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展開が早く、というか割りとあっさりと陰謀の黒幕に辿り着くあたりはもう少しボリュームアップさせてハラハラドキドキ感を与えて欲しかたところでしょうか。けれども重苦しく謎めいた導入部からラストまでは一気読み。描かれた陰謀はじゅうぶんにあり得るリアリティが。そして何より老人の下す男の信念を貫く決断に感慨深いものを得れる。
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久々のマイケル バー=ゾウハー。「本の雑誌」での評価も高く期待して読みました。
冒頭から引き込まれあっというまに読了。ただ、「陰謀」のおそまつさ、都合が良すぎるのではないか、と思わせてしまう展開にちょっと疑問あり。(それも著者の計算の可能性があるけど)ただ、主人公の最後の選択の重さはどうだ!。
いろいろ余計なことを考えてしまう。
・アメリカにとって日本の存在ははるかに軽いものになってしまったが地政学的に日本の存在が重いものであったら同様の操作はありえるのか。
・マイケル バー=ゾウハーの初期の作品を読んだときから比べるとイスラエルへの反感が若干増している。それが読後感に影響を与えているのではないか。
・また、その意識が同時に主人公の選択に衝撃を受けさせた理由ではないか。(著者はイスラエルの国際的なイメージに危機意識を持っているのではないか?)
マイケル バー=ゾウハーは初期の短めの作品のほうが面白い。長くなればなるほどつらくなる。あまり読まなくなってしまったのはそれも理由にあったと思い出す。
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過去と現在を行き来しながら陰謀の真相を暴く。そこに反ナチの思想が深く絡んでくるため、ある程度の読み難さは覚悟していたが、意外とスラスラ読めてしまった。
外堀を埋めてからストーリーが動き出すタイプなので、62年前の事件に至る背景部分は重くてしんどい。事件が展開すると一気にエンタメ性が濃くなってくる。ヘビーな背景は薄れ、スパイ小説としての面白さを堪能できる。ここが本作品の真骨頂なので、謎解きそのものには過剰な期待をしないように。ハリウッドが好みそうな題材ではある。
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NHKの「週刊ブックレビュー」で紹介されていて、面白そうなので読んだ。出だしがあり得ない設定で引き込まれる。中盤くらいまで一気に読んだが、後半は失速。でも、この著者の他の本も読んでみたいと思った。オーストリアに誕生したハンサムなネオナチ党首っていたなー(ハイダーだっけ?)と思いだした。その後、どうしたんだろう?
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「週間ブックレビュー」で絶賛であったが、期待していたほどではなかった。一部史実であるということは興味深いが、オチがなっとくゆかない。ミステリではなく、スパイものだね、しかたないか。
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手練れの作家の作品だから、読みやすいというか、澱みなくすいすい読まされてしまうけれど、内容としては「なんだかな」と思うところはある。
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15年ぶりの巨匠の新作。本格的なエスピオナージュを久しぶりに堪能した。現代を舞台にしても、おもしろいスパイ小説が書けるというよい見本。
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本当に久しぶりの新作。ノンフィクションは未読だったので、作品を読むこと自体も十数年ぶりのはず。冒頭の謎から哀切に満ちたエンディングまで、堪能できる一冊です。
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何気なく手にした本だつたけど、大当たり。
構成の骨が太く、ネオナチなど右傾化しがちな現代ドイツと過去の過ちを上手くテーマに織り込み、尚且つ西側体制の中でのドイツの立ち位置を米英の思惑から発した陰謀の形で組み込んだ作家としての力量は確かであり、読み手を飽きさせることがない。
ストーリーは、実在したユダヤ人の復讐組織、グループ・ナカムの老いたメンバーがドイツで訴追されロンドンで拉致されてドイツで逮捕されるところから始まる。右傾化と西側体制からの独立を標榜する現首相が首相選挙をリードする中で顕在化したユダヤ人の逮捕、票読みの行方が変わってゆくなか政治的駆け引きが進む。
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カーの『死者を語らずとも』を読んだ時のように、作中のドイツと現在の日本の相似を感じた。偶然だろうけど。自国の正義を貫くためなら、1人の老人の命も尊厳も踏みにじる、巨大国家の傲慢の恐ろしさ。これがフィクションと笑い飛ばせない現実の恐ろしさ。今のドイツはここに書かれているほどひどくはないだろうが、アメリカと日本はよりひどいかも知れない。
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ユダヤ=弱者、ナチ=悪者、という単純な区分では整理できないドイツの状況をベースとしたミステリー小説。英MI6、米CIAの思惑に振り回される強制収容所サバイバーのジューイッシュ爺さんとその息子が主人公。息子はアラバマで育っている設定なのだけど、「アラバマ臭さ」が全くない好青年すぎるのが違和感。
ロンドンホテルでチェックインして眠ったら、目が覚めたらベルリンだったという誘拐の設定は無理がありすぎだろ、と思ったら日本語版2010年出版。どうりでネットの位置情報的なプロットがいっさい出てこないわけだ。
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ブルガリア生まれでナチスの迫害を逃れてイスラエルへ移住した作家「マイケル・バー=ゾウハー」のスパイ小説『ベルリン・コンスピラシー(原題:Berlin Conspiracy)』を読みました。
「ジョン・ル・カレ」の作品に続きスパイ小説です。
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ホテルで目覚めたアメリカの実業家「ルドルフ・ブレイヴァマン」は、不可解な思いにとらわれた。
昨日はロンドンのホテルで寝たはずだが、ベルリンにいるのだ。
間もなく彼は、62年前に仲間とともに五人の元SS将校を殺した罪で逮捕され、彼の息子「ギデオン」が一連の奇怪な事件の調査を開始する。
父親の親友などの協力を得て、やがて暴き出す驚くべき国際的陰謀とは?
