紙の本
性格の不一致、ってこういうことを言うんだなって思いました。分からんです、理解出来んです、降参です・・・
2011/05/27 20:52
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投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
どうも苦手なんです、チャイナ・ミエヴィル。っていうか前衛的なSF。ま、ミエヴィルを前衛に分類するか? っていうご意見があるのは十分理解しています。例えば“バス=ラグ”シリーズ第一作『ペルディード・ストリート・ステーション』は、ごった煮的な混沌した世界を描いていましたが、ストーリーとしては前衛でもなんでもなかった。ただし、イメージの喚起力は生半可ではありませんでしたけど。
『アンランダン ザナと傘飛び男の大冒険』なんて、まさか作家がミエヴィルなんて思いもせず、ハリーポッターにちょっとアリスが入ってるファンタジーかなあ、なんて気分で読んで、凄さは感じなかったけれど、あとで『ペルディード・ストリート・ステーション』の作家だと知って愕然としたり、でも前衛なんて思いもしなかったわけです。
ところがです。この本、全く歯が立たなかった。タイトルはよかったです、『ジェイクをさがして』なんて映画の『ミスター・グッドバーを探して』(Looking for Mr. Goodbar)を思い出させるじゃありませんか(私、見てませんけどタイトルだけは知ってる)。雰囲気的には、古典的なSF風です。それにカバー画が凄い。しかもカバー折り返しのところに出ている絵?四枚が、注も何にもないけれど、超絶上手い。Jacket Art 鈴木康士、っていうことは日本人なんだ。Jacket Designは御馴染み岩郷重力+WONDER WORKZ。
で、カバー後ろの内容案内だって
*
ロンドンは、どこからともなく出
現した謎の存在“イマーゴ”に幾
度となく蹂躙され、無秩序状態に
陥っていた。わずかに残った数千
人の市民は、レジスタンスを組織
し抵抗運動を続けていたが、容赦
ない攻撃を繰り返すイマーゴの前
になすすべもなかった……。グロ
テスクなイメージに彩られたロー
カス賞受賞の傑作「鏡」、世界の
終焉を迎えつつあるロンドンを彷
徨う男を描いた表題作ほか、英国
SF界の旗手による全14篇を収録
*
とまあ、印象は悪くは無い。でも実際に読んでダメでした。14篇のうち、「ボール・ルーム」は単純なホラーとして楽しめました。それと「鏡」、これはお話が長いので、読んでいるとなんとなく内容がわかりそうな気分になります。ところがいつもなら何とか理解できるだろうコミックス「前線へ向かう道」も含めて理解できません。お話の要約も出来なくて降参。結論、私は起承転結がはっきりしない小説は苦手だ!
ということで、内容紹介抜きで、目次を原題と初出だけつけて写しておきます。
・ジェイクをさがして LOOKING FOR JAKE(Neonlit:The Time Out Book of New Writing,Volume1,ed.by Nicholas Royle,Quartet,1998)
・基礎 FOUNDATION(Neonlit:The Independent on Sunday"Talk of the Town"magazine,27 April 2003,ed.by Ian
Irvine)
・ボール・ルーム THE BALL ROOM(本書への書き下ろし)
・ロンドンにおける“ある出来事”の報告 REPORTS OF CERTAIN EVENTS IN LONDON(McSweeney's Enchanted Chamber of Astonishing Stories ,Ved.by Michael Chabon,Vintage,2004)
・使い魔 FAMILIAR(Conjunctions,39:The New Wave FDarbulists,eds.by Peter Straub and Brand Morrow,2002)
・ある医学百科事典の一項目 ENTRY TAKEN FROM A MEDICAL ENCYCLOPAEDIA(The Thackery T.Lambshead Pocket Guide to Eccsntric & Discredited Diseases,eds.by Jeff Vandermeer and Mark Roberts,Night Shade Books,2003)
・細部に宿るもの DETAILS(The Children of Cthulhu,eds.by John Pelan and Benjamin Adams,Del Rey Books,2002)
・仲介者 GO BETWEEN(本書への書き下ろし)
・もう一つの空 DIFFERENT SKIES(Britpulp!,ed.by Tony White,Sceptre,1999)
・飢餓の終わり AN END TO HUNGER(The New English Library Book of Internet Short Stories,ed.by Maxim Jakubowski,Hodder and Stoughtona,2000)
