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日本社会のホットイシュー(Ex:市場原理主義批判、派遣労働規制、少子高齢化の政治的影響などなど)
に対して、経済理論と実証研究例を用いて解説した一冊。
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データを元に感情論に流されず分析を重ねていて、とても学者らしい1冊だと思う。
日本人は国の所得再分配機能に期待していない、というのは腑に落ちる。結局日本人はいなくて、いろんな身内があるだけなんだよね。
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大学の先生に勧められて、読みました。
堅苦しい本だと思っていたけれど、すらすらと読めました。とても面白い
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心強い市場経済擁護論。幅広いトピックが取り上げられた経済エッセイといった趣だが、女性ホルモンの話や祝日の話まで出てくるのには、驚いた。
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競争と公平感の双方を考えながら望ましい社会のあり方を模索する必要があるが、最近の論調は反市場主義に偏り過ぎていると感じる。伝統的経済学の考え方に加えて新しい議論も紹介しており、お勧め。
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「より豊かで公平な社会をつくるためのヒント」が、よくまとまっていると思います。
ただし根拠に「?」がつくところもあるので、★4つにします。
・反市場主義は利権の奪い合いをもたらすだけ。冷静な議論をすべき。
・ウィキノミクスの考え方をうまく活用するべき。
・市場競争のメリットとデメリットを正確に理解して、メリットを活かしながらデメリットを減らすことをみんなで考えるべき。
そのためには学校教育でもっと市場競争について正しく教えるべき。
・経済学は「後悔しない人」を前提にしてきたが
公的な社会保障などを考える場合は「後悔する人」を前提に考えるべき。
→経済学にも「後悔する人」を前提に考える風潮が出てきた(行動経済学)。
・双曲割引・・・遠い将来の割引率の方が、近い将来の割引率より低い。
→宿題を先延ばしして後悔したりすることを説明できる。
・相対的貧困であっても、人間にストレスを与える
・低年齢層の投票率の低下が、教育のまずしさを生んでいる
(高齢者には教育にお金をかけるより、年金や医療にお金をかけて欲しい人が多いから)
・非正規社員の雇用規制を変えても、労働市場の二極化は解決しない。正社員にもリスクを持たせないといけない。
・労働時間に規制がかかったのは、貿易摩擦が原因。(日本人は働きすぎといわれないようにした!)
でも労働時間の規制は必要(特に、長時間労働で明らかに生産性が低下している場合)。
・真の貧困対策は、教育と所得再分配(よくいわれているが)。
近年の所得税率のフラット化は、そういう意味で逆行している
・会社負担だからといって労働者の負担が減っているわけではない。「見えない負担」にも気をつけないといけない。
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今のパート・アルバイトの平均的な時給では週5日フルタイムで働いても生活保護水準を上回ることは難しい。
そのため、最低賃金引き上げを訴える声が上がっている。
しかし、最低賃金を引き上げることで仕事を失ってしまう人がいるということを、声を上げている人たちはどう考えているのだろうか。
貧困問題を解決するにはどうしたらいいか、他人事とは思わずに一人でも多くの人が読んで考え、行動してもらいたいし、自分も自分にできることから取り組んでいきたいと思わせてくれた一冊だ。
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『デフレの正体』と合わせて読みたい一冊。大竹氏の以前の著書『日本の不平等』もいつか読みたい。詳しいレビューはブログで…
http://pinvill.cocolog-nifty.com/daybooks/2011/05/post-785e.html
