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売られていく経緯が実話である「吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日 (朝日文庫)」に酷似していて、小説とは思えません。
幸いにして「吉原花魁日記」のようなことは日本では亡くなったけれど、こちらは現在のこと。売られるのが12・3歳の子どもだというのも痛ましい。
主人公のラクシュミーは、幸運にもわずかながら読み書きを覚えることができ、ノートに記録をとりながら、暗黒の暮らしを生き延びます。「学ぶこと」がラクシュミーを支え、その心が壊れるのを防いだのです。
だけど、ラクシュミーの本当の望みは、こんな物語の主人公にならないことだったと思います。
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貧しい生活にも楽しみを見出し、けなげに生きるネパールの少女ラクシュミー。ある日継父に売り飛ばされるが、最初は自分の身になにが起こったのか、わからない。自分が13歳の少女だったとしたら、当然だろう。金持ちの家で下働きをすることになると思っていたラクシュミーが、売春宿に売られたことを知るシーンは衝撃的だ。抵抗するラクシュミーは薬を飲まされ、無理矢理働かされる。
貧困と人身売買、女性蔑視などの厳しい現実が、胸に迫る。
希望がないように思えるなかでも、小さな楽しみを見つけ出し、勇気をふるい起こすラクシュミー。最後のシーンはぐっときた。
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ほんとうに、ほんとうに、重いテーマ。
作中に「ベッカムくん」が出てこなければ、
何十年も前の話だろうと、思ってしまったと思うけれど、
この舞台は、現代。
けれど、おなじ重い現実を正面から描いた物語として、
先日読んだ、戦争の物語より、わたしは、こちらのほうが、よかった。
作者の、どうにかしたいという、強い意志を
しっかり、感じました。
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ネパールの小さな山村から、インドの売春街に売られてしまった13歳の少女の話。重いテーマだけど、ページを繰り始めたら止まらず最後まで一気に読んでしまった。
フィクションとはいえ、実在の人物の体験に基づいて書かれている。この本を読まなければこんなに恐ろしいことが現在の世界で日常的に起こっているとは思えなかった。
訳者の代田亜香子さんは訳者あとがきでこう語っている。「正直、これほどの胸の痛みと、ある種のあせりを感じながら原書を読んだのは、初めてです。読み終わったとき、ぜったいに日本で出版されるべき作品だと確信しました」
たくさんの人に読んでもらいたい本。
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(2011.01.14読了)(2011.01.06借入)
2010年11月6日(土)の「週刊ブックレビュー」で紹介された本です。
番組のホームページでは、本の内容を以下のように紹介しています。
「ネパールとインドの間で横行する人身売買の、衝撃的な実態を取材した物語です。ヒマラヤ山脈を望む小さな村。13歳の少女・ラクシュミーは、貧しさゆえ、街に働きに出されることになります。女中奉公だとばかり思い込んでいた彼女でしたが、連れて行かれたのは薄汚れた売春宿。故郷から遠く離れた都会の片隅で、想像を絶する地獄の日々が始まります。今この瞬間も続いている悲惨な現実。感受性豊かな少女のまなざしが、読む者の胸をえぐります。」
これ以上の紹介文は、簡単には書けませんので、借用させてもらいました。
アメリカのジャーナリストが、関係者に取材して、物語として作り上げた本です。登場する人物は、実在の人物ではありませんが、実際にあった幾つかの人物の話を組み合わせて構成し直した話ですので、訴える力はあります。
一人の少女、ラクシュミーが綴った形で書かれていますので、読みやすいのですが、内容は悲惨です。
インドには、カースト制度があって、不可触民が警察に訴えても相手にしてもらえない、という話を読んだことがあります。この本では、アメリカ人が、救済団体として登場します。インドも経済成長により、社会も変化してきているのかもしれません。
具体的な国の名前や都市の名前が書かれていませんが、主人公がそのような知識をもっていないからなのでしょう。僕も、あとがきを読んで、どこの話なのかを知りました。
物語の中で、ラクシュミーの同僚が、売春宿での借金をすべて返し終えて、自分の家に帰る話が出てくるのですが、自分の家に帰ったら一家の中に恥ずかしい仕事をしたものが一緒にいるのは、世間に恥ずかしいから帰ってくるなといわれて戻ってきた、ということが書いてありました。家族のためにと自分を犠牲にしたのに、その家族に拒否されてしまうという悲惨、やり切れない思いです。
●足し算と引き算(104頁)
いろいろ計算してみた。毎晩6人の男を部屋に連れてきて、一人30ルピーずつ払っていくとしたら、一日で180ルピー分、あたしが家に帰れる日が近くなる。あと百日働けば、ムムターズに借りてる二万ルピーはほとんど返せるはずだ。すると、シャハンナが街の引き算を教えてくれた。男たちが払うお金の半分は、ムムターズのものになる。それから、ムムターズが毎日の食事代として請求する80ルピーを引かなきゃいけない。他にも、ベッドと枕を借りるお金が週に100ルピー、妊娠しないように月に一度あやしげな医者に打ってもらう注射代が500ルピー。
(引き算の分を考慮したうえで、計算してみると毎晩6人では、借金が増えるばかりになるので、最低8人は必要そうです。)
●警官もぐる(112頁)
「警官ならほんとは、ムムターズみたいな人が女の子を売るのをやめさせるはずでしょ。でも、ムムターズが毎週お金を渡すから、あの警官は見ないふりをしているの」
●信じてた(173頁)
