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あー、いい先生だなー。これを読んでもなお僕は世界史でまず大切なのは記憶だと思うけれど、それでも書かれている内容自体には深く共感するし、紹介の仕方のうまさには舌を巻く。
ここに載っている本、かたっぱしから読んでいきたいと思わされた。
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高校教師が授業で生徒に薦めていた本をまとめたもの。歴史の入門書の案内としてとても役立つ。
<関心をもった本>
砂糖の世界史(川北 稔)
肉食の思想(鯖田 豊之)
栽培植物と農耕の起源(中尾 佐助)
フランス革命(遅塚 忠躬)
ジャガイモのきた道(山本 紀夫)
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いろいろな角度から世界を見つめ直す機会になりそうな本が多数紹介されている。
私も早速たくさんリストアップした。
もう読んだ本でもまた新たな視点で読み直すことができそうなものもあり、選書が良いと思う。
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すっかり大人になってから
「勉強する」ことは
ほんとうに 面白い
十代の多感な若者たちには
わかるかなぁ…?
わからねぇだろうなぁ…!
そして 本書は
「世界史を学ぶ」に特化して
「こんな素敵な本がありますよ!」
という読書案内
読んできた本も
まだ 読んでいない本も
まぁ 魅力あふれる
「じゃあ もういっぺん!」
「じゃあ 手に取って!」
本当に 愉快にさせてもらえる一冊
ということで
勉強する って 楽しいよ!
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高校の世界史の教員による、読書案内。歴史は暗記しようと思うとつまらない、面白い歴史の本を読もうというコンセプトで、本を紹介している。岩波ジュニア新書だが、紹介されている本はほとんど大人向けなので、大人の読書案内としても良い。新書や学術書が多いが、小説も紹介されている。私はこの本に紹介されている本で読んだことがあるのは「砂糖の世界史」「李陵・山月記」の2冊だけだった。どちらも良かった。他にも面白そうな本があったので、読んでみたい。
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現役社会高校教師津野田さんが、これを読め歴史本約90冊を紹介してくれます。岩波ジュニア新書勉強になりますねえ。
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まさか著書ご我が母校で教鞭を取っていたとは、とまずは驚いた。自身が世界史に興味を持ったのも高校時代だったので少なからぬ縁を感じた。すべての歴史は現代を生きる我々がよく生きるためにあるというのは本当にそうだと思う。
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「著者は高校の歴史の先生。生徒にいろいろな歴史の本を紹介したプリントがもとになってこの本がうまれたそう。紹介されている本は90冊を超え、現代の歴史家による歴史叙述もあれば小説・エッセイ・コミックもある!」
あとがきより:
「この本は、僕が勤務する都立西高当学校での授業プリントが母体となっています。ーぼくたちの生活している現在の社会の基本原理やものの考え方などは、19世紀に国民国家が建設されてゆく中で形成されていったものだとの考えから、2年生の必修授業では、全員が19世紀の歴史をかなり詳しく学びます。この本の変則的な構成は、授業の順序にならったものです。ー受験に限らない「教養」に対する志向性を持つ生徒が多いと気が付き、儒魚うの単元がおわるたびにその内容に即した「やや難しめ」の本を紹介して好奇心を刺激する、という試みから、「世界史読書案内」というプリントが作られた。」
メモ:
「世界史を学ぶこと、それは知識を増やすことではなく、自分自身に跳ね返ってくるものだと、ぼくは考えています。そして「面白いな」と思う瞬間とは、自分が当たり前だと思っていたことが、実は違う側面を持っていることに気付かされて、自分自身が新たな視点を持ち、さらに社会や世界に対する新たな解釈を獲得する、知的な発見の瞬間だと思うのです。」p170
