投稿元:
レビューを見る
南の島を舞台とした、少し不思議な連作短編。南の島、というとあっけらかんと明るいイメージがありましたが。……そうでもなかったか。ややホラーめいた雰囲気も感じました。
お気に入りは「蛸漁師」。これはホラーめいてもいるし、ミステリとしてのテイストも感じました。そして「夜の果樹園」も好き。こっちは完全にホラーですね。見事な南国怪談です。
投稿元:
レビューを見る
不思議が満ちている南の島を舞台にした短編集です。
これまでの懐かしげな日本のありそうでけしてありえないどこか、を描いてきた話とはちょっと毛色は違いますが、全体的な雰囲気はどこか共通点があるのかそれほどの違和感もなく、やっぱり作者らしいなと納得して読むことが出来ました。
人間の醜さもさらりとさりげに描いて混ぜ込みつつ、より強まったファンタジックな要素そのものも面白く読めて、とっても読み応えのある一冊でした。
文章がなんかいいなあと思うんですね。装飾は多くないのに、想像力をかきたてられる。言葉の選択が良いのでしょうか・・・なんにしてもやっぱり好きな作家さんです。
投稿元:
レビューを見る
○島に一本しかない紫焔樹。森の奥の聖域に入ることを許されたユナは、かつて〈果樹の巫女〉と呼ばれた少女だった…。呪術的な南洋の島の世界を、自由な語りで高らかに飛翔する神話的物語…
○「今年で120歳」というおねえさんと出逢ったタカシは、彼女に連れられ、遠く離れた南の島で暮らすことになる。多様な声と土地の呪力にみちびかれた、めくるめく魔術的世界…
舞台はすべて、南の島。読者を異次元へさらっていく、ふしぎな短編集。
投稿元:
レビューを見る
作者がインタビューで『読者の期待をいい意味で裏切るような“未開拓”の部分に挑戦したかった』と言ってたのをネットで知っただけでも、今までとどう違うんだろう?と期待感を膨らませて読んだのは言うまでもありません。
悪くはないのです。けっして面白くはないのですが、これが恒川さんの作品??と少し寂しくもあるんですよね。
自分が好きである恒川さんの持っている作品の雰囲気である、あの幻想的な雰囲気はこの作品では感じられません・・・。
その代わりあるのは、親が子供に寝るときにお話を作ってあげたという感じの作品ですね。
連作短編集でありますが、誰かが軸にいるってわけではなく、なかには他の島の話もありますし。そして、舞台は島でも、結構大きいのですよね。
小さな県位はあるのではないかな~って位の広さなんですよね
でも、観光とかで結構栄えてたりしてる雰囲気もあるし、なんとも不思議な世界です。
基本、タカシとユナさんは所々に顔をだすので、あ~タカシと同じ時代の話なんだな~って思ってしまう位、時間間隔がわかりにくい、というか必要性のないのかな?
表題作もまぁ物語の最初の話として必要だし、好きだなとも思いますが、個人的には『まどろみのティユルさん』は結構好きかな♪
なんか、子供の頃に読んだようなちょっとした冒険譚のような、そうでもないような海賊だからね、同じような雰囲気として『雲の眠る海』も結構好きかな。
いい意味で裏切るという言葉は上手くいったのかわかりませんが、個人的にはいつものような作品の方が好きかな~好みの問題でしょうけれど。
投稿元:
レビューを見る
このひとの書くお話は、どんなに現実味がなくても、
あっさりとわたしを自分の世界観に引き込んでしまえる。
とても安心して読める。
投稿元:
レビューを見る
★2010年23冊目読了『南の子供が夜いくところ』恒川光太郎著 評価B
これまでの恒川氏の日本的なオドロオドロしい冷厳な世界から一歩踏み出して、南国の異国を舞台にした物語。
霊的で不思議なストーリーは健在だが、何となくトロピカルな雰囲気が、従前の作品の持つ冷たい恐山的な感じを打ち消してしまっているのは、正直言うと残念です。
南の子供が夜いくところ B
紫焔樹の島 B+
十字路のピンクの廟 B
雲の眠る海 B
蛸漁師 B+
まどろみのティユルさん A
夜の果樹園 B
以上の7つの短編が、微妙な関係を持って物語を構成しています。単行本で読むよりも、文庫になれば、一読の価値はあるかしら?!
