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アメリカの社会心理学者 努力が報われたと思えば希望が生じ、努力しても無駄だと思えば絶望が生じる
ジグムンド バウマン 消費と身体によってアイデンティティを保つメカニズムが主流となる
能力がある人は、その能力を最大限に発揮できる地域に行こうとする。いくら地元のためにつくそうと思っても、能力を生かす場がなければ、無駄になる。先端産業がある一部の地域や、新しいサービス業が盛んな大都市部に人材があつまり、生産力が高まり、専門的サービスを提供できる地域が形成される。
人は自分の見たいものしか見ない ユリウスカエサル
親と会話する子供のほうが成績が良い
世界で通用する才能のある人は、国境を越えて自分の才能が最も伸ばせ、最も高く買ってくれる国地域に移動する時代がくる。国力は高い能力を活躍をさせる場を提供できるかどうかにかかってくる。日本でそれがなかなかすすまないのは、心理的なためらいと日本語しか話せないという語学能力のせいではないか。この2つの障害がなくなり、能力をもつゆえに国際移動が可能な人々と、ないがゆえに国にとどまるしかない人々に分かれていったとき、国家の持つ意味は大きく変化していくに違いない。
ポスト工業化社会にとなると、専門的能力は高く評価される一方単純労働も広がる。格差社会が浸透すると、能力が高く富裕が集まる地域と集められない地域への分化が生じる。地域格差は人間力格差なのだ。
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バイトや派遣でどんなに待遇悪くても若者がデモやったりしないのは、親にパラサイトしてるからそれによって今の生活をそこまで脅かされることはないから、だそうだ。
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若者に関する様々な問題を鋭い視点から書いている。
大学教授ということもあり、学生たちの生の声を聞いた上で書かれてあり、説得力がある。
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(2010/2/1読了)すげー明快!20世紀には「年功序列の正社員」は当たり前だったからこそ、「会社に縛られない自由な生き方」が憧れだったが、21世紀は逆に不安定雇用が当たり前になってきたので(←24歳以下の非正規雇用率は50%以上)、若者にとっては「安定した正社員」が憧れになり、それは一見”若者が保守化している”という事態を招いている、と。いやもう、そうそうそう、そうですなあ。
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(K) ついつい「若者」を一つの大きな塊としてとらえ、その実体を知らないままに「若者」を語っている自分がいることに気づくことがある。加えて、一般受けの良さをクローズアップされたマスコミの情報に振り回されているのではないかという疑念を抱くこともある。「若者」を様々な切り口で分解して理解していくためには、様々な情報や意見をインプットしていかなければ始まらない。本書はそのような思いから手にした。
若者の保守化を、経済的な要因や、若者が若者らしくなくなったといった性格変化に求めるのではなく、社会の変化とそれに相応する社会制度の切り口から問題を掘り起こしている。希望とは、努力が報われるときに感じる感情であり、絶望は努力してもしなくても同じだと感じたときに生じる。利益配分構造の中に入ることができれば、努力は報われ、外れると報われない。このような格差が社会的な構造として作り出されていることが問題だと筆者は指摘している。
本書では明確な処方箋は示していないが、いろいろなデータが示されており、問題を分解する一つの切り口を得る情報源としては有益である。
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とりあえず題名は本題じゃなかった(笑)
でも社会学者さんが書いただけあって、現代の若者を取り巻く
労働と結婚、経済や少子化の問題を良くとらえている。
しばらくはこの状況の中で生きるしかないんだろうなあ。
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連載コラムを集めたので仕方がありませんが、書名が問いかけになっているだけに、全体を通して解答が用意されているのかと思いました。実際は・・・コラムでした。
内容は充実していたのですが、出版社の売らんがため・・・の書名は顰蹙かも・・。
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婚活という言葉を産み出した社会学者。結論を出せない社会学の弱点は見えるものの指摘が的確。結局は保守化せざるを得ない社会環境になっているという点に納得。
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週刊東洋経済のコラムの記事をまとめたもの、著者は、家族心理学(社会学)が専門で、パラサイトシングルなどの造語でも有名な人。
