紙の本
全ての要素が高い次元で噛み合った見事な出来
2009/11/08 21:57
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投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
相応の残酷さを見せながら、自由奔放に動き回るキャラ達と二転三転するドキドキな展開の中に人と人とが繋がる心の大切さを挿み込んでほんのり暖かな気持ちにさせる結末まで、全くもって非の打ち所が無い、本シリーズ随一の素晴らしさだと思った第8巻である。
本巻で実にいい味を出していたのが再登場のン・イゾイー。今回はちょっと変わった関係を築くことになるが、ナイスなサンタ服の口絵はともかく出番は少しかと思いきや、実は全編で活躍する本巻のヒロインだったりする。属する組織は別にしてこの娘自体はとても面白くて良い娘。今後ファンが増えそうな気配である。そして相変わらずの相互理解不能振りを見せる竜島/竜頭師団(ドラコニアンズ)の強敵には暗澹とした気持ちにさせられるが、これもまたフィア達の過去との訣別には避けられないしがらみ、乗り越えるための試練として対峙させ、フィア達の“人間”としての成長を感じさせる巧みな構図である。さらには、ここに関わってくる銃音&漸音姉妹(イイ感じの失敗ばかりなダメっぷり)、果てはあの理事長の秘密までもが裏の裏をかく驚き展開の末に明かされ、同時に孤高の戦士ン・イゾイーに欠けていた大切な“未知”の思考まで自覚させる盛り沢山な内容である。
それにしても夜知家居候達の闊達で騒がしいやり取りが素晴らしい。各キャラが完全に独り歩きしており、作者は彼女達のやり取りを筆記するのに大変……そう思わせるくらいスムーズな言動が勝手に自然に溢れてくるのではなかろうか。夜知家に初お泊まりするいんちょーさんがこれに拍車をかけてとぼけたことやいじらしくも変態的なことをしでかして花を添えている。
巻末の『ラフイラスト集』には第6巻で見られなかった潰道先生の、あの伝説(?)の「ヒモ水着」が披露されているが、これがまたすんごい。実に凄過ぎることを付記しておかねばならない。
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11月刊行なので、わずかに惜しい。12月刊行ならば、表紙絵も中身も季節ネタばっちりだったんですが。
クリスマスとサンタさんの存在を初めて知ったフィアにとっては、これは見逃せないイベント。
黒絵と共に春亮の部屋に忍び込み、プレゼントを入れてもらうための靴下を物色するあたり、サンタの存在を純真に信じているフィア。
そんなフィアに「プレゼント」をサンタとして渡してやりたい春亮の元にケーキ屋からのバイト依頼が舞い込んでくる。
クリスマス前の商店街は大忙し。とりわけケーキ屋さんともなれば主力のクリスマスケーキの販売にネコの手も借りたいくらい。
夜知家の面々は用意されたサンタ衣装に着飾って、ケーキ売りに勤しむ事に。
そんな中に「堕ちてくる」闇曲拍明の研究室長国に所属するン・イゾイー
彼女は大秋高校理事長・世界橋ガブリエル宛の書状を持参していた。
彼に書状を届ける際、〈竜島/竜頭師団〉(ドラコニアンズ)の強襲を受ける。
拾ったもののどうすべきかと錐霞に相談したのがまずかったか?
ン・イゾイーが持つ封筒と小さな箱に対し、用心のためにと思った結果が、
お泊りセット持参(加えて春亮の拒否権ナシ)で、夜知家にやってくるという、さらなる混乱を予想させる事態に発展。
ン・イゾイーが、というより闇曲拍明が理事長相手に何の目的があるのか?
ドラコニアンズが彼女を襲撃した理由は何か?
謎の小箱から端を発した奇妙な戦闘が、ある過去を紡ぎ出す。
そして、今回は夜知家にお泊りした、いんちょーさんが多少壊れ気味(笑)
前巻(短編集)のネコミミが尾を引いている・・・わけではないんでしょうが、黒絵とこのはの会話といい、思わず連想してしまいました。
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今回はクリスマス。というわけで、フィアたちはサンタ・コスに身を包んで、商店街のケーキ屋でバイトに励むことになります。
そんな浮かれた気分も長く続きません。フィアたちは、瀕死の状態で倒れている研究室長国のン・イゾイーを発見します。やがて回復したン・イゾイーは、闇曲拍明の指令で学園理事長の世界橋ガブリエルに書状を届けに来る途中、ドラコニアンズのメンバーである赤い服をまとった少女ココロ・ペンタンジェリの襲撃を受けたと語ります。春亮はン・イゾイーを自宅で介抱することになり、さらに彼女の動向を監視するため、錐霞も春亮宅に滞在することが決まります。
お約束のふしだらイベントのあと、フィアたちのバイトを手伝っていた銃音・漸音姉妹がココロの人質となってしまいます。ン・イゾイーはたった一人でココロとの再戦に挑みますが、そのことに気づいたフィアたちが戦場に駆けつけます。ココロの攻撃の前にピンチに陥るフィアたちのもとに、世界橋ガブリエルが姿を現わします。
ということで、今回は世界橋ガブリエルの正体が明らかにされます。あと、藍子の状態にも変化が現われます。
ストーリーやキャラクターについては不満は感じませんでしたが、呪いの道具回りの設定がぎこちなく感じます。どうにもとってつけたような印象があって、高評価をつけたいという気持ちはあるのですが、★3つ以上の評価にはなかなか踏み切れないでいます。