・あの季節がやってきた 'TIS THE SEASON(Socialist Review,291,December 2004,ed.by Peter Mogan,1998)
・ジャック JACK(本書への書き下ろし)
・鏡 THE TAIN(PS Publishing,2002)
・前線へ向かう道 ON THE WAY TO THE FRONT(本書への書き下ろし)
(画:ライアム・シャープ)
謝辞
訳者あとがき 日暮雅通
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ホラー・ファンタジー色の強いSF短篇集。収録作の多くが主人公の体験する恐怖のみが濃厚に描かれ、その原因や結末は語られぬまま読者に委ねられている。この独特な味わいが個人的にはかなりツボ。どれも面白かったけど、お気に入りは「ある医学百科事典の一項目」「仲介者」「あの季節がやってきた」かな。
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なんで買ったのかよく覚えていない
短編集としては可もなく不可もなくといった感じ
意外にホラーっぽいのが多かった
設定やコンセプトが面白いものはいくつかあるけど、わかりにくい。
わかりやすいものはホラーっぽいもの
読み終わってからも、なんで買ったのかな?と思った
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すごいふしぎな短編集。
ぞっとするものにやっとしてしまうもの、さまざま。
「あの季節がやってきた」が好きかな。
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異世界の一情景すっぽり切り取ったような作品集。
だから、オチがないものが多い。
ドタバタ風の寓話『あの季節がやってきた』が一番読みやすいか。
ただし、あの異様な世界にはまると、どっぷりとはまり込んで抜けられません。
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今一つ入り込めない。のは、描写されてない部分が広いからなのか。そこに自分の想像が至ってないだけかも。
ふわふわと薄暗い。
「基礎」がひたすら怖い、というか怖いで片づけちゃいけないんだろうが。生きてることが憂鬱になりかける。
「細部に宿るもの」が。なんとなくいつもやっていることを言葉で表現されて、読んでうっすらと衝撃。
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短編集。面白かった。
特に「都市」というものだけを題材にしているわけではないのだが、しかし物語の基盤にはいつも、街や都市というものの存在の曖昧さや、街や都市がその内部に宿している何かに対する恐れのようなものが潜んでいるように思う。
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13 の短・中編と、ひとつのコミックからなる作品集。
真相のわからない物語は、結構つらい。
手暗がりで不気味な非現実性に浮き足立つ。
「鏡」
2003 年 ローカス賞ノヴェラ部門受賞作品。
「ロンドンにおける“ある出来事”の報告」
2005 年 ローカス賞ノヴォレット部門受賞作品。
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都市と都市を読んで興味を持ったので購入。
私が読んだことある中ではラブクラフト的、マシスン的な印象
「仲介者」「飢餓の終わり」あたりの日常と狂気の境は面白いが、
全体的に分かりにくいところもあり他人にはお薦めしない。
他作品との関係は掴みきれないが「ジャック」は
『お祈り』と出てきた時点でPraying Mantisが浮かび
その通りだったので思い描きやすかった。
叔父は「拝み太郎」に拝まれたら死ぬと教えられていて
今でもPraying Mantisが嫌いなことを思い出した。
拝まれて死ぬか、死者を祈るか、そんな解釈。
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短編集は身がしまっていて好き。長編は丁寧に作られてるから好き。中編はしまりも丁寧さも曖昧であんまり得意じゃない。
というわけで力作っぽい鏡は楽しめなかった。使い魔とかある医学百科事典の~とか表題作とかは好きだな。表題作は余韻のための作品で面白かった。合う合わないがすごいはっきりしてしまう作品集。
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SFや幻想小説が詰まった短編集。個人的には少し異端だけど「使い魔」が好き。ただ、出来不出来が激しい気がする。
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いや~思った以上に楽しめました。SFというより仄かなホラー(シュールさもあり)を彩った幻想小説、と言った方がしっくりきます。いろんな世界観を描いていてそのひとつひとつが異形たちの物語で、これがたまらなく魅力的。グロテスクな場面と共に、異形たちの息づかいがすぐそばで感じられるような描写に引き込まれます。物語の不確定さ、歪んだ世界の不安定さがまとわりつく感覚。不気味さを感じながらも離れがたい感じが好き。お気に入りは「ジェイクをさがして」「基礎」「ボールルーム」「使い魔」「仲介者」「もうひとつの空」「鏡」。(2010年12月読了)
