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紙の本
何だかんだ言っても、人間味溢れてて良い作品
2010/05/16 19:30
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:赤色 - この投稿者のレビュー一覧を見る
正直、主人公の麻子にはイライラばかりしていました。
何でそう思っているのに言わないの?何でそこで我慢しちゃうの?とかそんなことばかり思っていました。
妹の七葉についてもそう。コンプレックスを抱いてばかりで、七葉は・・七葉だったら・・・とか。
何でこんなに腹が立つのかと考えてみると、麻子のこの妹に対するコンプレックスが自分自身とよく似ているからだと思い当りました。
今まで自分が当たり前と思っていることを、簡単に蹴飛ばして捨ててしまったり、自分がやっていたことをしなくても許されたり・・・
自分が真面目(平凡)にいるのに、近くで自由奔放にいられたら羨ましさと同時に憎たらしさも生まれてきます。
NO.1、NO.2はそれが顕著に出ていたので(麻子は憎たらしさまでは感じていなかったようですが)、なかなか読み進めることができませんでした。あと中高という時期はもう過ぎてしまったので、ちょっと退屈に思ってしまいました(笑)
でもNO.3、NO.4は今の自分の立場や年齢が近いということもあってか、とても面白く、前半とは比べ物にならないスピードで読み進めていました。
麻子は本当に真面目で、仕事にも一生懸命で、本当に偉いというか凄い人です。もちろん他にも美点は色々あります。私も麻子みたいに様々なことを真剣に、一生懸命にやっていかなくてはいけないと反省させられました。
紙の本
4つのスコーレで成長していく過程
2010/12/06 15:33
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るるる☆ - この投稿者のレビュー一覧を見る
‘スコーレ’とはスクールの語源となった言葉で、
真理探究のための空間的場所を意味するギリシャ語だそうです。
主人公の津川麻子が中学時代から結婚するまで、
4つのスコーレを経て、成長していく過程を丁寧に描いた物語です。
しっかり者で厳しい祖母と、
才能豊かで明るい母。
祖父の代から続いた古道具屋を営む父。
自由奔放な次女の七葉と明るく無邪気な三女の紗英。
毎朝、家族全員のラジオ体操から始まり、
古く、年季の入った家の隅々の雑巾掛けを日課としている。
成長の場としては、学校だったり、職場だったりするのですが、
やはり幼い頃からの家庭生活、母や妹、祖母とのかかわり、
父親の姿などが心の芯の部分にあって、それが・・
社会に出た時に麻子がぶち当たる様々な重要な場面で、
影響を与え、彼女が変わるきっかけとなるのです。
静謐で美しい文体。NO.1からNO.4まで淡々と静かに進みます。
今在る自分というものを振り返りたくなります。
紙の本
長女と母親
2016/09/03 16:43
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:neko - この投稿者のレビュー一覧を見る
長女の一人称の物語です。母親から引き継いだ存在理由(血筋と上昇志向)が、長女の生き方に強く結びついているのが、ひしひしと伝わってきます。子供の頃から、配偶者選びと社会的成功にとりつかれている。もちろん、成長するにつれ、配偶者候補の質もステータスも上がっていきます。
たぶん、伏線で、母親がお花のエキスパートで「自然に見えて完成されてる」ようにお花をアレンジするのが得意という設定なので、娘にも同じことをやってそうですね。とすると、年子の妹や、部長さんの人事、同郷のイイオトコとの海外主張なんかも、単なる偶然じゃないシンデレラストーリーかなって。
もちろん、母親が娘の成長をサポートするのは自然なのですが、娘が自分で選んだと思っていたら、バレた時にどうなるかがちょっと心配ですね。自立してると思ってたのは本人だけってね。ちょっと、寒い。
紙の本
宮下奈都さんの本は心に残る
2016/12/03 09:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:てつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんかいい感じで心に残ります。姉妹に距離ができること、でも血は繋がっているので、やっぱり理解できること。兄弟姉妹、両親、友達、同僚、みをなありがとう!って言いたくなりました。
紙の本
女性の半生を描いた作品
2016/03/31 20:44
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けんたん - この投稿者のレビュー一覧を見る
女性の結婚までの半生を描いた良書です。
主人公は,どこにでもいるような平凡な女性ですが,そのために感情移入しやすいのです。
最後のNo.4は,シンデレラストーリーのような展開になり,(?)という気もしますが,平凡な日常を抜け出した爽快感を感じます。
ぜひ,続編を出してほしいです。