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真っ青な空が広がる夏のある日。
13歳の今里杏は、生まれて初めて学校をさぼった。
図書館で読書ざんまいのはずが、ひょんなことから、会ったばかりの女性の話を聞くはめに。
おしゃべりで、ちょっぴりおせっかいなその女性・サヨコさんは、30年前に長野県で起きたバス事故のことを調べていたという。
なぜいまさら、そんな大昔のことを?
好奇心から、その調査につきあうことにした杏だったが、サヨコさんと話をするうちに、ある思い出がよみがえる・・・。
ふたりの小さな旅を通して、喪失の痛みと人間の痛みの再生を描き出す、爽やかな物語。
この作家さんの本を読むのは初めてでした。文章も読みやすくあっという間に読み終えました。13歳の杏とお母さんより年上のサヨコさんという普段あまり接点のない二人が出会い、 自分が抱えているもやもやをぶつけ合って、自分なりに答えを見つけていく物語です。この物語の最後で杏がサヨコに宛てに書いた手紙のシーンでサヨコがどんな仕事についているのか判明するのですが、あそこの複線はここで生きてくるのかと最後にやられた!!って感じでした。杏の推理もなかなか鋭かったですね。今度また別の作品も読んでみようかな♪
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<poka>
1975年の元旦に起きた青木湖バス転落事故。実家近くのため記憶に残っています。今は寂れたひっそりとした、青い水をたたえた湖。
事故は悲しい記憶だけど、生きる力を感じることができる本です。
<だいこんまる>
あのきれいな湖で、そんな悲しいことがあったなんて。ただでせさえ湖ってなんだかさびしいのに。
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前の晩、母が泣き喚いた。けど次の朝になったもまだそれをひきづってるのに嫌気がさして、学校に行く気にもならなくて、サボって図書館に行った。けど、運の悪いことに図書館は休館で、おまけにさらに運の悪いことに、変質者みたいな変な女の人に絡まれ…
作者自身の体験を基にした小説。杏と沙代子という、痛みも優しさも伴う思い出を背負うふたりが、お互いに自分自信をゆっくりと1ページずつ振り返るかのような物語。ふたりの過去が自身の視点で淡く描かれると同時に、相手の視点で優しく、あるいは時に鮮明に捉えられることで、そこからさらに読者自身の人生と重なっていくような感覚を覚えます。自分にはこんな思い出があるな、とか、今の自分はこんさうだな、とか。小学校向きではなかったけれど、中学生以上に読んで欲しいなぁ。
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コンパクトながらも、完璧な作品です。生と死をめぐる気持ちの交流を通して、二人の女性が心の再生をはかっていく物語。悲しみとやり切れなさ、そして希望が描き切られています。
ストーリーはシンプルで読み進めやすく、文章は軽やか。キャラクターもクセがなく、落ち着いているので入り込みやすい。でも扱われているテーマと、それに関する具体的な事件や物語はきちんと無駄なく盛り込まれており、最後にはきちんとハッピーエンド。
何度でも読み返したくなる本といっても過言ではありますまい。完璧な作品です。
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久美沙織さんの描くキャラクターの、この、自省的というかぐちゃぐちゃぐるぐる考えちゃうけど行動ははっきりしている感じが好きです。
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久し振りにこの作家さんの本を読んだ。
自虐的なちょっと優等生の生意気な女の子描写、やはりうまいなあ。
そして女の子心理というか、感情の流れとか。
若さを感じた。
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13歳の杏は生まれて初めて学校をサボり、
図書館に行こうとして偶然出会ったのが年上の女性の小椋さんだった。
小椋さんに導かれるままに、彼女の目的である30年前に起きたバス事故を一緒に調べるようになる。
正体不明の小椋さんに最初は警戒していた杏だったが
杏のもやもやした気持ちを静かに聞いてくれて、気持ちに寄り添い時に突き放して意見をくれて
事故によって亡くなった人たちを思い
次第に杏と小椋さんは最高の友達になれたこと。
病気で亡くなった大好きだった父
流産して悲しみに暮れる母
思春期で自分の気持ちにどう向き合えばいいか戸惑う杏。
児童文学のような雰囲気だったが、そうなのか?
長野のバス事故って、実際に起きている事故なんだね。
たくさんの命の重さ、生まれてくる命の尊さ。