何を信じればいいのかわからない。ふわふわした黄色い服を着たよそのおばさんがあたしを街で女中として働か���てくれるんだって、信じてた。夫のおじさんが街の悪い人たちから守ってくれるって、信じてた。「しあわせの家(売春宿の名前)」で一生懸命働けば借金が返せるって、信じてた。あたしのしてることがみんな、家族のためになるって、信じてた。
(2011年1月17日・記)
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毎年1万2千人近いネパールの少女が、家族によってインドの売春宿に売られているという実態。作者後書きでそれを知って驚愕してしまった。
この本の主人公ラクシュミーは13歳。山の貧しい暮らしを何とか助けたいと思い、町で女中として仕事を紹介するという女性に義父に売られてしまうのだ。しかしお金持ちの家の住み込み女中ではなく、故郷を遠く離れたコルカタの売春宿に売られてしまう。そこでは少女たちは劣悪な環境で、有無をいわさずお客を取らされる。初潮を迎えたばかりの少女には、それが何を意味するのかわからないまま。拒否すれば鞭で叩かれ、抵抗すればもっと酷い仕打ちをうけてしまうのだ。
そんな中ラクシュミーは、言葉を覚え、必死で自分の尊厳を失わないよう努め、保護してくれる人に出会うのだった。こういう現実があることを、まずは受け止め、私は何ができるのだろうと自問することになりそうだ。
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ネパールの山奥で育った少女。
インドの売春宿に売られ、そこでの酷い仕打ちを受けながら暮らす日々。
実態を調査して書かれているので、生々しい文章だけれど、書かれている言葉は優しく、小学校高学年くらいの子でも読める。
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ネパールの貧困層の少女が、インドの売春宿に売られて、そこを出れるまでのお話。
少女の語りで書かれてるから、読みやすいけど、内容はエグイ。。
事実なんだって事が悲しい。
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悲しい現実
いくら取り締まったって
いくら非難したって…
根本にあるモノを変えて行かなきゃ仕方がない
私は無力すぎる…
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今の世界で、こんなことがあっていいのだろうか・・
世界は広すぎて、知らない事がおおすぎる。読むと腹立ちと悲しさとが押し寄せてくるけれど、知らないと前に進まない世界なのかもしれない。たくさんの人が知ることで改善されるなら、きちんと事実を受け止め、自分のできることをしていきたい
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性産業に従事させられる幼い少女たち。
家族からお金と引き換えに、終わりの無い苦痛に沈められ、
年季が開けても親から疎まれて家に帰ることもできない。
非現実的な物語だけど今尚なくなることの無い悲劇だと感じた。
男尊女卑の厳しさや心の摩擦など、まだまだ後進国では消えることの無い負の因習なのだと思う。
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160816 中央 ひこ
ネパールの少女・クリュシュミナ(女神の名)・14歳 継父に売られインド コルカタの売春宿へ。アメリカのシェルターに救出される。年間12000人のネパール人少女がインドへ売られ、世界中で50万人の子どもが性産業に。
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騙されて、言葉も帰り方もわからないインドの売春宿へ売られるネパールの少女。
その数、年間およそ12,000人。
体験談形式で語られる内容は、読むだけでつらくなる。
売春宿での日々の状況もさることながら、売られる前の生活がつぶさに語られ、貧困が及ぼす影響の大きさについて考えさせられた。
痩せ細った母親の骨張った背中をヒマラヤの山に例えたり、乾季や雨季のたびに病気の子供が死んだり、スミウルシノキの樹脂でインクを作る方法を子供に教える一方で母親はそれを飲んで堕胎したり。
男の子は大事にされるが、女の子の扱いはひどい。娘はヤギみたいなものだ、乳が出てバターを作れるうちはいいが、シチューにするときは悲しむ価値もない、と言われる。
ひどい亭主であっても、男手がいるだけまし、と女は絶対服従を強いられる。
女児を売春宿に売るのは、ほとんどが家族や親戚だ。そして、年季が明けて奇跡的に帰ってきた女性を、恥として村から追い返す。
売春宿に売れない場合は、手か足を切り落として物乞いに売る。その方がお金を恵んでもらいやすいから。
根強くはびこる身分制度や男尊女卑、そしてギリギリの生活を続ける貧しさ。これらを解決しないと、悲劇はいつまでも繰り返される。
この本では、主人公にとって希望的な終わり方が提示されたが、読み手の心に重い問題提起を残していく良書。
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読み進めるのが つらかったです
貧困から 売れれた女の子のお話でした
この話がフィクションではない世界があるということに
改めて打ちのめされますね
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つらい話。想像はついたけれど・・・
読んでてきついなあ。
一生懸命生きようとする少女をだまして搾取していく大人たち。
いつの時代だ!って言いそうになるけど、見て見ぬふりをしている、いわゆる先進国の人々。
つい、そこにいなくてよかったって思ってしまうのが恥ずかしい。
今も多くの少女たちが人としての尊厳を傷つけられながら生きている。
やっぱ、つらいなあ。