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そこの空気が伝わってくるような、
でも掴みどころの無い話がゆらゆらと語られている。
まさに、幻想文学。
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「歪み真珠」(バロック)を本全体で表現している。造本が美しく、本を手にする喜びにわくわくする。収められた掌編からも、ドラマチックに切り取られた物語の姿が浮かび上がる。
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(2010/07/03購入)(2010/07/19読了)
10/4/17
読みたいが、高い。
ボーナスが出たので購入。装丁が素晴らしい!
淡々とした文体だが、読んでいる間、絶えず不安や落ち着かなさが纏わりつく。行間から、世界や精神の暗さ、淀みが滲み出ているせいだろうか。癖になる世界観である。あとがきにて、「カエル王朝」の繁栄を願う作者の茶目っ気にも好感がもてる。
「ゴルゴンゾーラ大王あるいは草の冠」の物悲しさが好きだ。
━━ 「罪なく他愛ないものこそが選ばれて滅びた。最後のいっぴきの宝石のような雨蛙が小さなため息をもらして目を閉じて以来、この惑星もずいぶんさびしくなったよ。勇敢な道化どの、草の冠をあたまに戴いて生まれたのはわれらいのちあるものすべて。われらの誤謬はそなたたちに等しく、そなたたちの誤謬はむだなものでは決してないのだ」(22頁「ゴルゴンゾーラ大王あるいは草の冠」)
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ゴルゴンゾーラ大王あるいは草の冠
美神の通過
娼婦たち、人魚でいっぱいの海
美しい背中のアタランテ
マスクとベルガマスク
聖アントワーヌの憂鬱
水源地まで
向日性について
ドロテアの首と銀の皿
影盗みの話
火の発見
アンヌンツィアツィオーネ
夜の宮殿の観光、女王とのかっ見つき
夜の宮殿と輝くまひるの塔
紫禁城の後宮で、ひとりの女が
以上15の幻想的な掌編が納められた美しい一冊。
山尾さん、初読みだったのですが、いやぁ、この美しく歪んだ世界にうっとりと浸らせていただきました。
「ゴルゴンゾーラ大王あるいは草の冠」が特に好みだったかな(蛙王朝の弥栄を、わたくしも心から願っております)。
あ、あと「紫禁城の後宮で、ひとりの女が」と「アンヌンツィアツィオーネ(受胎告知)」もよかった。
「罪なく他愛ないものこそが選ばれて滅びた。最後のいっぴきの宝石のような雨蛙が小さなため息をもらして眼を閉じて以来、この惑星(ほし)もずいぶんさびしくなったよ。勇敢な道化どの、草の冠をあたまに戴いて生まれたのはわれらいのちあるものすべて。われらの誤謬はそなたたちに等しく、そなたたちの誤謬は無駄なものでは決してないのだ」(「ゴルゴンゾーラ大王あるいは草の冠」より)
「ドロテアの首と銀の皿」は『ラピスラズリ』の落穂拾いのようなもの、「影盗みの話」は『山尾悠子作品集成』収録の「ゴーレム」との差異についての話らしいので、ちょっとそちらも読んでみようかなと思います。
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ブクログ大賞にノミネートされてましたので読んでみました。
なんと素敵な小説がノミネートされているのかッ。
ハイセンスですね。好きです。
他の作品も読みます。
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幻想文学といってもいろいろですが、このひとの硬質な文体がうみだすイメージはほんとに美しい。首を載せた銀の皿をもつ女が現れる屋敷とか、人魚の棲む海に浮かぶ小島の娼館だとか、巨大な大理石の女王の宮殿をさまよう馬上の少女とか。初めて読んだけど、はまりそう。
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それぞれの話に神話や聖書等々からのテーマが存在し、元ネタを知らないと話の半分も理解できなかったりする(というか幻想文学ってそういうもの)。教養と世界に浸る素養を求められるため、人を選ぶ本である。実際、読み終えてかなり難易度が高かった。それでも、この幻想的な世界を隅々まで堪能したいという欲求を刺激される硬質で典雅な文体はただただ素晴らしい。再挑戦したい本です。