「17世紀から19世紀半ばまでのヨーロッパ史を理解するカギは、フランス史をきちんと押さえることである。ちなみに19世紀半ばから20世紀半ばまではドイツ史を、20世紀半ばから現代まではアメリカ史を押さえることが基本軸。」p183
「ぼくたちは歴史の連続性・継続性の中でしか存在できず、過去から自由になることはできません。だとするならば、過去から逃れて生きる、もしくは過去を知らずに生きるよりは、自ら過去を振り返り、世界の過去を知ることで、自分自身を知り、未来に向かってゆく知恵やエネルギーを引き出すことが出来るのではないでしょうか。」p200
紹介本:
はじめに
●『歴史学ってなんだ?』小田中直樹(フランス社会経済史専門家) 2004
●『哲学ってなんだ 自分と社会を知る』竹田青嗣(たけだせいじ)2002
・ある特定の歴史的な出来事に対して、「なぜ?」という問いかけを持つ事はとても大切。「なぜ?」=問題意識をもつということ。「〇〇年に△△があった」を覚えるのは知識。「なぜ〇〇年に△△があったのか?」「それによって世界はどう変化したのか」は、知恵の獲得。自分の頭で考えて「世界のつながり」を理解していくこであり、歴史はもっと面白くなる。
・様々な現象にわくわくして(知的好奇心)、同時に「どうして?なぜ?」ととことん疑う(問題意識)ことが歴史を楽しむコツである。
第一章 国民国家が生まれ、広がる
●『ことばと国家』田中克彦(たなかかつひこ)1981
●『フランス革命 歴史における劇薬』遅塚忠躬(ちづかただみ)1997
●『国民国家とナショナリズム』谷川稔(たにがわみのる)(フランス近代史の研究家)1999
●『物語 アイルランドの歴史 欧州連合に賭ける”妖精の国”』波多野裕造(はたのゆうぞう)1994
●『物語 イタリアの歴史 解体から統一まで』藤沢道郎(ふじさわみちお)1991
●『物語アメリカの歴史 超大国の行方』猿谷要(さるやかなめ)1991
●『イスラーム世界の危機と改革』加藤博 1997
●『ハワイの歴史と文化 悲劇と誇りのモザイクの中で』矢口祐人 2002
●『実録アヘン戦争』陳舜臣(ちんしゅんしん)1985
●『大地』パール・バック 新居格訳 1953
●『大君の通貨 幕末「円ドル」戦争」佐藤雅美 2003
●『大人のための近現代史 19世紀編」三谷博、並木頼寿、月脚達彦編 2009
●『蹇蹇録(けんけんろく)日清戦争外交秘録』陸奥宗光(むつむねみつ)1983
●『日露戦争の正規 連鎖視点から見る日本と世界』山室信一 2005
第二章 20世紀という時代
●『そうだったのか!現代史』池上彰 2000
●『西部戦異状なし』レマルク 1955
●『ロシアの革命』松田道雄 1990
●『アラビアのロレンスを求めて アラブ・イスラエル紛争前夜を行く』牟田口義郎 1999
●『阿Q正伝・狂人日記』魯迅(ろじん。ルー・シュン)1955
●『中華民国 賢人支配の善政主義』横山宏章 1997
●『石橋湛山(いしばしたんざん)評論集』松尾尊兊編 1984
●『23分間の奇跡』ジェームズ・クラベル 1988
●『夜と霧 ドイツ強制収容所の体験記録』V・Eフランクル 1985
●『インドで考えたこと』堀田善衛(ほったよしえ)1957
●『アラブとイスラエル パレスチナ問題の構図』高橋和夫 1992
●『イラクとアメリカ』酒井啓子 2002
●『中国革命の夢が潰えたとき 毛沢東に裏切られた人々』諸星清佳 2000
●『大地の子』山崎豊子 1991
●『GO』金城一紀 2000
●『戦争中毒 アメリカが軍国主義を抜け出せない本当の理由』ジョエル・アンドレアス 2002
●『アメリカ大統領物語』猿谷要編 2002
●『アメリカ黒人の歴史(新版)』本田創造 1991
●『私は黒人奴隷だった』本田創造 1987
●『ヨーロッパの歴史 欧州共通教科書』フレデリック・ドルーシュ 総合編集 1994
●『歴史としての社会主義』和田春樹1992
●『イワン・デニーソヴィチの一日』ソルジェニーツィン 1971
●『石の花』坂口尚 1996
●『不都合な真実』アル・ゴア 2007
●『生物と無生物のあいだ』福岡伸一2007
●『巨匠に教わる絵画の見かた』視覚デザイン研究所編集室編 1996
第三章 世界各国の「個性」がつくられた!
