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日本初の救急精神病棟を3年間にわたって丁寧に取材したドキュメント。
かなりフィクション、編集の強く入ってそうなドキュメンタリーだけど、患者、家族、医師、看護師など、満遍なく語られている。取材先が病院なので、在宅の患者、作業所へ通っている障害者については語られていないが、それでもバランスが良い本だと思う。
衝撃的な言葉に彩られることの多い精神病棟だけど、患者も含めてなるべく多くの関係者の「思い」を掬い取ろうとしているのが好感が持てる。
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救急の精神病院?そんなの有るのか?
と言う興味と疑問から手に取った一冊。
精神病院を扱ったものは、高校時代に「ルポ・精神病棟」という文庫本(たしか朝日新聞社だったと思う)を読んで以来である。この本には、当時の劣悪な精神病院の実態が描かれていて、少なからず衝撃を受けたんだが、この「救急精神病棟」はどうだろうか。
日本で始めて救急の精神病患者を専門に受け入れる病院を3年にわたって取材した本書だが、様々な問題を提起しており、なかなかに興味深く読めた。
ここに入院している患者たち、その治療にあたる医師や看護師の姿を通して、現代の精神病医療に関する問題点を投げかけてくる。
医療に携わる医師の問題、精神医療行政の問題、そして普段は精神病患者(病院)と縁のない我々の意識の問題・・・。
本書に書かれている事の受け止め方は、人それぞれで違うだろうし、自分自身も「昔からの」考えに変化は無いけれど、こういう取り組みもあるのだなと理解はできる記述は好感がもてた。
やたらと作者の考えを押し付けてくるルポやノンフィクションもあるが、抑制のきいた本書の書き方は良いと思う。
映画「カッコーの巣の上で」は好きな映画なんだけど、その映画についても少しだけ触れられていた。ロボトミー手術など、日本の精神医療の過去の闇についても、もう少し記述されていると、もっと良かったかもしれない。
☆4個
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分厚くて文字が詰まっていて一見読みにくそうですが、スピード感あふれるクリアな文体と内容なので、意外とスムーズに読み進められました。
精神科救急で働く人々、運ばれてきた人たちの様子、日本の精神科医療の歴史と背景など。
真面目な優等生タイプの学生やサラリーマンが暴れ出す事例も描かれています。
これは他人事ではない。
私も中学から高校時代、対人関係の重圧と無理な短眠術の挑戦によっておかしくなり、対応に失敗してこじらせたのである。
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20150924/p1
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2000年10月から2003年8月まで、著者は「千葉県精神科医療センター」で密着取材を行った。
救急といえば怪我や病気で瀕死の人を治療するものだとばかり思っていましたが、見た目ではわからない命の瀬戸際で戦っている人が、私が思っているよりもはるかに多くいることがこの本でわかりました。
精神病というと人里離れた場所にある精神病院の鍵のかかった個室に押し込め、そんな人間などいなかったかのようにしてしまう従来の対応から、今は、どう地域に戻して治療していくかを試行錯誤している状況のようです。
10年以上前の本ですが、多分今も劇的な状況の変化はないと思います。
精神病と一口で言っても、症状は様々です。妄想、幻聴、自分を責める人、周囲に対して攻撃する人。
外に表れる症状は様々でも、心の中は恐怖でいっぱいなのだそうです。
「やさしさもふれあいもない、競争と弱肉強食原理の支配する荒涼とした世界、その中の孤独で無力な自己」
この本はノンフィクションです。
でも、患者の名前は仮名ですし、患者が特定できないようにエピソードなども変えてあるそうです。
そのくらい神経を使って書かれたこの作品は、しかし決して情緒的なものではありません。
淡々と事実を(多少の変更はあるにせよ)書いているのに、対象を突き放してはいない文章に人としての温かみを感じるのです。
現代の生命倫理学を語る上で必須の言葉は「オートノミー」=「自律性」
「自分自身について考える能力であり、人生の自分自身による計画を設計し、修正し、追求する能力」と定義されています。
千葉県精神科医療センター院長の計見医師は精神病に対して「開かれた医療」であるべきだという。
“開放化の「共に、外へ」という指向は、まちがいなく正しい。精神病患者が各々の地域で、差別や偏見を受けずに暮らせるようになることにこそ、精神医療の不変の目標があるからだ。”
精神科と心療内科の違い。
心の問題と脳の機能。
患者の抱える心の苦しみ。
それは、人間だからこそ持ち得る苦しみなのだから、見てみぬふりでなかったことにすることは出来ない。
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精神病院の救急というセンターの取材したもの
このようなセンターで働いている医療関係者や看護士さん達には本当に頭が下がる 患者さんから暴力を受け植物人間になった本人人もいるとか
隔離暴力病棟はトイレのバーまで危険なものになってしまって取り付けてないとか
映画「カッコウの…」を見て 精神科について知らないことも多いと思ったが、ロボトミー手術こそなされていないが、本人にとって必要だと思われれば現在でも 電気治療という施術もなされている
何が大事か というのは、患者本人にとってその治療が必要かどうかだと
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20年近く前の精神科を赤裸々に綴るノンフィクション。個人が特定されないよう加工はしてあるものの、これはかなりリアル。制度改正に伴い、精神に障害を有する人の地域移行支援は遅々たる歩みながらも進みつつある。制度ではなく他者の、地域の理解が進まない限り、いつまで経っても「キチガイ」のレッテル、スティグマは拭いされないのだろう。
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非常によく調べてあるように読み取れる。変に気負った書き方をしてないのもいい。そして「患者が一番怖がっている」という言葉は確かにその通りだと思う。