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紙の本
青春の一番深いところ
2010/10/04 07:30
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ジーナフウガ - この投稿者のレビュー一覧を見る
青春の巨匠みうらじゅんさんが、80年代の時代の波をモロに浴びながらも、
必死に日々を乗りきっていく様子が描かれた、甘酸っぱくて、ほんのりビター風味の青春自伝。
冒頭、同伴喫茶では場馴れしてるかの様に装い大失敗し、
神様ボブ・ディランのコンサートにいった夜、念願の童貞喪失に、成功する場面が描かれている。
青くて切ない純情の空回り。いつも脳内にエンドレスで掛かるディランの歌には背中を押されたり、
逆に追い詰められたり。常に心に多くの葛藤を抱えながらも、1日中ダラダラと、
ファミコンのプレイに費やし、迫り来る日常からは目を逸らす日々の繰り返し。
それでもロックしているのか俺?を生きるテーマにしているので長髪は切ることが
出来ないままで時代の変化から大きく溝を開けられている。それだけならおとなしくて良いのだけれど、
美大のサブカル友達と連れ立って深夜の映画館へと潜り込み、
展示されていたゴジラのソフビ人形を2つ盗難して来る始末だし性質が悪く出来ている。
なんでこんなにダメダメな青春を赤裸々に綴っただけの文章が激しく胸を打つのだろうか?
特に、みうらさんが師匠と崇め、事務所に入り浸っていた糸井重里さんからの再三の
『おまえ、髪の毛、切れや』及び『それにおまえ、高円寺を出ろや』との忠告を聞けずに
ついつい高円寺の街をさ迷う【高円寺ゾンビ】な日々を送っていた時に、
糸井師匠から、愛想を尽かされ、破門されてしまう下りには、思わず自分の心臓もギュッと
締め付けられた様な気分になった。自分とは一体誰なのか?自分って一体何?
自問自答を何度となく繰り返しても答など出ない問いの重さに、いつの間にか、
自分探しではなく自分なくしの道を歩き出すみうらさん。
自分の人生は『青春ノイローゼ』だと言い切れる態度に潔さを覚えた。
ずっとコンプレックスを抱いていたロックにもバンドブームの時代、イカ天出場を果たした事で、
敬愛していたバンドのメンバーたちから祝福の電話を貰い、
ようやくコンプレックスを消す事が出来たと述べているし、特筆すべき点として、
自分の伝えたい事を渾身の力で描いたという傑作漫画『アイデン&ティティー 』においては、
初めて師匠糸井重里さんに『やればできるんじゃん』との賛辞の言葉を得ているのだ。
読んでいて思わず鳥肌が立った。『やったね、みうらさん!!』拍手を送りたい位感動した。
この作品には、悩みや不安、葛藤と言った物が『これでもか!』と詰まっている。
でも、内容の全てがみうらさんが実際に感じたであろう本音に溢れているので、不思議な説得力がある。
タイトルの『テクノカットにDCブランド』と言う通り、目に見える変化や、
成長ばかりが求められていた時代に、不器用ながらも真っ正直この上ない、
生き様で通して来た人だからこその魅力であろう。現在、
自分の生き方に迷っている人にこそ読んで欲しい傑作です!
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