基本は連載記事なので、保守化するのかというよりも、連載時期(小泉郵政選挙~民主党政権誕生)の時の、施策と実際の状況のギャップを投げていることが多い。結局は、高度経済成長時代のモデルをどこかで維持してしまっているために、若者が夢をなくして生活することでしかできなくなってきている現状が描かれている。
何とかならないものかといろいろと考えますが、答えは出ておりません。
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新卒主義、年功序列、転職市場の低流動性など若者の保守化はイカンとは言っても社会構造上日本の若者は保守化せざるをえないだろう、という思いは普段から思っていたのでこの本を読んでスッキリした。
結婚に関しても、非正規雇用者やフリーター、パートなどは若年層で顕著であり賃金の世代間格差が広がっている現状、若者の結婚がリスク化している感は否めない。結婚して生活レベルが下がるのならそりゃしないわけで。
けど閉塞感が高まっている社会でも、山田さんが言っているように努力が少しでも報われるような社会システムを目指さなければ希望を持てない若者が量産されてしまう。
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人口減社会を甘く見てはいけない。政府はもっと危機感を持って、有効な対策を打ち出すべきだと感じた。今の軟弱で信頼の欠けた政府には正直何も期待できないが…
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最近の若者たちは、まるで昭和の時代にもどったかのように保守化してきています。できるだけ安定した年功序列の職場がよかったり専業主婦がよかったり一時の起業家先進や海外へ出て行くなどすくなくなっているようです。それは、日本社会が敗者復活できない一回限りの卒業時の就職チャンスをなくすと永遠にアルバイト生活を続けなくてはいけないそんな事情があります。ますますこのような状況が続いていくと社会の活性がどんどん失われていくとかんじました。もてるものともたざるもの、既得権をてばなさないとか、団塊の世代の置きみやげでしょうか・・・しかし団塊ジュニアはつらいですね〜・・・
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「パラサイト」や「婚活」という言葉を作り出した社会学者、山田昌弘さんの本。東洋経済のコラムをまとめたもので、最近よく「若者が保守化してる」と聞くけど、その背景と問題点を解説している。コラムだっただけに各トピックが独立していて読みやすかった。
社会学の先生たちがよく言う「批判的に読め」という言葉に従って読もうとしたけど、なるほどーとばっかり思ってしまう…強いていうとしたら、山田さんが別の著書でも繰り返し言っている「独身女性の理想の男性像は上がっている。それが未婚、晩婚、さらに少子化につながる。なのに政府はそれを隠しているし、そこを無視して少子化対策は成功しない」という内容。もちろん、自分の給与に自己実現を求めない結婚願望独身女性は、夫の収入に頼りながら、自分の趣味や子育てで自己実現したいんだし、社会が不安定だからこそ経済的な安定を求めるんだから、理想は上がるのは仕方ない。それに対して政府がどう対処すべきというのだろう?
海外の成功事例などを紹介しているものの、日本政府は増税ひとつでもてんやわんやなのに、ヨーロッパ並みの大幅な改革は望めないだろう。だからこそ、社会学者としてもう一押し社会への具体的提言がほしかった。
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終身雇用への賛成(安定志向)や、「男は仕事、女は家庭(性役割分業)」というような価値観への賛成といった、およそかつての社会における若者像とは違った若者の特徴がみられるといいます。
それはつまるところ、経済環境を中心とした社会の変化に対して、広い意味での制度(政策や新卒一括採用などの慣行など)が対応して変化すべきなのにそうなっていないところによる。
ということで、そういった様々な制度の話が問題として書かれています。話題は、教育、労働、結婚、年金などなど。
現実と制度のズレが出てきた結果、若者は保守化することでそれに対応している。働いていても生活が厳しい若者の女性は、「女は家庭」に賛成を示す。
保守化自体が問題というよりも、保守化の原因となっている社会と制度のズレが、やや悲観的な未来像を描き出しているということ、そこに答えを見出すのは容易なことではありませんが、問題を見つめる入門書として、分かりやすい本だと思います。
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雑誌連載のまとめなので同じことを何回も言っているのが少しくどく感じられた。しかし、若者の問題は若者の態度の問題ではなく制度の機能不全という考え方には賛成する。オランダの失業した若者が「政府を信頼していますから」と言ったというのは、日本で育った私にとっては驚くことである。読むほどに希望が持てる社会を作るのは難しそうだと思ってしまう(という感じ方も希望が持てない若者を体現しているかもしれない)