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40年ほど前に、著者が34歳の時に執筆されたものだそうだ。
今読んでも、全然古くない。
というか、いろいろな料理エッセイを楽しんできた今こそ読みたい。
多分、40年前の自分には理解できなかっただろうと思う。
「四面体」とは、正三角形が三つ組み合わさった形なのはご存知の通りだが、「料理の四面体」では、その底面を“ナマモノ”と定義し、頂点を“火”とする。
頂点に向かう3本の稜線をそれぞれ、“空気”“水”“油”とすると、あらゆる料理はこの多面体のどこかに位置づけられる。
…というすばらしき発見を、玉村氏はこの本で発表している。
…と書いても、この本を読んでいない人には何が何やら???
この本を順を追って読んでいけば、なるほどと分かる。
そこまでの過程には、料理の歴史を縦軸に、世界の広がりを横軸に、著者の体験や調査によっての発見や考察が、これでもかとばかりに描かれている。
簡単に済むものをいじくりまわしすぎなんだよ、みたいなフランス料理に対する皮肉を、そこここにちりばめているが、著者のこだわりも、料理をかなりいじくりまわしすぎなのでは、と突っ込みを入れたくなる。
それにしても、人間の考えることはどの国でも同じなのだな、と文明の発達に思うのだが、実に、料理にもその法則が当てはまる。
人類みな兄弟、料理もみな兄弟!
じっくり読んだら時間がかかってしまったが、とても面白かった。
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世界中の料理を鮮やかに描きながら、調理プロセスに基づいて体系化を試みる。情感たっぷりに記された文章、料理名のイメージを揺るがす旅……もさることながら、時折混じる「不真面目さ」に思わず笑ってしまう。肩の力を抜いて味わいたい。
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同僚に薦められたものがたまたま市の図書館にあったので借りてみた。
結論としての料理の四面体という考え方も面白かったが、そこに至るまでの研究と考察も読み物として面白く、また、自分があまり考えずにやっていることにも理屈がつけられてとても有意義な内容だった。私、カレー作るときにワザワザ肉を別で炒めて入れてるんですが、なにそれ、いやリソレだよと。これからは自信を持って嫁に主張できる。
そして、80年代にこれだけの世界の料理の研究と考察を実地で実行していたことにも、この本が未だにこんなに新鮮に読めることにもびっくりした。
この本は実際にある程度料理をする人が読んだ方が、間違いなく面白い。
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5年程前に読んだ名著。
目から鱗で、膝を打ちまくる。
物事を抽象化して、身の回りの世界を認識すると、
こんなにも楽しくなるものかと。
料理名を気にせず、適当な具材を組み合わせて、
「焼いたん」「蒸したん」「炒めたん」「炊いたん」くらいで呼んでることもしばしばあるけど、
世界共通の料理の本質だなーと考えさせられる。
料理が、楽しくなること、うけあい。
料理だけに止まらず、世界のあらゆる事象を見る目が変わる。
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世界各地の料理を比較して、共通の構造で表現しようとした本。加熱の媒体を「空気(干す、燻る、炙る、焼く)」「水(煮る、蒸す)」「油(炒める、揚げる)」の三つに集約する観点がポイント。非加熱の味付け(漬ける)を工程の前後に添える段取りとする観点も興味深かった。
これに味付けの種類に関する洞察が加わっていれば、完全体だったかもしれない(全部、塩の仲間ってくくってるので残念)。
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料理を一切しない人のレビューです。
全ての料理は「水」「油」「火」「空気」の四面体の中で分類される。ゆえに、国や民族ごとに全く異なる料理があるように見えて、根底にある原理には全て同じ。
お洒落なレストランで振る舞われる何が何だか分からないカタカナだらけの料理も、実は素朴な日本語で訳せるっていう…笑
筆者の食に対する知見の深さを見習うべく、今後自分に提供される料理一つ一つをしっかり分析したいな〜と思えた一冊!