巨匠が実力を遺憾なく発揮した待望の新作エスピオナージュ。
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2010年(平成22年)に出版された作品でナチが絡んだ国際的な謀略小説… 「マイケル・バー=ゾウハー」の娯楽作品としては15年振りに刊行された作品だったようですね、、、
ロンドンにいたはずなのに、気付いたらベルリンに… 意表をつくプロローグが印象的な作品でした。
アメリカ国籍を持つユダヤ人実業家「ルドルフ・ブレイヴァマン」は、昨日はロンドンのホテルで寝たはずなのに、自分がベルリンにいることに気が付く… そして部屋に踏み込んできた警官に、62年前、仲間とともに五人の元SS将校を殺した罪で逮捕されてしまう、、、
自分はドイツに拉致されて来たのだとする「ルドルフ」の訴えに、ベルリン州上級検察官「マグダ・レナート」は耳を貸さない……。
折しもアメリカとドイツの関係は悪化しつつあった… 愛国主義的な態度をとるドイツ首相「クルト・ブルンナー」がイランを援助し、イランに対する軍事制裁を考えるアメリカと激しく対立していたのである、、、
そんな中で起きたこの不可思議な事件――それも、ナチスの戦争犯罪人をユダヤ人が殺害したという事件を62年後に蒸し返す、政治的に極めて微妙な問題を抱えた事件――は、ドイツの総選挙が近いこともあって、米独両国に深刻な影響を与え始めていた… SS殺害自体を悪事だとは考えていない「ルドルフ」は、取調べに当たっても頑固な態度を崩さない。
そして62年前に実際に何が起きたかも、なかなか明かそうとしないのだ… そこに、ほぼ義絶状態だった彼の息子「ギデオン」が、父を救うべくベルリン入りする、、、
「ギデオン」は事件の発端となったイギリス・ロンドンへ行き、父の親友「ニコラス(ニッキー)・ゲスト(クラウス・ルドナー)」の助けを借りて調査を開始する… そこに、祖父が行った残虐行為を知り、事件の展開に違和感を覚えた「マグダ」が加わり、事件の背景にはイギリスとドイツが共謀した国際的な陰謀があることに気付く。
事件の背景には、ナチスのユダヤ人大虐殺やそれに対する復讐劇があるのですが… アメリカのイラン攻撃計画や、ドイツ総選挙(すなわちドイツ首相の命運)、そしてイランに肩入れするドイツの反米姿勢等の国際戦略に関わる大きな力が働いていていたんですよね、、、
自国の国益を追求するための騙し合い、張り巡らされた奇々怪々な陰謀… 二転三転する真相の行方を愉しめるエンターテインメント性と、ネオナチの台頭に警鐘を鳴らそうとするメッセージ性が両立した作品でした。
そして、印象的なのは、最終章で「ルドルフ」が下す苦く重たい決断… この行動によってドイツ総選挙や国際情勢の行方には、影響があったのかな、、、
この決断が世界を寄り良き方向へと導くきっかけになれば… と切に願いながら読み終えました。
以下、主な登場人物です。
「ギデオン・ブレイヴァマン」
民俗学者
「ルドルフ・ブレイヴァマン」
ギデオンの父親。実業家
「マグダ・レナート」
ベルリン州上級検察官
「グラント・テイラー」
ドイツ駐在アメリカ総領事
「クリス・ブロリン」
ドイツ駐在アメリカ大使
「ヨアヒム・ルーエール」
アメリカ総領事館付き弁護士
「ゴードン・コーマー」
アメリカ領事館の政治アタッシュ
「クルト・ブルンナー」
ドイツ首相
「エルヴィン・シュタール」
反ブルンナー勢力の代表
「ニコラス(ニッキー)・ゲスト(クラウス・ルドナー)」
元ドイツ部隊の一員。ルドルフの親友
「ペーター・シラー」
旧SS協会会長
「ホルスト・ゲルケ」
シラーの友人
「レディー・アップルビー=ジョーンズ」
ゲルケの知人
「ジミー・エドワーズ」
名誉ある者たちの会のメンバー
「ウォルト・カーライル」
アメリカ国家安全保障担当大統領補佐官
「ヘルマン・レムケ」
ベルリン刑事警察警部
「エヴァ・ブロツキー」
ルドルフの恋人
「ティム・チャートウェル」
《タイムズ》の記者
「ヴィリー・マズア」
ブルンナーの選挙対策委員長
「リーザロッティ・ニーマイア」
マグダの祖母
「ルイス・マーシャル」
ホロコースト博物館の元学芸員
「ウルリケ」
ベルヴュー病院の看護師
「フランツ・ニーマイア」
ルドルフたちが殺害したとされる元SS将校の一人