投稿元:
レビューを見る
オンの世界が出てきた。
前にもどこかで聞いたような。気のせいかな。
いつもの如く静かな世界で、不思議な気配がさり気なく自然に充満していた。
でも若干、作者に期待し過ぎてるのかもしれないが物足りないかも。
「夜の果樹園」が好き。
頭だけ果物。
シュールレアリスムの絵が浮かぶ。
案山子に怪物、果物。
一番、物語に起伏があったのもこれじゃないだろうか。
「まどろみのティユルさん」もほんわかして好きだけど
やっぱり奇妙な世界を読んでたいので一番は「夜の果樹園」かな。
投稿元:
レビューを見る
「今年で120歳」というおねえさんと出逢ったタカシは、彼女に連れられ、遠く離れた南の島で暮らすことになる。そこは、めくるめく魔術的世界だった-。
微妙に繋がった連作短編集。恒川幸太郎らしく現実と異世界が交錯する舞台設定。だたし今回は南の島が舞台で、これまでの恒川作品が醸し出していた陰・暗・冷といった雰囲気はなく、そこは少し残念。それでも最後まで楽しく読ませてもらった。
(B)
投稿元:
レビューを見る
両親と一緒の夏。湘南のホテルの近くに停まっていたワーゲンバスの
移動店舗で、タカシは「今年で120歳です。」というおねえさんと出会う。
おねえさんの計らいによりトロンバス島で「教授」と呼ばれる男と
生活する事に…。タカシを巡る人々の、遠くて近い色濃く歪んだ
物語たち。
タカシに直接大きな影響を与えているわけではなく、タカシのまわりに
いる人物がそうした体験をして、そこに不思議な存在となって居る事が
不可解で奇妙な暗がりを生み出している。さらにそれを俯瞰して
見ているような浮遊感と怖さを感じさせる。
特に最後の『夜の果樹園』はぞっとした。
投稿元:
レビューを見る
架空の島「トロンバス島」を舞台とした連作短編7編。独特の世界観は相変わらずですが、いつもより少しだけ心地よさが足りないように感じました。なんていうか…これだったら恒川でなくても書けるんじゃね?、みたいな。
投稿元:
レビューを見る
異国情緒たっぷりの南洋の島を舞台に時空を超えて繰り広げられる不思議な連作短編集。
ホラーチックありファンタジーありちょいユーモアありブラックありといろんなタイプの物語、ひとつひとつの質の高さはさすがです。
少しずつリンクしてるけど大きなひとつの物語と言うよりはいろんな夢を見てるような気分でした。
狂言廻し的な呪術師ユナの存在感がよかったですね。
投稿元:
レビューを見る
むっとするような土の匂い。
島に根付いた生の匂い。
架空の南の島を舞台にした、連作短編集。
日常の中にぽんと非日常が入り込んで、不可思議な世界が出来上がっている。でもそれは現実と陸続きなんだって素直に納得できる物語。
投稿元:
レビューを見る
「夜の果樹園」と「紫焔樹の島」と「まどろみのティユルさん」がすき。他のもすき。なんだか民話、童話っぽくて、それがまた南の島らしく素敵です。なんっか物足りないなーという気がしなくもないが。
投稿元:
レビューを見る
恒川氏の本は和風の匂いがいつもする
そこが長所なんだと思うけど
この本は南国チックな、話的にもそれに準ずるゆるさがある
おもしろい話とそうでない話が混在
うーん、ハードカバーで買ってたらちょっと後悔するレベルかも
投稿元:
レビューを見る
連作短編。呪術者やヤニューがいたりすることも不思議な現象も、日常と穏やかに馴染んでいる感じが心地良い。