●『バルミ 地中海沿岸の都市』ハビエル・エルナンデス 1991
●『ネアンデルタール人と現代人 ヒトの500万年史』河合信和 1999
●『栽培植物と農耕の起源』中尾佐助 1966
●『シュメル 人類最古の文明』小林登志子 2005
●『古代への情熱 シュリーマン自伝』シュリーマン 1954
●『アレクサンドロス大王 「世界征服者」の虚像と実像』森谷公俊 2000
●『オイディプス王』ソポクレス 1967
●『古代ローマ帝国 その支配の実像』吉村忠典 1997
●『ローマ帝国とキリスト教』弓削達 1989
●『アグリッピーナ物語』弓削達 1985
●『河童が覗いたインド』妹尾河童 1985
●『物語 ヴェトナムの歴史 一億人国家のダイナミズム』小倉貞男 1997
●『孫子』孫武 1963
●『小説 十八史略』陳舜臣 1992
●『「史記」二二〇〇年の虚実 年代矛盾の謎と隠された正統観』平㔟隆郎 2000
●『李陵・山月記(りりょう・さんげつき)』中島敦 1969
●『大唐帝国』(世界の歴史7)宮崎市定 1968
●『敦煌(とんこう)』井上靖 1965
●『クビライの挑戦 モンゴル海上帝国への道』杉山正明 1995
●『ビジュアル版 イスラーム歴史物語』後藤明 2001
●『コーラン』井筒俊彦 訳 1957
●『都市の文明イスラーム』佐藤次高、鈴木董編
●『パクス・イスラミカの世紀』鈴木董編
●『イスラーム復興はなるか』坂本勉、鈴木董編
●『中世の光と影』堀米庸三 1978
●『肉食の思想 ヨーロッパ精神の再発見』鯖田富之 1966
●『中世シチリア王国』高山博 1999
●『ハーメルンの笛吹き男 伝説とその世界』阿部謹也 1988
●『薔薇の名前』ウンベルト・エーコ 1990
●『修道院 祈り・禁欲・労働の源流』今野國雄 1981
●『十字軍の思想』山内進 2003
●『英仏百年戦争』佐藤賢一 2003
●『カテドラル 最も美しい大聖堂のできあがるまで』デビッド・マコーレイ 1979
第四章 世界がひとつにつながった!
●『東アジアの「近世」』岸本美緒 1998
●『インディアスの破壊についての簡潔な報告』ラス・カサス 1976
●『ジャガイモのきた道 文明・飢饉・戦争』山本紀夫 2008
●『ジャガイモの世界史 歴史を動かした「貧者のパン」』伊藤章治 2008
●『オスマン帝国 イスラム世界の「柔らかい専制」』鈴木董 1992
●『科挙 中国の試験地獄』宮崎市定 1963
●『永楽帝』寺田隆信 1997
●『雨森芳州(あめのもりほうしゅう)』上垣外憲一(かみがいとけんいち)1989
●『日本社会の歴史』網野善彦 1997
●『鉄砲をすてた日本人 日本史に学軍縮』ノエル・ペリン 1984
●『君主論』マキアヴェッリ 1998
●『聖なる王権ブルボン家』長谷川輝夫 2002
●『砂糖の世界史』北川稔 1996
●『社会科学の方法 ヴェーバーとマルクス』大塚久雄 1966
●『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』マックス・ヴェーバー 1989
●『ドイツ史10講』坂井榮
●『クリオの顔 歴史随想集』E・H・ノーマン 1986
●『荒れ野の40年 ヴァイツゼッカー大統領演説全文 1985年5月8日』永井清彦 訳 1986
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902
歴史的に見て、隣り合う国どうしは文化的・民族的に近い位置に あるにもかかわらず、仲が悪いことが多いのです。というよりもむ しろ、近い位置にあるからこそ仲が悪いと言うべきでしょうか。 くたちが「イギリス」と呼んでいる国と、アイルランドとの関係も その典型事例です。両国の間では、まず民族が違います。アングロ ・サクソン系のイギリスに対し、アイルランドはケルト系。次に宗 教が違います。イギリスはイギリス国教会を信奉するのに対し、ア イルランドでは伝統的にカトリックが強いのです。そしてなにより も両国の間には、征服者と被征服者という不幸な歴史が存在してい ます。
イスラームは宗教であると同時に世界観でもあります。さまざま な言葉や文化、歴史的な背景を異にする民族を、イスラームは、 つに、かつゆるやかに統合してきました。
ハワイの産業を支えているのは、日本からやってくる大量の観光客 の存在⋯⋯。本書は、移民、戦争、観光をキーワードにして、ハワ イの歴史を解説しています。そしてそのすべての場面で、日本の影 がちらついているのです。 さらに言うならば、ハワイに移民したのは日本人だけでなく、ポ ルトガル人やドイツ人、プエルトリコ人、中国人なども多くいまし た。中でも朝鮮人や琉球人の置かれた位置について述べてあるとこ ろは必読です。ハワイの歴史は、異文化交流についての一つのモデルです。
なお、ハワイ観光の最大の日玉であるオアフ島のワイキキビーチ の白い砂は、観光のために大量に持ち込まれて海岸に敷き詰められ た「人工の砂浜」なのだそうです。さあそろそろ、本書を読んで、 本当のハワイを見つめなおしてみよう!
