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紙の本
一難去ってまた一難
2010/02/03 18:03
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
いろいろ修羅場ってる最中に転向までさせられて、一体どうなるの?という転校先での「美千緒ちゃん」だったが、意外に軽いノリで始まった。なるほど、これまで脇の脇に隠れていた顔見知り達をこちらに配置してホッと一息つける展開にしているのは構成上手。しかも、今回のゲストとして全編に渡る活躍をさせることにも成功している。なぜナガレが表紙なのかな?という第4巻である。
軽音部という枠の中で各人にイタイ設定を与えて、今話題の隣人部を模したグダグダ展開にしているのが割と面白い。確かに「平坂読先生のセンスって凄いんだな」と、本家の破壊力を再認識してしまうのは皮肉だが、こちらもまずまず頑張ってはいる。そして、作中でも『けしからん』が連発される、何とも羨まし過ぎる美千緒の本当にけしからん修行も続く。その過程でいわゆる「8年前の悲劇」の全貌が明らかになるのだが、その真相よりも、むしろそうした障害に打ち勝つ、乗り越えるパワー、その源は何か?という方向に主眼が置かれていたように思う。成長とは、これまでの自分を受け入れながら否定し、過去のものにすることだとの含蓄があった。これに、図らずも披露されたウテナの本心。美千緒への負い目を抱きながら、それでも美千緒を想い、信じ続けて行動していた、スーパー美少女らしからぬウテナの振る舞いの影に努力し続けることの素晴らしさを内包して、これら全てを受け入れた美千緒の変化が本巻のクライマックスとして描かれている。ここに至るまでグズグズにヘタレていた描写に反して少々あっさりしていたようにも思ったが、これはこれで悪くない。終わってみれば「なんだ、美千緒とウテナって結局モーレツにラヴラヴじゃん」なのだが、最後の最後で今度は別の方面から一騒動起こりそうな引きを見せたことで、今後の展開がまた解らなくなった。できればウテナのデレを見ながら様子を見守りたい。
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