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高校教師である著者による、世界史に関するブックガイド。
ラス・カサスから山室信一さんまで、
幅広いジャンルの本が魅力的に紹介されます。
世界史の手引きとしてはもちろん、
本のまとめ方を学ぶのにもうってつけの一冊です。
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レビューは読書のもう一つの楽しみだと思う。共感を求めるようでもあり、逆に自分とは異なる意見を怖々のぞき見るようなところもある。
目次に目を通して、『大唐帝国』と『ロシアの革命』が取り上げられていることに気づいたところで、これはもう買うことに決めた。
しかし、読んでみると中国近代史という著者の専門が出ている。けっして悪い本ではない。シリーズ上、教育的な役割を果たさなければならないのも分かる。
しかし『東アジアの「近世」』には6ページも割いているのに、ヨーロッパやイスラム世界が2ページ標準というのは、いかがなものか。本書では高校生にも入りやすいイントロを置くという叙述スタイルが一貫しているため、2ページでは本題に入る前に終わってしまう。いくらビギナー向けといっても、内容が薄すぎる。
技術的な問題でもあり、編集者の怠慢という印象は否めない。本のセレクトは「悪くない」と思わされるだけに、期待の反比例でしょんぼりした気分になった。
ついでに。最後のノーマン引用には共感するけど、どうせならクリオ(歴史の女神)に関する彼の詩的な表現も入れてほしかった。ぼくはあの一文がたまらなく好きなのだが。
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“世界史の本”というと、敬遠する人が多いだろう。
高校教師である著者が、生徒たちに紹介した本を集めたこの本。
いわゆる名著といわれるものも含めつつ、在日コリアンを描いた『GO』(金城一紀)や、残留孤児を扱った『大地の子』(山崎豊子)、中世ヨーロッパを舞台にした『薔薇の名前』(ウンベルト・エーコ)などの小説まで含む変わった一風変わったラインナップ。
ブックガイドというと、ただ単に本の紹介を連ねた書評集のようなものも多い。
しかしこの本は、ブックガイドという形をとって、世界史とは何か、歴史を学ぶ意味は何なのかを一貫して伝えている。
ただの本のカタログではない、一冊の本としてまとまった充実作だと思う。
身近なものには、すべてそこに至る過去があると言うこと。
それが歴史の面白さであり、醍醐味だということ。
それを伝えたいという著者の思いがつまっている。
底なし沼のような歴史の深みに、ズブズブはまり込む第一歩として。
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こういう本を読むと読みたい本がどーんと増える。嬉しい困った状態。
暗記するだけの世界史じゃなくて、これから生きていくための世界史を教えてくれる先生がいてくれることが、どんなに幸せなことか。
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●世界史の概略を理解するための本を探していたがみつからなかった。ただ、著者が書いているように世界史はフォーカスして読んだほうが面白そうだと思った。
[興味を持った本]
・生物と無生物の間
・23分間の奇跡
・大人のための近現代史
・ローマ帝国とキリスト教
・カテドラル 最も美しい大聖堂のできあがるまで
・東アジアの近世
・日本の歴史をよみなおす
・日本社会の歴史
読了日:2011/07/27
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著者は高校の世界史教諭。「歴史」は「現代史」。単なる「知識」の丸暗記ではなく、空間と時間の「つながり」を理解すると、自分自身がよりよく生きるための「知恵」が見つかる。世界史を深く広く楽しく学べそうな、様々なジャンル、レベルの本が数十冊紹介されています。本書は高校での授業で使用したプリントが母体になっているそうです。私の世界史の知識が追いつかず、現役のときに出会えたら良かったなぁと思う本もありました。先生の熱意と歴史が好きな思いが伝わってきて、興味のない分野も読んでみようかなという気になりました。新書が多いですが、小説やマンガ、ジャンルの違う生物学の本などもあります。
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高校教師による世界史を学ぶ高校生のための読書案内である。歴史の本に限定せず、小説なども取り上げられており、大人にも十分参考になる。
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世界史が苦手って声を、知り合いの高校生なんかからよく聞きます。
どうしても暗記になりがちで、何か良く解らないまま、年代と人の名前、事件の名前を覚えていくだけ歴史、それも、同じ国のことではない、遠くの世界のとである世界史は、つまらないし、わからないものになりがちなのかもしれません。
私は、そんな時は本を読んだり、映画を見たりして、その内容とつなげてみたらどうかなって、勧めます。
三国志を読んで、中国の歴史に興味を持つ、とかね。
ただの年代と、国名を覚えるだけだった三国時代も、三国志を通せば、すごく輝いた時代に見える。
という訳で。
この本は、そんな世界史について書いた本の案内、紹介のための本です。
歴史書は当然として、小説や漫画など、様々なジャンルから、世界史に関わりのある本が紹介されています。
難しい本も多いので、入門としてとっつきやすいものではないかもしれないけど…。
読書から世界史を眺めてみるというのも、面白いかもしれませんよ。
ちなみに、紹介されている本に、私が読んだことある本はありませんでした…。
まだまだ、私の知識、少ないなぁ。
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≪目次≫
はじめに
第1章 国民国家がうまれ,広がる
第2章 二〇世紀という時代
第3章 世界各地の「個性」がつくられた!
