投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
十三歳の少年ジョニーは、一年前に誘拐された双子の妹アリッサの行方を独力で捜していた。僅かな目撃情報以外になんの手がかりもつかめない警察、アリッサ誘拐後に失踪した父親、薬物におぼれた美しい母親は地元の実業家の男のいいなりで家庭はめちゃめちゃ、ジョニーの周りには頼れる大人は誰もいなかった。学校をさぼってしらみつぶしの捜索をしていたある日、オートバイが大型エンジン車に衝突された事故を目撃した。負傷したオートバイの男性を助けようと近づくと「連れ去られた少女を見つけた…逃げろ」。その言葉が気になりながらもただならぬ事態を察してその場を一目散に後にするが…。『川は静かに流れ』で様々な家族間の愛憎を丁寧に描いたジョン・ハートの作品らしく、本作も近いが故に、家族に対して期待、尊敬、失望、怒り、寂しさなどの複雑な感情を少年ジョニーが抱く様が丹念に描かれている。ジョニーが「子から親」への感情を表す一方で、アリッサの捜査責任者のハント刑事は仕事第一で息子との意思疎通がうまく計れない「親から子」への心の動き、不器用さを表していて、この対比も読みどころのひとつだ。ジョニー、ハント以外の人々にもそれぞれ家庭の事情があって、それが終盤に明らかにされるアリッサ誘拐失踪事件の真相に大いに関係してくるのだが、こうした人々の心の描き方を丁寧に追うことで、巧くまとまっていると思う。ミステリとしての話運びも単純ではなく、アリッサ誘拐事件を追ううちにある性犯罪が明らかになり、脱走した服役囚が絡んで、少しずつ謎が解けそうになるのだが、すんなりいかないもどかしさがあって、ややもすると退屈になりがちの長めの展開でも飽きさせない。一部、腑に落ちない点がないでもないが、作品全体としては非常に面白く読書の楽しみを存分に堪能できる良作だと思う。【以下ネタバレ・腑に落ちない点を含むため未読の方はご注意を】最後まで読んで振り返ってみると、腑に落ちない点が大きく二つばかりある。まずひとつは、さらわれたもう一人の少女から判明する性犯罪常習者による大量殺人、死体遺棄事件の扱いの軽さ。誘拐監禁された少女と7体もの遺体の遺族たちの心の傷を思うと、この事件があまりにあっさり通過点として描かれているのが、引っかかった。しかもどう考えても「全米が震撼する」ほどの人々が飛びつきそうな大事件が発覚しているわりには、所轄があまり騒ぎになっていないし…(描かれてないだけなのかも)。この小説の主体はあくまで「アリッサ誘拐」を追うジョニーであるし、事件当事者にとって事件に大きいも小さいもないと言われればそれまでなのだが、連続児童殺害事件についてのフォローがもう少しあってもいいのではないかと思った。もうひとつは、ジョニーと母親がホロウェイに追いつめられたクライマックスに現れた脱獄囚リーヴァイの行動の謎。「神の啓示」に従った上での行動が二人を救ったということなのか。自分に神への信仰心があまりないから劇的な感動も呼ばずよく理解できないのかもしれないが、あまりにもタイミング良く都合がいいので微妙な違和感があった。ともあれ、これらはあくまでひっかりであるが、作品全体をイメージダウンさせるものではない。���しろ、これだけ様々な血なまぐさい事件が起こった割には、終盤明らかにされたジョニーの父親の失踪の真相(家族を捨てたのでも家族から逃げたのでもなかった)、ジャックへの最後の赦しの一行など、読後感は意外に爽やか。ハッピーエンドと呼ぶにはあまりにも失われたものが多いが、それでも希望の持てる結末であるところがよかった。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
おもしろかった~‼
情景が色と共に終始思い浮かんだ グレーの中に色あせた色が、人種の色が、ラストチャイルドの強い黒の瞳の色。
双子のアリッサが誘拐されて一年。僕は(双子のうちの)ラストチャイルドになった。担当の刑事は妻を失い家庭崩壊するほどドリンクしてくれているが、自分で探さなければ。
警察も大人も神なんてあてにならない。僕がやらなければ。
パパもママに責めたてられた日から帰って来ない。僕が薬漬けとエロ親父から守りママを支え、アリッサを見つけなければ。
片腕を事故で短くし、外でも家でもいじめられても強く見せたい親友と共に大人よりも執念深く根潰しに探し追い掛ける
そこで、出会って行く謎と真犯人と新たな死体と事件
僕も新たな誘拐事件を思いがけず救い出すこともした ヒーローに祭り上げられた
神の声が聞こえ出した永遠のピュアな心を持つ奴隷の血を引く巨体黒人フリーマントルさんにも会う
被害者の足を追って見付けた、閉まった炭鉱山の穴で出て来たのは一台の自転車と小さな骨
誰が、どういうことなんだ…
そしてラストチャイルドとは?