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料理の根源にある基本原理を示した一冊。骨しゃぶり氏のブログで紹介されていたので読んでみた。
料理とは火を頂点とした、水、空気、油の3要素、合計4点からなる四面体で構成される。
この原理を筆者のこれまでの様々な料理経験、国内外での食事経験等をふまえて見出すまでの流れが示されている。
ここ数年、料理は科学である、とぼんやりと考えていたが、本書を読んでそれが確信にかわった。料理する上でなんとなく考えていた事柄を本書が明確に、かつ自分よりも高い解像度で示してくれた。料理人ではないからこそ出てきた視点だとも思う。
あくまでも著者の提唱する一概念であり、体系的に研究されているものではない。しかし本書の概念を基礎として、料理学が研究されていけばより面白く、また料理をするにあたってさらに実用的な結論が導き出されると思う(不勉強だが、すでに学問としてあるのだろうか?)。
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著者は、エッセイスト・画家であり、長野県でワイナリーの代表取締役会長も務めています。火・水・空気・油の4要素から、料理の一般的原理を見つけ出そうという一冊です。
この本の中で著者は、人類の料理のレパートリーが、塩による味付けで如何に豊かになったかを力説しています。塩は全ての調味料の基本であり、人間にとってなくてはならないもの…と、述べられているのです。
アルジェリア式羊肉シチュー、仔羊の背肉ポンパドゥール風、フィレンツェ風ビステッカなど、冒頭から、塩を活用する料理が次々に登場。世界の料理の共通点を発見し、自身で料理を作ることの楽しさを再発見できる名著です。
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「今でしょ!」の林先生がTVで紹介していた。料理本でありながら、4要素を軸とした「モデル化」を通じて論理的思考が学べる本である。
…とのことで興味を持ったのだが、当該箇所は最後の方の一部であり、当然といえば当然だが大部分は世界の料理について解説している。(本格料理を家庭で実現するためのレシピまで!)
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正直完全に理解することはできなかった。
普段あまり料理をしない人が読むと余計に難しい。
しかし料理という観点から、物事をシンプルかつ多面的に捉えることができる方法が記してあると感じた。
名前こそ違うが、大きな枠組みの中で見れば同じようなものであることを自分の頭の中で整理でき、数学的思考の上達につながると感じた。
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「あーそういうことね完全に理解した」というのは、古来から人類が望んできた世界認識の極点であろうが、実際にその台詞を口にするのはペテン師か気違いなのが相場である。それでも、本書を読むとすくなくとも料理という極めて限定的な世界においてではあるものの、冒頭の台詞を口に出したくなってしまう。
本書は、世界各地の様々な文化によって多彩な様相を示す料理の世界は4つの要素で説明できる、と豪語する魅惑の書籍である。4つの要素とは、火、水、油、空気であり、全ての料理は火を頂点とした4面体で説明できるという。
表紙の帯で示されたそのコンセプトを読んだときには、「そんなわけがない」と思いつつ、本書ではまず世界の様々な料理の調理法が丁寧に説明される。煮込み料理、天ぷら、ローストビーフなどの調理法の解説を読みつつ、本書の最後でようやくこの4面体のコンセプトが説明されるのだが、そのときにはこのコンセプトが見事に現実の料理の世界を説明するのにふさわしいものだということを実感してしまう。その語り口は、イタロ・カルヴィーノの幻想小説を読むかのような魅惑に満ちており、一瞬たりとも飽きさせない。恐ろしい世界認識の書物である。
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読み終わった後、料理をしようとすると頭の片隅に四面体がある。これから何を作ろうとしているのか、それは四面体のどの面や高さに位置するのか、自然と考える。様々な国の料理を分解して構造化し、その骨格をあらわにして集約していくのは圧巻。
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玉村豊男『料理の四面体』読了。アルジェリア式羊肉シチューにはじまり、古今東西の料理をめぐる雑駁なエッセイ集を楽しんでいたら、過去現在未来のあらゆる料理を射程に収めた"統一理論"に至るという得難い読書体験を提供する一冊。自ジャンルを包括的に語るというオタクの根源欲求が呼び覚まされる。
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まずこの本は未知の料理が涎が出る表現で紹介され、読者の気をそそる。そしたらいつの間にか筆者独自の筆遣いでその料理が私たちにも馴染み深い料理と本質的に同じだということが説明される。
これが終盤まで繰り返される。刺身はサラダであるという一見よくわからない主張も、読んだ後は納得感がある。
そして最後の最後、それまで積み重ねてきたケースがある一つの料理の本質で説明できることを暴く。
それまでの紹介はその統一理論を支えるための演繹的なアプローチであったことに気づく。
その理論はシンプルかつ包括的、そして料理というテーマも相まって実生活との親和性が高く気軽に実践し、理論を活かすことができる内容だ。
一冊の本としてとても綺麗にオチがついていて、かつ筆者の経験と知識があってこそ生まれたオリジナリティのある内容。素晴らしい本質本だ。
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世界の料理には様々な共通点があることが、具体例を交えて紹介されていて、とてもわかりやすかった。
どの料理もとても美味しそうに描かれていて、自分も世界中に旅行して、食を楽しみたい気分にさせられる。
料理の四面体の理論は理解できたが、まだ自分でそこから新しい料理を思いつくのは、難しそう。