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なぜ競争をしなければいけないのか、という疑問に答えるのは意外に難しいものです。本書もまた、明確な答えを提示してくれるものではありませんが、少なくとも、経済における自由な競争が健全に機能していることは社会にとってどのような効果があるのか、という点を明らかにしてくれます。経済学に明るくない私にはうってつけの本でした。
本書の初めのほうには、とても印象的な2つの命題が書かれています。「貧富の格差が生じるとしても、自由な市場経済で多くの人はより良くなる」「自立できない非常に貧しい人たちの面倒をみるのは国の責任である」。この2つに対する回答こそが本書のテーマだと私は思うのですが、これらの質問をある時知人に問うてみたところ、2つの考えからは「なんだか合理的すぎて冷たい感じがする」という印象を受けたようでした。私が見るところ、おそらくこの冷たいという印象こそが、日本人が市場における自由競争と政府による所得再分配のどちらも信用しない一つの原因なのではないでしょうか。私としては、この命題は合理的であるからこそ社会で機能するものなのだと思うのですが。
この命題から出発した著者は、非正規雇用、労働時間、貧困と格差、高齢化、社会保障といった良く耳にするテーマを取り上げ、それらを経済学から捉えなおすとどういったことが見えてくるかを解説しています。経済学の考え方がとても良く分かる上に、本書では神経経済学や行動経済学といった最新の知見にも触れることで、経済社会にいる人間がどういう特徴を持っているかまでも明らかにしようとします。触れられる内容はかなりの範囲に上り、また個々のテーマに対する著者の提言には現実性に欠けるものも多々含まれていますが(例えば高齢化によって特定の年齢層のみが政治力を強めるのを是正するために「年齢別に選挙を行う制度」を提言するなど)、本書は読む者に「さらに詳しいことが知りたい」と思わせてくれ、入門書としては巧みな構成になっていると思います。
「経済」という語は経国済民、すなわち国を治め民を救うという言葉が語源になっているそうです。本書を読んで、その理念が現在の経済学にも確かに流れているということを実感できた気がしました。自由な競争によって国全体を富ませ、結果生じた格差は国全体の所得を再分配することによって縮めるべし。経済学を学ぶ人たちの「当たり前」に、改めて触れることのできる本だと思いました。
(2010年3月入手・7月読了)
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2010.6.26
2000年代に入り、格差がクローズアップされている。格差が拡大しているという認識は、市場競争への反発につながっている。しかし、格差とはいったい何なのか?本当に広がっているのか?その原因は何なのか?ということをきちんと考えていくと、そういった通説や世間のイメージとは異なった結論が出てくる。市場原理は世の中が豊かになるための基本的な原則である。今必要とされているのは、「市場原理の否定」ではなく、「市場原理を機能させるためのルールの整備」と、「格差を埋めるための再分配」である。
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(2010/6/28読了)競争と公平に関する概論を網羅していてよくまとまっているのだが、これを新書サイズでやっているので、「んん、そこんとこもうちょっと詳しく分析聞かせて~!」という部分がさらっと流されてしまっている。例えば『市場競争も嫌いだが、大きな政府による再分配政策も嫌いだという日本の特徴はどうして生じたのだろうか』なんてのは、筆者の考察はたった1ページしかないのだが、個人的にはこの命題だけで1冊読んでみたいテーマであるよ。
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これは面白い。
経済の様々な問題が分かりやすく説明されている。本は薄いのに内容は厚い。
--気になった言葉--
若い頃の不況経験が、価値観に影響を与えることを実証的に明らかにしている(P18)
成功した人は自信過剰である比率が高いだろう(P34)
胎児期における栄養が少ないと、飢餓状態に耐えるために体内に脂肪を蓄積しやすいように体質をプログラムするというのだ。(P83)
出生体重が低いことと、ADHDの発生率の高さ、教育水準の低さ等の間に相関があることが多くの研究結果で明らかにされている(P85)
幼少児に育った家庭環境が、その後の学力や所得に決定的に大きな影響を与えることが学問的に明らかにされてきたのであれば、幼少期にある恵まれない子どもたちへの教育支援の重要性を私たちが認識して、政策に反映させる必要がある(P95)
