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短編とはいえ、ちょっと噛み応え有る物多し。
特に表題作「分解」と「童貞」は要注意。
「童貞」、後半ギリギリまで見抜けなくて悔しかった。
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短編集。酒見さんといえば歴史物のファンタジーのイメージが強いけど、この作品群はそこまで歴史的な要素は多くない。
表題作「分解」。着眼点は面白いけど、分解対象となるものに関心が持てないと専門用語の羅列にちょっとうんざりする。
「童貞」。女系社会に生きる男の物語。展開に引き込まれる。
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『ピュタゴラスの旅』『エピクテトス』『童貞』のような古代史を下敷きにした物語から『分解』『音信不通』『この場所になにが』のように世界のあり方にせまる作品、また、『泥つきのお姫様』『ふきつ』といった心霊世界を皮肉ったコメディと幅広い作品集。
世界を語りながらそれのみが主眼にならず、物語自体が滅法面白い。まるで、中島敦じゃないか。
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■ピュタゴラスの旅
数学者じゃなくて哲学者扱いなのは、この価値観ゆえ?
短編じゃ物足りない。もっと書き込んでほしい。
勿体ないないなあ、これ!
■エピクテトス
上と同じワールド。奴隷の一生バージョン。
「存在観」ってのは本人の気の持ちようなのね。
■分解
マニアックというよりフェティッシュ^^;
拳銃の分解→人体骨格の分解→意識の分解、
とエスカレートしていくんだけど、いき過ぎ。
ヌードは艶っぽいけど、レントゲンに違うでしょ、みたいな。
■音神不通
汎神論の音バージョン。面白い切り口。
愛のない睦言からはそれなりの音しかしない・・・って、
結構シュール。
■この場所になにが
更地を見て、ここって何だったけ?ってよくある。
この現象って実は私の方が・・・「唯我論」に挑戦か??
■泥つきのお姫様
世の男女がひっつく裏で、
実は物凄〜く煩雑な手続きが霊界に走っている・・・わけないってw
”泥”って単語が何を指しているのか、
作者の意図がピンと来なくて、気になってる。
■ふきつ
ナンセンス・・・ ありがち。
■童貞
アトウッドの「侍女の物語」、逆バージョン。
雰囲気は「エンジン・サマー」とか「地球の長い午後」とかなんだけどな。川との媾合ってのも、なんか微妙・・・
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『ピュタゴラスの旅』からの二編をはじめとする、今や入手困難な作品を文庫化したものだそうだ。
確かに『ピュタゴラスの旅』は読んだけれど、それ以外は初めて。
それにしても、本当に酒見賢一さんは幅の広い作家だと思う。
表題作「分解」。
語り手は分解者の先達として、分解の技術を指南する。
そのレッスンの様子が延々と語られる。
分解者なるもには、いったい何者なのか。
まったくわからないままに、だ。
最初の授業は拳銃の解体、次に人体、と進んでいく。
あおれぞれのパーツが頭に描けないので、ここで挫折するかと思った。
が、その後、人間の意識の解体、小説の解体へと進むと、俄然面白くなった。
メタ物語というか、批評性がくっきりと見えてくる。
すごい作品だと思った。
縁を結ぼうとている男女の背後で、祖霊たちがドタバタを繰り広げる「泥つきのお姫様」は抱腹絶倒。
中国伝説時代、治水に携わった鯀、禹を扱った「童貞」も、興味深いという意味で面白い。
ミソジニーが現れた作品と言えなくはないけれど、女系社会だったという古代社会がどんな風だったか、いろいろと想像を掻き立てられる。
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『ふきつ』
いやぁああああああああ怖いぃいいいいい
『泥つきのお姫様』
なんか、祖霊とかがいろいろあってカップルをくっつけないといけないのが、祖霊もいろいろあってといふ描写に、感心する。
『童貞』入っとる。うーん。斎藤美奈子先生といふフェミニストの人がこれを評して「神話の捏造」と言ってゐたが、凶悪な母系制国家に虐げられてゐた男性が田舎を粉砕して男性主導によるアレを建築すべく川を犯してどうのと言ふこの話を肯定的に書けるのは、えー。