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投稿者:みつひろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
井上靖の最晩年の長編小説である。この名作には既に多くの評価がなされているから私の愚考を重ねても無意味である。
架空の孔子の弟子の語りが中心となるこの作品は紛れもなく作者自身の孔子に対する思いを述べたものである。孔子という人物の事績が弟子の記録によって言語化されていることを考えるならば、この作品は紛れもなく昭和の論語といえるだろう。
一人の作家がたどりついた一つの境地を窺い知るためにもこの作品の価値はある。
今思う孔子の教え
2004/02/07 17:45
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投稿者:コーヒーノキ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この小説の主人公は、孔子本人ではなくその弟子である。物語は、孔子の死後三十数年たってから、主人公がかつて孔子と過ごした日々を、孔子を研究する人々(孔子研究会)の前で回想し、孔子の残した言動について問答していくものである。作中には、高校時代に授業で出会った(記憶のある)言葉も登場しており、中でも有名な「天命」の解釈には、多くの登場人物が独自の解釈を披露している。この天命という言葉は、授業で聞かされた頃は何ら感動も覚えなかったのだが、今読んでみると宗教とは一味違った厳しい教えであることに改めて気付かされる。宗教には神仏がおり、それらを信ずることによって救われたり成仏したりするのだが、孔子は、人間が正しいと思う道を信じ、それを正しく行おうとも、天は必ずしも救いはしてくれない。天はただ嘉するだけであると言う。当たり前のようだが、なかなかそう思えないのが人間であり、だからこそ孔子は命がけで多くの人に伝えようとしたのだろう。
回想には、孔子を支えた弟子たちも興味深く描かれており、孔子一門が目指した世界に奥行きを持たせている。また、当時の歴史的背景も随所に織り込まれているため、中国史に興味がある方も楽しめると思う。
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投稿者:MFTR - この投稿者のレビュー一覧を見る
孔子の弟子(といっても架空の弟子)の一人が、昔を回想する形で、孔子の生きた時代、そして孔子そのものを描き出そうとしている歴史小説。どこまでが史実で、どこからが創作かがはっきりしないが(これは歴史小説である限りしかたのないことだが)、その時代の雰囲気が伝わってくるような気がする。井上靖氏の静かな文章が孔子というテーマによく合っている。
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投稿者:みみりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
論語で有名な孔子。その孔子に対する理解を深めるのによい本である。
「未だ生を知らず、焉んぞ死を知らん。」(まだ生きることについてさえよくわかっていないのに、死についてなどわかるはずもない)等、古典で習った様々なことばが、生き生きとしてせまってくる。
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投稿者:fks - この投稿者のレビュー一覧を見る
偉人とされている孔子について学びたいと思っているので今とても気になっている(まだ読んでいない)。この作品を通して新たな知見や発想が知りたいと思う。
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先日、行きつけの料理屋のママさんが、「先生にぴったりの言葉を見つけんです。聞いてくださいますか?」と美しいカバーに包まれた小ぶりのノートを大事そうに取り出してこられました。テレビや本で心に響く言葉を見つけた折々に書き記しておかれるのだそうです。「孔子の人柄は、温和であって、しかも厳格であり、威厳を備えながらも、威圧感がなく、礼儀正しく、しかも窮屈を感じさせなかった」「ほう、すごいですね」
「そうでしょう。この言葉を聞いたときに、杉先生そのものだって思ったんです」私自身としては、儒教の創始者であり世界四聖として名高い孔子になぞらえていただくなど、全くとんでもない限りです。いずれにしても、このような人間像を最終的な私の目標として心の片隅に定めておきたいと思います。そういえば、と家に帰って井上靖の「孔子」を開いてみました。特別装丁の立派な本です。裏表紙の書き込みを見ますと、1991年6月、かつて、ある大学の学長を務めておられたH先生の
脳梗塞後の精神的リハビリに毎週通っていた、その帰りに買い入れたと覚書がありました。
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哲学の話、儒教の話?かな弟子たちが孔子について洗いざらい語りあった結果の産物みたいな。。ですが内容的にはちょっと難しい?!