第4章 世界がひとつにつながった!
終章 歴史の中で生きてゆく
あとがき
≪内容≫
世界史が好きでしょうがない感が良く出ています。また薦める本も難しくもなく、簡単でもなく、図版の多い本など多彩なラインナップ。高校生と言わず、手に取ってほしいですね。
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タイトルから(世界史上で重要な本が紹介されているのかな)と思いましたが、少し違い、世界史が反映された本十数冊の紹介でした。
著者は世界史教諭。授業の一環として学生に紹介したリストが元となっているそうです。
世界史というと、どうしても戦争が中心となるため、暗く重い内容のものが多いように思えます。
十代で世界史の授業を受けていた頃、こうした本格的な本は読めただろうか?と思いますが、本当に興味を持っている人ならば、どんどん詳しく知りたくなるものでしょう。
単なる暗記の授業としてではなく、実際に起こった出来事として歴史を捉えてほしい!という先生の熱意が伝わってきます。
さまざまな本の紹介の中で、フランスでは、ナポレオンが「方言」に基づく名前をつけることを禁じたとありました。
「各種の暦の中に記されている名と、昔の歴史の中の有名な人物の名だけに限られる」と規定されているそうです。
たしかにフランス人の名前で、奇をてらったものは思い浮かびません。
そうした法律が施行された結果、フランスでは名前の種類は500くらいしか無いのだとか。
"日本では弥生、如月、秀吉、信長などばかりになってしまう"という著者の説明がわかりやすいものでした。
名前においてなかなか保守的な国、フランス。
今の日本のキラキラネームなどを知ったら、フランス人は驚くことでしょう。
キリスト教世界とイスラム世界の力関係が、よくわかっていませんでしたが、十字軍などが行われていた頃は、まだイスラム世界の方が強かったと知りました。
ナポレオンの力をしても、まだかなわないほど強力だったそうです。
それが逆転したのは、第一次世界大戦で、オスマン帝国の滅亡と、イランのカージャール朝の崩壊からだそうです。
キリスト教世界とイスラム世界の橋渡しとして「アラビアのロレンス」が思い出されます。
映画化もされ、有名になった人物ですが、あの人物像はロレンス自身ではなく、アメリカの従軍記者ローウェル・トマスの講演や文章によって作られたものだとのこと。
誇張とデマに満ちており、実はパレスチナ問題の発端に大きく関わっているのがロレンス自身だったのだそうです。
だいたいにおいて、英雄像は作られたものではありますが、ここまで正反対の人物だったという点が驚きです。
世界史といえど、日本史も含まれており、『鉄砲を捨てた日本人 日本史に学ぶ軍縮』なども紹介されています。
リストに小説が入っているところにも、幅の広さを感じます。
読者に問題意識を促す、著者の真面目な教育姿勢が見える本。
ジュニア新書ですし、もっと学生に語りかけるようなくだけた内容にしてもよさそうに思いますが、出版にすることでもっと幅広い年代を対象にしたのかもしれません。
古今東西のお勧め本が採り上げられている中で、内容を忘れてしまった『23分間の奇跡』と、珍しくも"おもしろい"と紹介された『バルミ 地中海沿岸の都市』、そしてなかなか手が出せずにいる『小説 十八史略』をを読んでみたいと思いました。
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歴史の面白さとは一つには「人間が描かれているから」であり、もう一つには「物事の理が描かれているから」。そして、学んでいて「常識がひっくり返される瞬間」にこそ喜びを感じる。
また、歴史を学ぶ理由は「すべての歴史は現代史である」から。
そのように考える、高校の世界史教師たる著者の世界史ブックリスト。
とにかく世界史を学ぶ楽しさを、生徒に伝えたくてしようがない。
どうにかして世界史の楽しさを知って好きになってほしい。
そういう熱意が、文面から(といって落ち着いた文章ですが)ひしひしと伝わってくる。
だからこそ興味もそそる。
当然一人の人が作るブックリストなのである種の偏りはあるのかもしれないけど、とにかく虚栄心などない、純粋に良心に満ちた良いブックリストだと思う。
