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踏み出した一歩が異界への入り口だった・・・
って話を書かせたら天下一品な恒川さん。
いままで書いてきたのが陰の闇なら、今回は陽の闇といったところでしょうか?
架空の南国の島・トロンバス島を舞台に、これまた不思議で奇妙な物語を紡ぎあげています。
心中間際まで追い詰められた一家が出会った不思議な屋台・・・「南の子供が夜いくところ」
紫と白の果実を実らす聖域の大樹。それを守る巫女となったユナ。平和に暮らす島にやってきたのは一人の異邦人で・・・「紫焔樹の島」
十字路に建てられた小さな廟。島の子供・ロブが体験したご先祖様と魔人とのやり取り・・・「十字路のピンクの廟」
遠く次元を超えてやってきたシシマデウさんが語る、滅びと救いを求める脱出行・・・「雲の眠る海」
悪しきもの・ヤニューに魅入られた男の話・・・「蛸漁師」
埋まっている男・ティユルさんと出会ったタカシとロブ。彼がまどろみの合間に思い出すのはかつての海賊家業の日々とその報い。光を求めた彼が最後に見た、白と緑の輝き・・・「まどろみのティユルさん」
息子に会うために島にやってきた父親。誤って乗ってしまったバスは、彼を不思議な町に連れてきて・・・「夜の果樹園」
以上の7編の短編集なのですが、少しずつお話がリンクしていて、読み進めると思わずニヤリとする場面も。
今回は「紫焔樹の島」や「雲の眠る海」などの、〈滅び〉を盛り込んだお話が好みだったかな。
いつもとは一味違った恒川ストーリーを堪能いたしました。
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恒川ワールド(^O^)
でもちょっとムラがあったかな。
草祭みたいに短編集だけど一話一話が繋がっているのはよかった。
だけど、面白い話と少しイマイチな話もある。
ユナの幼少時代の話が好き!
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借金で一家心中のため海水浴場へ行ったタカシ一家は
ユナの手配でばらばらに南の島に送られる「南の子供が夜いくところ」
果樹の巫女だけが行くことができる聖域を持つ島に
異国の男が流れ着き文明を運んでくる「紫焔樹の島」
小学校の先生が最近作った祠の由来を調べるうちに
墓参りで起きた不思議な出来事を知る「十字路のピンクの廟」
他の島の敵が攻めてきて島は壊滅、シシマデウさんは
大海蛇の一族を探しに海へ漕ぎ出す「雲の眠る海」
岬の崖の中に埋まる部屋で蛸をとって暮らす男は
自分の息子を探してここに住み着いたのだと言う「蛸漁師」
半分植物になった男が海賊であった自分の過去を思い出す
「まどろみのティユルさん」
息子に会いにバスに乗ったはずが
フルーツ頭の暮らす村にたどり着いてしまう「夜の果樹園」
装画:鈴木里江 装丁:鈴木久美(角川書店装丁室)
恒川光太郎の新作です!
今まで日本が舞台の根底にあったのに対して
今回は異国の南の島での物語です。
よりファンタジックでいしいしんじのような雰囲気。
「夜の果樹園」は意外だったなぁ。こういうのも書くのね。
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恒川さんらしい世界観が、南の国の伝承として伝えられてる話。うーん、でも現実世界とおとぎ話がまざったような話の方が世界観として好きです。感情移入がちょっと難しい。
でも、こんな話はありそうですね。
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「夜市」から通時的に読んできた。
ちょっと悪い傾向になりつつあるような気がした。
「秋の牢獄」「草祭」と連作短編集を続けてきているが、短編がまとまったときの全体の作る世界の奥行き、整合性、深さが成り行き的に作られてものになっているような感が強くなってきている。
感性におもむくままに書くみたいな。
書くことについてこの作者は優れた才能(それもものすごい)があるのでそれにまかせて書ききってしまっているのではみたいな印象が……
「美は乱調にあり」的なものを「草祭」には感じて感銘を受けたが、それだけで終わってしまうのはもったいない作家だと思う。
連作短編ばかりでなく、じっくり構成を考えた長編を読みたい。
現時点での最新刊「竜が最後に帰る場所」に期待したい。
あとブログによると時代小説も書いているようですね。
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2011/02/06
夜市と一緒に。
あんまり人物が好きになれないのってなんでかな。たけしくんが嫌に大人びているとかは、正直この年でこれでは、少々嫌味に感じてしまう部分も少なからずありました。
そういうのは置いとくとすると、やっぱり全体の世界づくりはすごいと思います。薄味のようでいていつの間にか絡め捕られている、ような。フルーツ頭の話とか、最後に入れ替わって視点が変わるだけで、すごく残酷で、やるせない気持ちになりました。この話は、嫌だったな…
全体を通して言えば、この島近辺で起きる不思議な出来事を一部ずつ切り抜いているような、連続性のない短編で、悪い白昼夢の続きのような、物語ひとつひとつにこれといった関連性はないのがいまいちよくわからない。繋げる面白さを意図したってわけじゃないのかなあ。
読了したあとに感じるものは夜市と同じ、奇妙な感覚。
おなじ人の作品だなあと強く思った。
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登場人物に繋がりのある短編集。
過去のお話しが現代に続いていて
とても深く繋がりを感じさせるお話しが多いです。
ホラーといぅよりもファンタジー色が強くて
