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一応教科書的な位置づけの本何だろうけど、数式がほぼ皆無なので一般書的感覚で読むことができる。但し、ゲーム理論について一通り学んで概念等を理解していればの話だが。
前半は決定不能性、混合戦略、学習理論、予測と推論及びロジット均衡という、従来のゲーム理論の問題点の延長みたいな話であり、ゲーム理論を社会科学ではなく、意思決定の分析のための学問という捉え方をしている自分としては興味深くわかりやすかった。
一方最後の3章、コーディネーションとコミュニケーション、メカニズム・デザイン論及び社会的学習と制度変化という話は、完全に経済学&社会科学的話で、個々に書かれている文章の内容は難しくもなんともなかったが、学問的な問題意識や対象の捉え方が全く異質なので、読んでいてもさっぱり言いたいことがわからなかった。
最後のエピローグ部分は、実験経済学、行動経済学、神経経済学の問題の捉え方、目指す方向及びアプローチの違いがよくわかり、外野の人間としても面白いと感じた。前に行動経済学の一般書を読んで感じた、経済学が目指すべき方向に関しての違和感についても、別に間違っているわけではなく、経済学というは名前は同じでも色々な流儀があるから、経済学という言葉が喚起するイメージと異なるような研究も行われているにすぎないと理解できた。
個人的にはゲーム理論については今後も、複雑な内部を仮定することなく、より単純な外部条件の下で未来を予測できるような学問であり続けることを期待している。
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前作『実験経済学』を平易に解説した行動経済学入門書。難解な数式モデルを,その成立背景にあるストーリーとともにわかりやすく紐解いていく良書。邦語では,行動経済学のバイブルとなることまちがいなし!
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本書では、合理的なプレイヤーを仮定する伝統的なゲーム理論では説明のつかない「不合理性」について、利他性や限定合理性などを導入した様々なモデルや実験結果などをまとめてくれている。
まだどのモデルが良いかは議論が分かれるところのようで、結論に関しては歯切れは悪い。果たして「行動ゲーム理論」は完成するのだろうか。
読み物として面白いが、数式による説明が少ないので教科書としては物足りない。そこは参考文献が充実しているのでそちらを参照すべきなのだろうが、コーディネーションゲームやメカニズムデザイン論におけるルールのデザインについてはもう少し掘り下げて欲しかった。
あと、やたらと小説からネタを引っ張ってくるのは、おそらく著者の意図とは真逆の感想を個人的には持ってしまった。
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利己的で合理的な伝統的なゲーム理論に対して、利己的で限定合理的(実験経済学的)な拡張と非利己的で合理的(行動経済学的)な拡張とに分けて論じる。前者の有力な理論としてレベルK理論とロジット均衡が紹介されている。著者の立場は前者に寄っているのか、後者のものとして互恵性理論を短く紹介するにとどまっている。そのほか、学習よって限定合理的から合理的になっていくかを調べる学習理論の研究が紹介されている。
後半では、コミュニケーションによるコーデイネート問題、さらにはメカニズム・デザイン論まで紹介され、最終章では制度が内的に形成する過程ついての最近の研究話題も提供されている。
幅広い内容を短く紹介しているため全般的に理解するのが難しい。今後この分野を牽引するような研究者に向けた本であるといえる。