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紙の本
いもほりが冒険になっちゃう。いきいき、わくわく、ドキドキのたのしい絵本。
2009/12/13 19:23
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:月乃春水 - この投稿者のレビュー一覧を見る
紅葉した秋の山のふもとに、大きな大きなおいも?
それにしては大きいぞ。うちの息子たち、これは「う●ち?」なんて言っていましたが。たのしくって、びっくりしちゃう、さつまいもほりのお話です。
たけしは、おにいちゃんとおねえちゃんと畑でいもほり。
大きいのをほろうと、たけしは「よーし ぼくだって……」
つるをひっぱると、あれれれれ?
おいもが出るまで、つるをたどっていきます。
山に入って、川を渡って。
「えっさか ほい ほいさか ほい」
かけ声もおもしろい。山の動物たちもついてきますよ。
そうして、どうなるの…?
ページをめくるたび、わくわくしちゃう。
大きなおいもが出てくるかな…?というのは想像できますが
ちょっとひとひねり、あるんです。
それは、読んでのおたのしみ。
秋の山の様子がとても丁寧に描かれています。
たけしたちも、山の動物たちも、とてもいきいきとして。
さつまいもを植えて、秋に収穫する、というのは多くの幼稚園や保育園で行っているようです。わたしも大昔、経験したのをおぼえています。
最近では、一年前に参加していた青空保育で3種類の苗を買ってきて、三男と一緒に畑に植え、秋にはいっしょに掘りおこしました。
どのくらい大きなおいもになったかな…?
ドキドキしながら、つるをたどって、土を掘る。
そんな経験が呼び起こされる、
「えほんのぼうけん」というシリーズ名ぴったりの絵本です。
個人ブログ□□本のこと あれこれ□□
紙の本
【読みきかせ・幼児~小中】色づいた秋の野山の華やかさに目を惹かれ、どこまでも伸びていく長いお芋のつるの行方が気になって……。就園前から小学中学年を目安に、幅広い年代で楽しめる「いもほり」絵本。
2009/11/14 22:40
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村びわ - この投稿者のレビュー一覧を見る
9月に「お月見」「おじいちゃん、おばあちゃん」ネタのお話を読んだ後、12月の「クリスマス」「年越し」「冬の走り」ネタのお話を読むまで、10月~11月は「秋の実り」「落ち葉、紅葉」「いもほり(おいも)」「食欲」「遠足」などのテーマの絵本を探して、おはなし会のプログラムを組み立てます。
もちろん、これは、おはなし会というイベントだけでなく、お家や図書館で子どもと絵本を楽しむときにも、本を選ぶのに良いきっかけとなる切り口だろうと思います。
いろいろな場所で、おはなし会をしていると、その10月~11月のテーマの中で、一番の人気は「いもほり(おいも)」。やはり多くの園や学校、子ども会などで、いもほり行事が多く催されているために、体を使った経験のあることが、絵本の世界に、ぐっと深く入っていけることにつながるのかなと受け止めています。
私がこれまでのおはなし会で、「絵柄がはっきりしていて、文字量も妥当で読みやすい」と思っていたお芋本は何冊かあって、いもとようこ・絵『おいもをどうぞ!』石井聖岳『いもほりきょうだい ホーリとホーレ』いわむらかずお・絵『ねずみのいもほり』藤本四郎・絵『ねずみのえんそく もぐらのえんそく』といったところ。後の2冊には、大型絵本もあります。
それぞれ絵柄に個性があり、おはなしの展開や構成に工夫があるので、一度にまとめて見比べてみると、「絵本の表現って本当にさまざまなのだ」と感じ入り、絵本の魅力にますますハマっていくことでしょう。
そこに今年から加わった強力な仲間が、この『いもほりやま』です。
上に挙げた4冊と比較したときの特徴は、いくつかありますが、一番に触れておきたいのは、「たけし」という普通の男の子が出てくることです。ホーリとホーレも人間なのか妖精のような存在か、人間の姿かたちをしたキャラクターなのですが、他の3冊は動物たちが活躍する絵本です。
普通の男の子が出てきてくれる良さというのは何なのかというと、ファンタジー度が低いところから入っていけるということです。
おはなし会のような催しを始める際、最初からファンタジー度が高い絵本、あまりにシュールな内容の絵本から始めてしまうと、観客である子どもたちの中には、どうもしっくり来ない子が多いようなのです。
その点、生活童話のような内容のおはなしや、自分と同じような小さな人間の子が出てくる絵本を最初に持ってくると、たいていの子が、絵本の世界に無理なくすっと入っていけます。
『いもほりやま』のおはなしは、たけしという男の子がお兄ちゃん、お姉ちゃんと畑でいもほりをしているところから始まります。この設定はおそらく「あっ、いもほりだ。知ってる、知ってる。やったこと、ある!」という、小さな喜びにつながるのではないでしょうか。
そして、その一種安心感ある喜びを確認してもらうと、おはなしはファンタジーの世界へと徐々に入っていきます。お兄ちゃんたちは、掘り起こしたお芋をすぐに手にできるのに、たけしが手にしたお芋のつるは、何だか長く伸びていて、お芋はすぐには出てきません。
いったいどこまでつながっているのか、つるの先をどこまでも追っていくことになります。「えっさか ほい」という掛け声を出しながら、たけしは山に入り、川を渡り、木の下に開いた穴の中へ……。思いがけない遠足のようになり、途中でたけしを見守る動物たちや、色づいた秋の野山、きのこや虫など、描き込まれた楽しいものを見つけながら、お芋のつるの行方を知る期待が高まっていきます。
クライマックスでどうなるのかは、ここで明かしませんが、『いもほりやま』という題が「なるほど、そういうことだったのか」と思える展開になっています。
おはなしが進行していく中で、「えっさか ほい」という掛け声を何回か子どもたちに繰り返してもらうようにすると、みんなでたけしと一緒につるをたどっていくような気持ちになってきます。
残念ながら私は編み物がまるでダメなのですが、緑の毛糸で、葉のついたお芋のつるを長く編み、それをみんなで手に取りながら聞いてもらうように工夫すると、ごっこ遊びにも発展させられます。糸がからまらないようにしないと台無しですが、そのようにして園遊びや児童館での遊びに広げていける可能性もあります。
動きがあって元気で暖かいエネルギーが伝わってくる絵本なので、「掛け声」「ごっこ遊び」のように、体を使ってもらいながら読みきかせを楽しむことを思いつきました。
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