紙の本
抽象的な理念論ばかりが先行している
2011/08/10 00:24
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投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
ひとことでいえば, 著者は大企業のサラリーマンが会社につとめつづけるにしても会社から自立すること,会社もそれをみとめることをもとめている. この本には会社の立場にたっている章とサラリーマンの立場にたっている章とがあるが,後者では自立したサラリーマンの身になって議論しているようにみえる. しかし,その議論はきわめて抽象的だ.
著者は個々のサラリーマンが自分の理念をもてという. しかし,サラリーマンにとっては理念よりも自分が具体的にどういう仕事をするかがおおきな問題だろう. 会社のなかでどういう仕事をするか,会社をやめたときにやりたい仕事ができるのか. その裏に理念があるとしても,行動をきめるのは理念よりはもっと具体的なもの,つまり知識やスキルなどだろう. 理念だけ議論してみても,行動につなげることはできないだろう.
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・サラリーマンが会社にとっての長期債権であるというのは確かにそのとおりなのだろう。
・サラリーマンが自己保身・社内政治に走りがち(守りに入る)というのもインセンティブの観点からは正しい。
・サラリーが後半に来ればくるほど大きくなるように設計されているので、拘束力は強い。(サラリーマンの自由度のなさ)
・お金のバランスシート以外のところに求めてくるものがある。会社の理念と自分の理念。
・サラリーマンの個人の生き方・考え方
・運命を拓く 中村天風
・スティーブジョブズの講演の話。
・(よく言われるが)「自分の人生において何を実現するか?」ってやつをミッションステートメント化しておいて、それのために時間をどれだけ使っているか?優先度はどうなの?が大きいです。
→私の場合、いつ作っても忘れる。
・ここでいうサラリーマンや公務員は(従来・そしてしばらくは)長期的に償還金が保障されている特別な立場である(そのため自由はないが)。世界的な割合としては少ない。
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ファイナンス理論を応用しながら、社員と会社の関係に
ついての考察を展開しています。
日本の雇用制度を考えると、社員は長期債権者である、
という視点は、なかなか斬新でした。ここで、サラリーマン
の貸借対照表、というユニークな表現が出てきます。
「給与」を借り方、「仕事」を貸し方として描いたとき、
サラリーマンが受け取る賃金より自分が会社にもたらした
利益の金額が大きくなると、貸借対照表の左右にギャップ
が生まれます。このプラスアルファ部分が、会社にとって
の価値創造と等価であり、企業価値となり、株主への
利益還元につながる、と。
もっともなのだけれど、これだと、なんだか社員が会社
なり株主に搾取されているような感じに読み取れちゃい
ますね。でも、社員の立場で考えたとき、仕事を通じて、
給与以上にえられるものは、たくさんあると思うのです。
様々なアイディアを考えるときのワクワク感、仕事
を成功させようと職場が一致団結することで生まれる
絆、お客様が喜んでくれたことの喜び、無事仕事を終えた
ときの達成感、一連のプロセスのなかで試行錯誤すること
で得られる人間的成長・・・。
こうしたことを、金銭的な価値で図ることができるのか
どうかはわかりませんが、少なくとも、会社と社員が
各々の立場で描く貸借対照表の左右がポジティブに
バランスすることが理想ですね。仕事を通じて、社員個人
も給与だけでなく様々なリターンを得られる職場やワーク
ライフを実現したいと思ったりするのでした。