり得ないだろうけど
登場人物もみな魅力的。すごくよかった~!
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救急車がハイジャックされた――?!元暴走族の過去を持つ消防隊員、生田は、周囲も認めるベテランの運転手。だが、二ヶ月前に異動してからは、慣れない救急車のハンドルも握らなければならなくなった。そんなある日、路上で吐血して倒れていた男を車内に収容したところ、突然その男・悠木がナイフを手に救急隊員の森を人質にとる。同じ頃、警察とTV局に謎の男から犯行声明が入った。男は、悠木の家族を人質にしていることと、悠木に爆弾を持たせていることを告げ、二億円を要求する。
有川先生のオススメで、初めてこの作家さんの作品にふれました。連載小説をまとめたせいもあるのか、時間を追って区切りも良くて、難しい専門用語も説明を読みながらすらすら読み進められました。救急について素人ながら、彼らの実情を分かりやすく伝えているのではないかと思います。犯人の動機も、実際にあるに違いない事例が元なだけに納得します。社会全体で改善が必要だろうな、とも思う。改めて救急に限らず医療の現場で頑張っている人への敬意が湧きました。ただ一つ、文章の面で時々突然話し手が変わっていて"ん?"と思いました。読みにくいのでちょっと微妙な点です。
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凄いスピード感です。そして、相変わらず泣かせてくれます。
警察、消防ときて今度は救急。
日明さんの物語は知っているようで知らない仕事の現状を教えてくれます。
私は救急車を使った経験がありません。幸いなことに同乗したような経験もなし。
だから、受け入れ先が見つからないとか、救命士が何もできないとか、腹立たしいしおかしいとは思うけど、それだけでした。
この本は、そういうこともちょっと考えさせてくれる作りになっています。
でも、それよりも何よりも秒針を刻む感じの素早い展開に息を飲みます。
生田の兄貴がカッコイイんだ!! ほんとに、この人、すげぇ。
運転技術はもちろんのこと、妻のことをあそこまで手放しに誉められるのはカッコイイ!
あと知らないことは知らないと言い切れる所も素敵。
仕事に誇りを持って、家族に愛を持って、仲間に真摯である。
本当に良い漢やー!てなりました。
森ちゃんもかなりイイです。凛とした真面目な美人さん。
筒井さんも本当に良いおっちゃんでしたし、映像化してほしいくらいです。
ただ、もうちょっと雄大さんとかはっきり出てきたら嬉しかったな…と思わなくもない。
そういう意味では、これだけ読んでももちろん面白い作品なんですが、できれば「鎮火報」と「埋み火」を読んでから読まれると、さらに面白いと思います。生田の兄貴がどういう風に見られているかが分かります(笑)
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2010 1 4
面白い!!
有川さんが絶賛していて興味を持ったけど、これは確かに映画にしたら圧巻だろうなぁ~。
自衛隊物や消防士、警察物が好きな人にはお勧めの本です。
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おもしろい!
鎮火報Fire’s Outシリーズを読んでから読んだほうが、物語の細かいところまで楽しいかも。
星野さんとか、自分の道をちゃくちゃくと進んでいてめっちゃかっこいい。
どんだけ問題あるように見えても、ほとんどの人は、自分の仕事を誠意を持って一生懸命にやってるんだよ、というお話。
警察官の不祥事とか、救急患者のたらいまわしとか、学校の不信とか、官僚の汚職とか言うけど、ほとんどの警察官や病院や教員や官僚は一生懸命に真剣に取り組んでいる。
それぞれに事情があって、技術があって、理論があって、方法論があって、真剣にがんばってるのだ。
医療崩壊とか学校崩壊とかに見えるのは、見る者が立っている立場がちがうから。
患者とか子ども・保護者とか国民の立場を優先して考えることはもちろんだけど、働いている現場の立場、現場の実際を考えることも大切なことだと思った。
お互いの立場から考えること。
多くの視点からものごとを考えることが、いいシステムを作っていくのかな。
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ハラハラドキドキのサスペンスあり、ほろりとくる人情物あり、飽きずに一気に読みとおせました!
帯の文句通り、映画化、それが無理なら二時間ドラマなんかどうです?!
医療問題を違う視点で描いているなぁと。
桜ノ宮サーガといい、話題の神さまのカルテといい、小説でこんなにも問題を提起しているというのに、なかなか改善されないのはなんでなんだろう。