長かったのに毎晩ドキドキ場所があって、ワタクシには秀作でした
ジョンハートさんの他の受賞作品も読みたいなぁ
日本と海外のミステリーも、カテゴライズしやすかった 似た分野だがホラーとかぶらないか?
ジェットコースターのような海外の展開と、感情的に不気味さで作る日本の作品
国民性でるなぁ
各国の代表的なミステリーで比べて行きたいなぁと思った
おもしろかった~!
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
「BOOK」データベースより
十三歳の少年ジョニーは、犯罪歴のある近隣の住人たちを日々監視していた。彼は、一年前に誘拐された双子の妹アリッサの行方を探しているのだ。美しい少女だった妹は何者かに連れ去られたが、警察はいまだ何の手がかりも発見できずにいた。ジョニーの父親も、娘が誘拐されてまもなく謎の失踪を遂げていた。母親は薬物に溺れるようになり、少年の家族は完全に崩壊していた。ジョニーは学校を頻繁にさぼり、昼夜を問わない危険な調査にのめり込んだ。ただひたすら、妹の無事と家族の再生を願って
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
評判の本書、おそらくミステリランキングの上位に登場してくるんだろうと思う。たしかに物語の推進力はすごいし、「川は静かに流れ」と同様、家族(とりわけ父子)小説としてもミステリとしても読ませどころは多い。
でも。私はどうにも根本的に引っかかるところがあってその分楽しめなかったです。以下、これから読むつもりの人はパスしてください。
アリッサの死の真相がそれならば、ジャーヴィスや、彼に殺された子どもたちはお話の「ダシ」「刺身のツマ」だったの?ジョニーやハントの苦しみはこれでもかと語られるけれど(ちょっと辛すぎるほど)彼らの扱いがあまりにあっさりしていて割り切れない。物語の本筋はそこにないことはわかっているが、登場人物の苦悩はまさにこの犯罪の非道さにあるわけだから、それを背景としてだけ使われることにはとても抵抗がある。ずいぶん違うタイプの小説だが、湊かなえの「告白」を読んだ時にも同じ事を思った。子どもの死をダシにしないでほしい。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
1年前に失踪した妹を必死に探す13歳の少年を主人公にし、家族の崩壊と再生を主題に据えた奥の深いミステリー。レイブン郡の歴史を絡ませたことにより物語に厚みを加えている。終盤の100ページ辺りから、他のことが手に付かなくなった。ラストの1行が泣かせる。個人的には星6つでも足りない。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
うーん、確かに一気に読ませるだけのものはあると思うけれど・・・どうしてそんなに評判がいいのかがよく分からない。いくら被害者家族とはいえ、そして幸せな一家を覚えてるからとはいえ、ハントが自分の家族を放っておいてまで入れ込むんだというのになんだかなぁと思い、しかも最後は上手くいっちゃってっぽいし。こんな状況故なのか、ジョニーは13歳の少年という感じがあんまりしないし。そんなこんなでずっともやもやしながら読んでたから、評判の良さが理解できないのかも。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
なんと文庫も同時に発売していたとは(驚) むむ、この表紙絵はチャリンコなのだろうか。そうだと知っていれば・・・
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
13歳のジョニーが、1年前に失踪した双子の妹メリッサを探す物語。
メリッサに失踪は小児犯罪なのか、それとも事故なのか、生きているのか、死んでいるのか、というミステリーがベースではあるが、ジョニーの家族、刑事、親友、囚人など、それぞれが絡み合う人間模様の方がメインという感じ。
キーワードとなるのは「過ちを赦せるか。」
それぞれが抱える過ちは、重いもの軽いもの様々だが、ラストで全ての過ちを赦そうという温かさを垣間見せてくれる。
それを後押しするのは「人生は環のようなものだ」という言葉だろうか。
事件の真相自体は哀しい結末ではあったが、温かさが込められたなかなかの良作だと思う。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
なかなか翻訳されたものだとシックリくる本に出会えませんでしたが、久々のヒット!