規制緩和が進んだ地域や競争が激しい産業で働いている人ほど他人を信頼する傾向が高いという研究がある(P123)
職場においてワーカホリックが歓迎されるのは、同僚がワーカホリックになってくれたケースである。(中略)問題なのは、ワーカホリックになった人が昇進して、職場全体を長時間労働にさせる権力を持った場合である(P181)
ひょっとすると所得税がフラット化したことが、日本の管理職のワーカホリックを増やして、その部下たちの長時間労働問題が深刻化したのかもしれない(P183)
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100年に1度の世界不況の中、市場原理主義がたたかれたが、日本人はもう少し市場を信じてもよいだろう等の日本経済に様々な疑問を投げかけてくれた本。プチ情報が多いが、あれもあり、最後は抽象論でまとめられるとつらい。
が、その中でも面白かったのは、①所得が何によって決まると考えられるかの日米比、日本:努力>運>学歴、米国:努力>学歴>才能であったこと。②若い頃の不況の経験が価値観に影響を与えること。就業時期に不況を経験すると「人生の成功は努力よりも運」となり、「政府による再配分を支持する」が、「公的な機関に対する信頼を持たない」という傾向がある。③iPS細胞を作り出した山中伸弥教授や上田泰己が、成功するには自信過剰でないと無理だろうということや、「無根拠な自信」が科学的研究には重要ということを言っていること。
①については②を考慮に入れると日本の不況がそれほど凄まじいことの裏返しであると考える。パラダイムを変えるようなイノベーションを起こすに土壌としては才能を認めることが必要であると考える。そのような才能にはやはり③の無根拠の自信が必要だ。
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本日ご紹介する一冊は、大阪大学社会経済研究所教授であり、数々
の良書を出されている大竹文雄さんが、現在日本の「競争」と「公
平」について論じた一冊。
とはいっても、決して大上段に構えた政策提言ではなく、さまざま
な研究成果から、現在の日本人にどんな心理傾向があるか、なぜ現
在の政策が効かないのか、じつにわかりやすく解説してくれています。
下手な雑学本よりもずっと面白く、どんな人間が競争で勝てるのか、
女性と男性のパフォーマンスはどんなときにどう違うのか、どんな
しつけをした子どもが将来金持ちになるのかといった、さまざまな
知識が入っています。
人差し指より薬指が長い男性が仕事で成功する理由、最近流行りの
「小さく産んで大きく育てる」が子どもの将来を考えた場合、間違
いである理由、学歴が高く金持ちの親ほど子どもを甘やかさない理
由など、読んでいるだけで目からうろこ、間違いなしです。
市場競争とは、いわばインセンティブの与えられ方の一つである。
厳しい競争にさらされるのはつらいかもしれないが、私たちは競争
そのものの楽しさや競争に打ち勝った時の報酬があるから競争に参
加する。しかも、市場競争を通じた切磋琢磨は、私たちを豊かにし
てくれるという副産物をもたらす
この傾向(正社員と非正規社員との二極化)を止めるには、正社員
の雇用保障の程度を低めるか、五~一〇年程度の任期のなかでは繰
り返し雇用を自由にできる、任期付き正社員という制度を設けるこ
とが解決の方法
時間割引率が低い(忍耐強い)親は、自分の子どもを厳しくしつけ
る傾向が日米ともにあることをアンケート調査から明らかにした。
(中略)学歴が高いほど、所得が高いほど時間割引率が低いという
ことは、実証的に明らかにされている
天国や地獄といった死後の世界の存在を信じる人の比率が高い国ほ
ど経済成長率が高い一方、教会に熱心に行く人の比率が高い国ほど
経済成長率が低い
実は、最低賃金引き上げで被害を受けるのは、新規学卒者、子育て
を終えて労働市場に再参入しようとしている既婚女性、低学歴層と
いった、現時点で生産性が低い人たちだ
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【新聞書評→ネット】
前半は心理学への言及の多さから、根拠のはっきりしないトンデモ本になってしまうのではないかと心配したが、後半は持ち直した。
経済競争をスポーツ競技になぞらえ、独り勝ちが続くと結局、競技者は頂点を望まず、結局は競技そのものが停滞してしまう。競技=経済を活性化するためには、常に政府がルールを改正する必要がある、という主張は確かに納得がいく。