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仮面物語に衝撃を受けて以来のファン。
私の理想とするものはここにあるのかもしれない。
硬質で、艶のある独特の文体。
そっと舐めてみたくなる。
はぐらかすような、わざとこちらを煙に巻く書き方だけれど、がっかりしない。
そんなの彼女だけなのです。
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とてもきれいな文章。雰囲気はおとぎ話のよう。
初期短編よりも平易な印象だが、そのおかげでとっつきやすさが出ている気がする。ひとつひとつのお話しが短いので寝る前にちょっと読むのにもちょうどいい。
「美しい背中のアタランテ」「ドロテアと銀の皿」「水源地より」の三つが特に好き。
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『ゴルゴンゾーラ大王或いは草の冠』、『水源地まで』が特に好き。
山尾悠子の、過剰に装飾された文章よりも、どちらかといえば簡潔なものの方が好きという方には、この歪み真珠はオススメ。
『水源地まで』は読者になんの説明もなく話が淡々と進んでいくが、何回読んでも飽きさせない不思議な魅力がある。水源地の穴。
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美本!
文章含め。
雨の日眠る前に、一話ずつ。
ゆっつくり、しっとり読む。
…なかなか終わらない。
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「作品集成」と比較すると、さすがに短めで読みやすいものが多い。
しかし、それぞれがそれぞれに濃い味。
手許に本がないのでアバウトだが、
「アンヌンツィアツィオーネ」の
「生まれてくる御子は半陰陽。御子は世界を滅ぼすでしょう」
……痺れる……。
一文一文がぴしっと決まっている、まさに散文詩。
「ドロテアの首と銀の皿」に出てくる「冬眠者」という素敵なモチーフが、「ラピスラズリ」にも通底しているそうな。楽しみ。
この作者の保有している語彙は、どれだけ煌びやかなんだろう。
ゴルゴンゾーラ大王あるいは草の冠
美神の通過
娼婦たち、人魚でいっぱいの海
美しい背中のアタランテ
マスクとベルガマスク
聖アントワーヌの憂鬱
水源地まで
向日性について
ドロテアの首と銀の皿
影盗みの話
火の発見
アンヌツィアツィオーネ
夜の宮殿の観光、女王との謁見つき
夜の宮殿と輝くまひるの塔
紫禁城の後宮で、ひとりの女が
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装丁も素晴らしい贅沢な本。
せっかくの珠玉作品集なので、
半端なところでブツ切りにするのはもったいないから、
必ず1編ずつ読み切って本を閉じようと最初に自分内ルールを決めた。
短距離を息継ぎなしで泳ぎ、一息入れてはまた泳ぐといった感覚だった(笑)
それはさておき、
澁澤龍彦による幻想文学新人賞選評「もっと幾何学的精神を」
および「ふたたび幾何学的精神を」に、
明確な線や輪郭で、細部をくっきりと描かなければ幻想にはならない【*】
あいまいな、もやもやした雰囲気の中を、
ただ男や女がうろうろと歩きまわるだけの話をいくら書いたって、
そんなものは幻想でも何でもありやしない。【**】
という手厳しい言葉があるが、なるほどなぁ。
その点、山尾作品は明晰な文体を駆使して
見事に解像度の高い別世界の映像を見せてくれるから好きだ。
【*】澁澤龍彦『都心ノ病院ニテ幻覚ヲ見タルコト』(学研M文庫)p.152
【**】同p.156
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奇怪な情景をいかにもっともらしく描くか。そしてその情景がどれだけ有り得なくて、しかも美しいか。私たちを異世界へ連れて行ってくれるか。著者の世界に入りきれたとは言えないが、まずまず楽しむことはできた。最初の3編がよかった。
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この方の作品は、浸るのにはもってこい。
読んでいる間ずっと、不思議な世界に入っていられる。
夜に読むのがいいな。
心地よかった。