ちょっと怖かったり切なかったり。
どのお話しも独特な世界観で面白かったです。
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“「眠れないの?」
タカシは枕を脇に抱えて頷いた。
ユナにききたい。お父さんとお母さんは、本当に今生きているのか。あの手紙は本物なのか。でも、夢の中で棺桶を開くことができなかったのと同じく、返答が怖くて言葉が出ない。ただ涙が零れる。
「どうした」ユナはやさしくいった。
「嫌な夢を見た」
「だから泣いているの?大丈夫よ」ユナはハンモックから下りた。「心配したって仕方がない」
「夜が怖い」
「困ったわね。じゃあ、ちょっと散歩でもしようか」”
ファンタジーチックで、少し怖い。
恐怖というよりは、奇妙な得体の知れなさ。
今の自分のすぐそこにも転がっていそうな。
“月に照らされた灰色の雲が夜空を流れている。
私は自分の頭の中の輝く場所へ意識を集中して、聖域に入った。
紫焰樹のそばにくるとしばらく放心した。
トイトイ様が私の横に現れた。
「みんな大嫌い」
私はいってみた。
でも、いってみただけで、本当は誰も嫌いではなかった。
トイトイ様は慰めるようにいった。
「時折、寂しくて、寂しくて、仕方がなくなるだろう?」
私は答えなかった。
「みんな同じだ」
トイトイ様は長い手を伸ばして私の頭を撫でると、森の中へと消えていった。”
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南の子供の住む島は遠いおとぎ話の島のよう。即物的であることを忘れるくらいに飽和状態の中で生まれた自分には不思議でもあり、どこか懐かしくもある。無感覚に耐えられなくなったら南を目指して旅するのもいいね。大切なものはなにかということを常に意識していたい。
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巨額の借金に苦しみ、子どもと共に一家心中を計画する両親。
立ち寄った屋台で出会った不思議な女性に導かれ、南の島トロンバス島で生きていくことを決意するが・・・。
幻想小説、和製ホラーの名手、恒川光太郎による連作小説。
これまでの作品群とは違い、海外である南の島を舞台に異世界へ踏み込んだ少年を主軸に、島の歴史と静かな恐怖がセンチメンタルに描かれる。
日本で多額の借金をし、どうしようもなくなった両親は、120歳だと自称する女性ユナに咎められ、南の島であるトロンバス島に息子のタカシを預け、別の場所で金策することとなる。
一人異国の地に残されたタカシは南の島の言葉や習慣に戸惑いながらも、穏やかで異質な世界に馴染みながら成長していく。
語り手、時間軸は短編ごとに入れ替わり、タカシの置かれる環境がいかに構成されていったか、タカシの世話役のユナがいかなる人物かがリンクし合いながら断片として語られていく。
どの章も静かで、我々の地続きの世界とは少しだけ異なる幻想的なおとぎ話のように淡々と綴られているが、内容は残酷でもあり、教訓を孕んだ児童書のようでもある。
すべてが解決し、謎も解けてハッピー・エンドという作品では決してないのだが、読後は南国の避暑地で夜の海を眺めているような、穏やかな気持ちになっている。
少し視点を変えれば、どんな世界にも見えてくる正気と狂気。
何処に逃げても変わらない因果。
作品に登場する島国が居心地よく感じられるのは、自分たちが棲む世界と姿形は変われど本質が変わらないからなのだろうか。
恒川光太郎 その他の著書
・竜が最後に帰る場所
・草祭
・秋の牢獄
などなど。
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最近お気に入り。「夜市」の恒川光太郎の本です。
今回も先日読んだ「草祭」と同じくひとつの場所を下敷きにした連作短編。
とある南海の孤島に住む人々とその地の伝説。120歳を自称する呪術師ユナにつれられてその地に住むことになったタカシは。。。
「南海の」と書きましたが、大体そんな感じというのであってどこと限定されたわけではない不思議な空間。このあたりのさじ加減が絶妙です。その島での過去や現在がいろいろな視点で描かれて、うつし絵のように島の輪郭が見えてくるような気がします。読んでいる時はもうちょっと「ユナ」の前身とか書いてほしいと思いましたが、読み終わってみるとこれでいいのかなとかも。
個人的にはこの人の本にはずれがないなあ・・・という印象。
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不思議なお話がつまった本でした。
なんだかわからないままに読み進んでいくと、
最後に最初居た場所に戻ってきた、みたいな。
以前に読んだ短編集と同じく
それぞれが微妙にリンクしていて、
それに途中で気づいた時に
なんとなくうれしかったりします。
けっこう残酷な場面もありますが、
流れる空気はゆっくりとしたリズムで
夢の中にいるような
ふわっとした気分で、読後感は意外に希望に満ちた感じです。
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パラパラ読み。こういうリアルと関係ないストーリーを読む余裕がない、自分が悲しい。 埋められた海賊のエピソードのみ、ちゃんと読んだ。いつか再読するかも
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借本。
短編集かと思いきや、そうでもない不思議な本。
読んでると、ちょっとだけザワッとする面白さがたまらない。
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ふしぎなはなし。
毎回、展開がよめなくて良かった。
ファンタジーだけど
本当にどこかで起こってそうな内容も。