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最近、読書案内系の本を読むのが多いのですが、本書は世界史の本の紹介に特化した読書案内本。
ほとんど読んだことが無い本が紹介されているので、時間があれば一冊一冊読んで行きたいと思わされます。
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授業で扱ったプリントを基にした高校生用の読書案内です。日本人の著作が多いです。外国人のものももっと取り扱ってもいいのではないかと思いました。扱っている本の価格帯は高校生でも買えるようなものですが、古いものは入手困難かも。中以上の高校生にはよいかも知れませんが、大人には物足りないです。
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読みたくなった:
『歴史学ってなんだ?』(PHP新書、二〇〇四年)。
『哲学ってなんだ自分と社会を知る』
『大人のための近現代史19世紀編』
『そうだったのか!現代史』
『シュメル人類最古の文明』
『フランス革命歴史における劇薬』
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「世界史読書案内」岩波ジュニア新書、2010年、津野田興一さん。
「世界史についての面白い本を読むのは素敵だよね」と思っている人にとっては、麗しい一冊、コロンブスの卵のような本。
「世界史についての本を、(たとえ多少面白くなくても)読むのが大変に好きな人。好きで、それを仕事にしてしまった人。だから、大変に長い歳月に渡って、たくさんのそういう本を読んだ人」
そういう人が、「そうっすね、これとか、面白かったっすよ」と興奮しながら紹介する。
と、いうダケの本なのです。これが盲点、素晴らしい。
「こういうジャンルの、こういう感じの本…。いやそりゃ一杯あるけれど、どのあたりが自分のレベルにあっていて、かつ、オモシロイんだろうか?」
という疑問って、どれだけネット情報が多くなっても、なかなかある程度以上はワカラナイ。(本以外の、いろんな情報の需要についても、意外と同じだったりしませんでしょうか)
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この本がまた味わい深いのは、津野田さんという作者の方が、大学の歴史学者ではないところなんです。高校の歴史の先生なんですって。
専門的な歴史学者だと、まず自ずと専門領域がある。そして大抵は領域外のことにはあまり発言を慎む。ま、なわばりですから。さらには、「オモシロイ」「初心者にも読みやすい」「とにかくわくわくする」みたいな本は、あまり情熱的に評価したりはしないのが常です。
そこへ行くと高校教師さんっていう立ち位置は、なかなか強くてユニークな気がします。だって、どの時代のどの地域のことだって教えなきゃならないし、読み手の側のレベルが低くても取り込んでくれる本ぢゃないと、生徒には意味がありませんものね。
つまりは、「子供がアレルギーで」とか「腰痛が治らない」というときに、「俺はこのあたりの医者は、何十年もかけて全部行ってるし、今でも仕事としてほぼ全部の医者に回っている。その症状なら、あそこの医者がぜったいオススメだよ。だってね、あそこの先生はこういう履歴でね、人柄も、●●なんだよ。あとあそこはとにかく看護師さんが☓☓。あそこは、待ち時間が☓☓なのは覚悟していかなきゃだめ。子供の扱いはとにかくあの病院が親切で、でもアレルギー系なら、別のあそこのほうがとにかく専門で診断が詳しい…」とか、親切丁寧に、実名出して教えてくれる人がいたら、便利だし、助かるぢゃないですか。
そういう感じです。
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というわけで、こういう本を作った岩波ジュニア新書の編集部さんに拍手喝采、さくさくワクワク読み終えました。
最後に備忘録として、「これは、いずれ読まねば!」と強く思った本をメモっておきます。
「歴史学ってなんだ?」小田中直樹
「ことばと国家」田中克彦
「物語イタリアの歴史」藤沢道郎
「物語アメリカの歴史」猿谷要
「大君の通貨 幕末円ドル戦争」佐藤雅美
「ヨーロッパの歴史」フレデリック・ドルーシュ