ですが、儒教(?∀?)モエッや孔子(?∀?)モエッだったら特効薬かも!?www
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井上靖最期の長編・集大成的作品らしい。
まぁこれが最期になると本人が思っていたのかどうか疑問は残るが。
孔子に興味持って読むと失敗すると思う。恐らく間違いなく。自分はそうだったので失敗。期待ハズレ。しかし作品的にもこれを集大成と謳いあげるのはどうかとおもうなぁ。
たしかに井上靖が書きたいものを書いた気はするけどね。んー・・正直特別いい作品には思えない。
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人間がこの世に生きていくうえには、「天命」という、すこぶる正体のわからぬ、
合理的とも不条理ともいえる掟のようなものがあって、どうやら人間というのは
そこから自由になることはできないようです。
自分が思う「正しいこと」をしていようと、しまいと、無関係。
そのうえで人間がどのように生きるべきか。
大きい天の摂理の中に自分を投げ込み、成敗は天に任せ、その上で己が正しいと信じた道を
歩まねばなりません。
ボクが高校生の頃ベストセラーになっていた本。
30代半ばにして読む。
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主人公は孔子の架空の愛弟子が、孔子の死から33年後、若い孔子の研究者に向かって語るスタイルの物語。
孔子は中国の春秋;期の国人です。孔子は中国の著名な人物です。中国に対して重要な影響があります。孔子の精神品格は「三人行,必有我;焉」という意味が私は聖人ではない、人は金持ちで貧乏ではなく、知識を持っていれば、誰でも聖人になると思っています。
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孔子のふるさと・山東省の曲阜へ行く前に。
論語の教えがちりばめられていて分かりやすい。
孔子一門が雷をじっと座って見ているという場面がすごく印象的。
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井上さんの作品は、まだ数冊しか読んでいないのですが、これはすごいと思いました。
架空の弟子の口から語られる孔子と孔子を取り囲む弟子たち、揺れ動く国と歴史。
たとえば同じ設定、同じ筋書きで別の人が書いていたら、この作品はなかった。
井上靖という人間の精神の深み、その澄み具合がこの作品を書かせたのだと思います。
物語の展開だけで泣かせるような、安っぽい感動はありません。でも読み終えたあと、激しく泣いてさっぱりしたような、このままでいいのかと訳もなく焦ってしまうような、熱いにかたまりが残ります。
――――――なんて、えらそうに書いてますけど! 私だってちゃんと読み込めてるとは言えないんですけど!
でもすごいなあ。この人でないと書けなかっただろう小説。そんなものを書けた人がいるんだなあ。
個性とか、そんなものを飛び越えて、そのさらに奥にまで到達している気がする。
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井上靖先生の本ということで、何とか最後まで読み通したが、私の様な素人にとっては、同じような内容の繰り返しが続いていると感じてしまい、小説としてはかなり今一との感想です。
中国で公開されている「孔子」の映画は孔子の伝記構成と成っており、それを期待して、この本を読むとかなり目的が違ってしまいます。
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孔子の伝記ではない。架空の弟子が昔を思い起こす形で語られていく。孔子の人生というよりも、孔子という人やその言葉はこのようなものではないだろうかというのが描かれているように思う。
孔子というよりも井上靖の人生観みたいなものに興味のある人におもしろい本かなと思った。
伝記を読みたくて&孔子も良く知らないし&中国の歴史もなじみがないのでちょっと読みにくかった。予備知識がもっとあったほうが読みやすかっただろうなと思う
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孔子の死後、弟子の一人が師匠と同門の高弟たちについて語る。
人生をかけて学ぶに足る師を見出した弟子たちの姿と、彼らを愛し、導いた師の人間としての大きさが、じわじわと膨らんでくる。
類似した内容が繰り返される描き方には読みにくさも感じるが、孔子が生涯をかけて、いかに繰り返し同じことを説いたかを考えると、自然に思える。その手法は、弟子が見聞きした師・釈尊の行跡や教えを語り合い、編纂された仏教経典の記述を思わせる。
孔門の「師弟」の人間的豊かさに感動し、驚かされもしたが、現代では失われつつあり、共感されにくいものでもあると思う。