投稿元:
レビューを見る
○鉄分たっぷり(5作中4作)、ダイヤを使ったトリックは見逃すまい
東海地方にまたがる事件をまとめた5つの短編集。
・愛と死の飯田線
久我が諏訪湖のペンションで出会った女性2人組と飯田線乗車の旅をしたら、その時間で起きた殺人事件のアリバイ証言をすることになり――愛が真実の邪魔をする。
・見知らぬ時刻表
亀井の息子が拾った妙な時刻表を気にしつつ、沼津で殺された男の容疑者を追うと、その時間名古屋でアリバイがあり――アリバイを崩せたのは息子のおかげ。
・幻の特急を見た
東京で社長が殺された事件は、個人秘書に疑いがかかる。が、富士川で走っているはずのない特急を目撃していて――トリッキー(笑)
・イベント列車を狙え
昔騙された女を追いお座敷列車「江戸」に乗り込んだ井村。しかしその女は車中で殺されてしまい――容疑者の男と信じる男。絆された十津川の謎解き。
・恨みの浜松防風林
事件の容疑者を追い単独行動した日下刑事は、途中その容疑者を殺した容疑がかかるが、何者かに助けられ――日下の浅はかさが事件解決の糸口をつかむ!
「飯田線」は、その線だけで解決しない広い視野が必要。ネタバレ画像に注意。
「時刻表」は、関係ないのかなと見せかけてそれこそ「見知らぬ」というか誰もわかりえぬ列車でした。
「幻の特急」は、きっとそういう事例が実際にあったんだな。作者の取材力の勝利。
「イベント列車」は、十津川の信じる気持ちに容疑者も救われる。
「浜松」は、この短編集で唯一鉄道が登場しないが、日下・西本両刑事の名コンビ!?友情をぜひ感じてほしい。