歴史というものは、人間の営みの集成ですから、本来さまざまな見方や解釈ができる ものです。本書はそのあたりの自由度が高いし、多面的になっています。つまり、本の 中で執筆者どうしが対話をしているのです。だから読んでいて、「ああなるほど」とか、「こういう観点もあるのか」とたくさんの発見があるのです。
歴史を見るということは、裏側から(逆から)日本の近代史を見ることになるのです。人 は自分自身の顔を自分の力で見ることはできません。鏡や水などに映してはじめて、間 接的に見ることができるのです。ぼくたちが世界史を学ぶ意味もおそらくここにありま す。自分の姿1日本の姿を見るためには、他者の歴史(鏡や水)に照らすのが有効でしょ う。そしてそれは日本と関係の深い国であればなおさらのことで、朝鮮や中国などは格 好の素材をもたらしてくれるはずです。
日本に住むぼくたちが、自分自身と切り離して他国のことを調べても、何の役にも立 たないだけでなく、時として大きな落とし穴にはまる危険性があります。世界のさまざ まな国を知るのも、もちろんいいのですが、でもまずは自分の足元を見つめることから 始めてみたいと思うのです。
『石の花』
坂口尚 講談社漫画文庫(一九九六年) これは世界史を学ぶ人すべてに読んでもらいたいマンガの一つです。 舞台は一九四一年から四五年のユーゴスラヴィア。複合多民族国家の典型ともいえる この国は、��一次世界大戦後の民族自決原則の適用を受け、南のスラヴ族(=ューゴ・ スラヴィア)の寄せ集めとして誕生しました。スロヴェニア人、クロアチア人、セルビ ア人、マケドニア人など、どの民族を取り上げても単独では多数となり得ない国。 つの国境線、六つの共和国、五つの民族、四つの言語、三つの宗教、二つの文字、一つ の国家」と揶撤される、世界に類を見ない複雑な構成を持つ国。社会主義国でありなが ら自主管理をおこなってソ連に対する独自路線を貫き、非同盟諸国のリーダーでもあっ た国。ここからは「国家とは何か」「民族とは何か」「社会主義とは何か」「宗教と国 家との関わりについて」など、さまざまな問題のケーススタディを導くことができるで しょう。そしてまた、ボスニア内戦のような悲劇の再現をふせぐためにも、その歴史か ら学ぶことはこれからも大いに必要になることでしょう。
一級の学問研究というのは、その根底のところで、他のさ まざまな学問分野と共鳴し合う力を持っています。本書は二〇世紀の分子生物学の歴史 と展開を記したものですが、「生命とは何か」という根源的な問いは、「人間とは何 か」を問いかける哲学や歴史学や文化人類学とも、自然環境を考える学問とも通じる普 遍的なものです。本書を読むのに専門的な知識はいりません。高校で習う生物の知識が あれば十分でしょう。将来さまざまな分野で活躍するみなさんに、ぜひとも読んでもら いたい一冊です。