最後の展開も予想外でしたし、
終盤、「神」とか「スピリチュアリ」をイヤミにならない程度で織り交ぜているのも自分的にはグーでした。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
前評判が高すぎて、ちょっと期待しすぎたなーという感じ。失踪した妹のゆくえを必死で探す健気な少年に、特に男性の批評家たちはきゅんとしちゃうみたいだけど、主人公の少年含め、神様の遣いのような純粋な大男の黒人、暴力と薬から立ち直ろうとする人妻、彼女への愛を秘める刑事、横暴な富豪といったキャラクターが、どれもいささか定石にすぎるような。それが安心して読めるってことなんでしょうが、奥行きがないともいえる。はまり役をあてて映画にした方が、小説よりも楽しめるかも。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
あまり期待しないで手にとったが、大ヒット。
あまりにも救いが無いように思えて、途中は鬱にもなったが、最後まで読んでよかった。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
1年前に双子の片割れの少女が姿を消してから、家族は崩壊した。気丈だった父は家族を棄て蒸発。母は酒と薬に逃げる。妹の生存を信じて、学校も行かず草の根を分けるように捜し続ける兄。あらたな少女誘拐が起き、事態は動き出す…。
絶望のぎりぎりの線を歩く兄、狂気の淵をさまよう母、その二人を見守る刑事も大きな闇を抱えて、読むこちらも胸を塞がれる。なのにページを閉じることができない。
『グリーン・マイル』のジョン・コフィーのような、神がかった黒人の存在は現実離れをしているのに突飛ではない。
子どもを思うあまりに盲目となり常軌を逸していく親たちの物語。
すぐれたミステリは深い文学作品ともなり得るという、好例の一作。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
少年の孤独な調査と違うところで起こっているような家庭のことが最終的にああなるとは。グリーンなんとかって映画と似てるか…いや微妙^^;すごく好きな書き方だったのでこの人の本を読み漁ろう。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
図書館で借りたので、古い早川ミステリーの方で
めちゃ懐かしかった!
これには主な登場人物がストーリーの前に書かれているので
ある意味、ネタバレなのですが・・。
ミステリーファンにとって、この本の醍醐味は最後の最後、
変質者が犯罪を犯したという事実が判明した後。
もうほとんど主な登場人物は出てきたし、
変質者が犯人ではミステリーではなくなるし、
どーすんだ?? というところから。
なんとなく怪しい人は察しがつくけれど
それを上回る結果で・・
この結果を知った上で、伏線を確かめながら
もう一度読んでみたいと思わされる。
う~ん、技ありだな~
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
いくつかの家族の崩壊と再生の物語。
最終的には「人が人生を生き直す瞬間」を描いた希望に満ちた物語ではあるが、そこに至るまでの悲惨さは読んでいて辛くなるほどだった。
主人公ジョニーの抱える絶望の深さは読んでいて凹んでしまうほどで、息子を持つ父としては、「俺がいたらそんな思いさせないのに!」と息子への愛情をより深めるきっかけにもなりました。
タイトルにもなっている「ラスト・チャイルド」の意味がまた強烈で、双子の片割が失踪してしまったことで、自分自身を「残された方の子ども(the Last Child)」と呼ぶジョニーの気持ちを考えると胸がいたい。
それでも、たった一本の蜘蛛の糸を伝うように懸命に前に進もうとするジョニーの心に胸を掴まれる一冊だった。
これは傑作だ!