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異世界からの侵略。しかしこの短編集の中でフォーカスされている主人公の多くはそれに立ち向かうヒーローではなく、その事態の中でときに端役、ときに傍観者ですらあり、それ故の葛藤/混乱/苛立ち/諦観/疎外感/無力感が切なく描かれる。そして主人公、ことごとく孤独。というのが14編中の半分以上。こういうの好き。と言いつつ思いっきり立ち向かおうとしちゃう『もう一つの空』もお気に入り。「ネクタイだった。」の脱力も楽しかった。『鏡』は、訳の所為か原文からなのか、なんだかリズムが合わない感じでいまいち入り込めなかった。残念。
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『ペルディード・ストリート・ステーション』を読み終えて、私はミエヴィル中毒になった。これはミエヴィルの短編集。『ペルディード』ふたたび、と思っていると、やはりちょっと違う。彼はホラーとかウィアードの作家ということになっており、そういう掌編が並ぶ。マンガも。
何だかダメになったロンドンでジェイクと別れた話。建物の基礎の声を聴く男。デパートのボールルームの怪異。魔法使いの使ったスプラッタな使い魔の行状。ある言葉を聞くと脳の一部が蠕虫状になって脳を食い荒らしてしまう病気についての医学事典の記載。クリスマスのあらゆる細部が商標登録されてしまったロンドンのお祭り騒ぎ。外界の線が相貌になって迫ってくることから逃れようとする老婆。などなど。
いずれも奇妙な話だが、現実世界に悪魔が登場するような類のホラーではない。森永のコマーシャルに「誰もいないと思っていても、どこかで、どこかでエンゼルが」という歌があったが、これ、改めて考えてみるととても不気味な歌であって、ミエヴィルの不気味さも日常に天使が浸透してくるような不気味さである。福山庸治の『臥夢螺館』というマンガを思い出した。そういえば『ペルディード』もそんな天使(?)が解き放たれたことで話が進んでいく。
そしてオチがないのも特徴。
『ペルディード』の終盤にかけて、苦しい戦いを強いられる主人公たちが見守るなか、突然、敵方の中に現れて、彼らと言葉を交わすこともなく、何だか解らないが手助けしてくれる「お祈りジャック」。曲者揃いの『ペルディード』の登場人物の中でも最高にファンキーな彼を扱った「ジャック」だけが、ニュー・クロヴゾンを舞台にした作品だ。
最後に「鏡」という中編が収められている。鏡の向こう側で長年、人間のまねを強いられてきた存在が、自由を求めてこっちに飛び出してきて崩壊したロンドン。どうやら「ジェイクをさがして」と同じ舞台らしい。
この不気味な手応え。
しかしやはり長編が読みたいと思ってしまったことも事実。
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どれもオチがすっきりしないのだが、これは良い不条理感!
表題作:滅びていく世界の不気味で無気力な感じと、その中で主人公が彷徨っている夢のような感覚がとても好き。ラストも、全然理屈になっていないのだがなぜか主人公が納得しているというのが夢の中の思考みたいでおもしろい。
ボールルーム:途中まではベタなホラーだったが、ラストがよくわからず混乱。夫にも読んでもらったら、「もともと家族客を呼び込むために、オカルト的な手段でボールルームに子供を集めており、その術が暴走して幽霊を呼び込んでしまったのではないか」という解釈で、納得。
基礎:これもオチは投げっ放しだが、一応わかる。意図的に事故を起こして地中の死者たちに生贄をささげたつもりが(ホラーで死者が生きている人間を呪い殺したりするから、この発想はそんなに唐突ではないと思われる)、全然効果がなかったということだな。塹壕にコンクリートを流し込んで埋め立てていくシーンの悪夢感が良い。印象としては明るくて静かなのだが、静かな狂気と絶望が感じられる。
道路が戦うやつ:これはあまりビジュアルイメージが想像つかなかった。道路がいつの間にか入れ替わっているというところは面白い発想だと思ったのだが。
使い魔:色んな廃棄物や動物の体の一部を使って自分の体を作っていく描写が、単に悪趣味なグロさではなく、なんか知的というか…。この作者のこういう雰囲気が好き。
窓:これも発想はおもしろい。でもオチの印象がうすいかな。
クリスマスのやつ:発想がおもしろい。ラストで、子供たちがネットで独自に進化しているのは、大人から見るとちょっと怖くもあり、希望が持てるようでもあり、という感じで後味は悪くなかった。
ゲーム・ネットオタクの友人の話は、募金サイトの偽善的でむかつく感じはリアルだが、それと真剣に戦う友人のエキセントリックな感じが良い。
鏡:うーん…いまいち、モノローグの言葉遣いがわかりにくくて頭に入ってこず、あまり楽しめなかった。ガラスの鏡と水面の違いが鍵になるのか?とおぼろげながら思っているが、全然理解できてない。落ち着いたら再読してみようかな。