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静謐で、どこかひやりと冷たい9つの話は、一見現実のようで、
浮世離れしており、判然としない曖昧な色合い。
仄暗い空が白んでいく夜とも朝ともつかない夜明けのような作品。
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ぴったりとくっついてしまった人たち。現実に、生きている人はどこかしら自分と生活がずれている。しかし、この世界の人々はぴったりと自分と生活がくっついている。生活がその人そのもの。その人が生活そのもの。
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小川洋子さんならではの全体的にじとっとした雰囲気がある短編集。「お探しの物件」が真ん中に入っているのが面白い。
イービー切ない…
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作者の中では夜明けってこんなイメージなのかなぁ。
ほわんとした気持ちで読もうとしたら、手ひどいしっぺ返しを受けました・・・。
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久々の小川洋子。
彼女らしさ満載の9つの短編。
やっぱりこの人の作る世界観ってすごい!!と改めて思う。
逆立ちの練習をする曲芸師の話、
教授宅で留守を預かる賄い婦の話、
エレベーターで生まれ育ちエレベーターで働き暮らすE.Bの話、
涙を売る放浪娘の話・・・ 等等
どれもめちゃくちゃシュールなんだけど、でもなぜか普通に入ってくるというか受け入れられるし、気づくとその世界にはまっている。
ほとんどの話にはオチというオチはなく、するするする・・・とゆっくり消えていく。それでもすごい余韻が残る。
(いくつか世にも奇妙な物語的なうすら怖いオチがあるものもあったけど。若干それは安い展開だったような気がする。とはいえ、それでも小川洋子の筆力で十分楽しめるものになっていた。)
1つ目の話は野球少年の話で、ラストを飾る話も甲子園球児の話だった。
野球というスポーツがモチーフになっているだけで、それだけで爽やかになるはずなのに、そうならないのが小川洋子のすごさだと思う。
河川敷で野球をする少年が主人公なのに、なぜか妖艶な雰囲気になる。
甲子園球児に恋する少女が主人公なのに、全然甘酸っぱさがない。
この怪しい世界観はやっぱりクセになる!!
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小川さんがこんなにもフェティッシュな人だとは知らなんだ。博士の愛した数式読んで得た印象と違う…!
足指っつーか足裏っつーか唇っつーか いっそ内臓とか「淵」のフェチなんだろうな。これは感覚の話なので全く伝えられる気がしてません^^^^
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小川洋子の短編集を読むのは楽しい。
今回はいつもよりさらにきわどい線を攻めていて、かなりドキドキしました。
「きわどい線」というのは、読者を不快にさせてしまう、というライン。
でも、ただの怖い話、グロい話、あるいはブラックジョークにしないところがこの人の手腕。
私はいつもそのあたりに感服してしまうのです。
切なかったり、なまめかしかったり、不条理だったり、怖かったり。
それらの比重を話によって変えつつ紡ぎだされた9つの短編です。
その中でも、今回いちばん印象に残ったのは、「涙売り」。
「私は十八の歳まで、涙を売って暮らしを立てていました。」という始まり方は、どこか童話のような美しさを感じさせます。
その美しさを保ちつつ、徐々に緊張感を高めていき、最後のアクロバティックな着地に持っていく流れの見事さ。
怖い、けど、すごい。
「博士の愛した数式」などの長編もいいと思うけど、やっぱりこの人は短編の人ではないかと思うのです。
短編のときの「攻め」の姿勢が結構好きなのかも。
人によっては不快になるかもしれないので、
一編だけ試し読みしてから借りるなり購入するなりすることを勧めます。
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小川洋子の短編集。小川節炸裂で読んでて楽しかった。美しいけれど薄ら暗い、叙情的な話が多い。まさに夜明け前の一番くらい時間にふさわしい小説である。
『曲芸と野球』と『ラ・ヴェール嬢』が中でも好き。
前者は共同体からはじかれた曲芸師と三塁側にバットを振れない野球少年の話で、少年と曲芸師のささやかな交流がうまく表されている。
後者はマッサージ師にラ・ヴェール嬢がかつて作家Mと行った密やかな遊技を語る話。マッサージ師は彼女よりも遙かに饒舌な足の裏から彼女の話を聞くのである。
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ミーナも博士も大好きだけど、こういう小川洋子の方が好きです。
官能的で薄暗くて、湿っている。
そんなイメージ。
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わたしが直視できずに世界の陰に隠してくあらゆるものを、さらっとした手つきで抉り出しては白日のもとにプレゼンテーションすることに定評のある小川女史。いつもなら「涙売り」か「ラ・ヴェール嬢」あたりを気に入るところだけど、今の心境では「お探しの物件」と「パラソルチョコレート」がベストだった。かわいい
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小川洋子ワールドの短編9編。どの作品も小川洋子ならではのユーモアに満ち溢れながら、突出した嗜好のためにある種疎外された人々を、ある時は哀しみをもって、またある時はホラーテイストにて、そして、短編ならではのスピード感と意外性をもって、珠玉に紡がれた小説群になっています。
どの短編も短編ならではの趣向が滲み出ていますが、しかし例えば、曲芸師と野球少年の心の交流を描いた『曲芸と野球』であったり、また、老舗中華料理屋のエレベータを生涯の住処とした『イービーのかなわぬ望み』や、楽器に有効な不思議な涙を持つ女性が人体楽器に寄り添う『涙売り』は、小川洋子の他の長編でもみられるそこはかとない哀しみを描いた作品であり、ちょっと短編で終わらせるには惜しい構想を持った作品だったと思います。
それから、どの作品も次にどんな展開があるのだろうかとわくわくするような緻密な構成になっていますが、特に『教授宅の留守番』や『銀山の狩猟小屋』は小川洋子のユーモアにカモフラージュされながらも、次第に盛り上がっていくサスペンスな展開が面白かったです。
『ラ・ヴェール嬢』は最もエロティックな内容であり、『再試合』はフェチシズムに溢れながらも底冷えのする内容ですが、どちらも状況の2重構造をクッションとすることにより巧みに終局に向けてまとめあげた作品で技巧的な構成がなかなか面白かったと思います。
反対に、不動産を題材に様々におかしな人々を描く『お探しの物件』や、チェス好きのシッターの奇妙な過ごし方とその家に住む「何か」と少女との会話を描いた『パラソルチョコレート』は多面的な作品であり、これらはそれぞれの局面が折り重なるように繰り出される面白さがありました。
全体としてどの作品も読者を飽きさせない様々な趣向を凝らしつつ、小川洋子ならではの可笑しみの奥底に潜む悲哀や恐ろしさが余韻となっていつまでも残る物語群であり、秀作揃いの短編集だったと思います。表題のごとく、暗さと明るさの織りなす境目に蠢く多様な人間たちの妙が面白い一冊でした。
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風変わりな人々を描いた短編集。
そこにはちょっと背中が寒くなるそうな気味悪さもあったりして不思議な感じになりました。
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導入は普通の小説なのに、読み進めると独特の世界観が広がってくる。
短編なのであっさりと読み終わってしまうが、どうも自分には世界観が合わないような…。
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小川洋子さんワールド全開です!
特に、よく小川洋子さんの物語に出てくる奇妙な職業は、よくこんなにいろんな職業を思いつくな~。と感心してしまいます。妄想癖のある私にはとても楽しい時間です。
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9編から成る短編集。
「博士の愛した数式」と同じ著者ということで読んでみたが、正直、???と感じてしまう内容だった...。