紙の本
絵本のように挿絵がいっぱい
2023/05/09 14:40
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投稿者:トマト - この投稿者のレビュー一覧を見る
十字軍の歴史を学ぶ前に手にした本でした。
イラスト(挿絵)がいっぱいで想像力を補ってくれる本だと思います。読みやすいです。
そんなに細かく歴史については書かれていませんが、予備知識程度でしたら良い本だと思います。
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本書は、19世紀の歴史作家フランソワー・ミショーの文章にギュスターヴ・ドレが書いた挿絵を塩野先生が解説したもので、今後刊行される塩野先生の『十字軍物語』シリーズの第1巻となるものです。19世紀という人と宗教とが以前ほど密接でなかった時代ではありますが、それでもなおフィルターがかっているのは仕方のないこととはいえ(同時代人と比べたら多分に客観的ですが)、ヨーロッパ人にとって、ないしはムスリム(イスラーム信者)にとって十字軍とは何かという命題の一端をビジュアル的に見せてくれます。
十字軍は、高校世界史では「ヨーロッパ史観」から最も早く脱却した(おそらくキリスト教徒VSイスラームの最も象徴的な事象だからでしょう)項目で、「『コーランか剣か』という言葉はキリスト教徒が敵愾心をあおるためにヨーロッパ人に広めた」というのは世界史教師の定番です。が、我々世界史教員は約200年間・第8次(本によっては第7次)にもわたって発せられた十字軍に参加したキリスト教徒たちの宗教的熱情をどれだけ伝えることができるでしょうか。遠征に失敗したイングランド王リチャード1世やフランス王ルイ9世を獅子心王・聖王と讃え、イスラームと話し合いをして一滴の血も流さず目的を達した神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世の肖像を壊してまわったヨーロッパ人たち、イスラーム側では(アイユーブ朝のサラディンの英雄譚は語れても)助命を条件に降伏したムスリム戦士たちをリチャード1世に虐殺されたイスラーム世界の人びと、キリスト教やイスラームなどの一神教特有の宗教的情熱とは無関係な日本に生まれ育った我々がそれらの感情を伝えるのは至難の業です。
そんなときこういったビジュアル史料があると、イメージがわきやすく、大変参考になります。
我々歴史学科出身の人間は上から目線で「歴史学者ではなく作家」と見てしまいがちですが、「生徒がより興味・関心を持つ方法はどういったものか。」という視点に立って貪欲に、謙虚に教材研究を進めていかなければなりません。
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塩野さんがこれから書く「十字軍物語」の予習版という感じ。しかしギュスターヴ・ドレの絵というのはいい選択ではないかと。ドレの「神曲」も素敵だし「聖書」も素敵。本当に挿絵という範囲の出来ではないと思う。
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文字数の少なさは今後の布石であって、決して140文字の字数制限があったわけじゃないんだからね。
十字軍「イェルサレムなう!」
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Gustav Doreの絵で十字軍の歴史を追っていく。
極めて美しい絵とその解説で構成されており、絵本としては面白いですが書物としてのボリュームが低い上、絵の出来事があった地図はあるのに、地図はあるのに…年代がないという致命的なミス…
益々、イェルサレムに行きたくなる。
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ギュスターヴ・ドレの絵に簡潔な解説と地図で構成された『十字軍物語』の序章。
絵と解説でこれからの『十字軍物語』に対する期待が高まると同時にドレが挿絵を書いた元本であるミショーの『十字軍の歴史』も読んでみたくなります。
他のレビューにも書いてありますが年表が無いのが残念なところです。
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日本ではこのような本は出にくい、編集者の心意気を感じる。続編を期待している。大学時代に中世騎士のことを調べたことがある。その時にこれがあったらよかった。とにかく、全部がでるのが数年かかりそうだ。
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ギュスターヴ・ドレの版画に、簡潔な解説を組み合わせた、十字軍絵巻。一通り重要なイベントはカバーしています。見開きに1エピソードで、それが何処で起きたのかを示す地図もあって便利。この著作は、これから出版される十字軍物語4部作の巻頭、オペラで言えば序曲にあたるものらしい。壮大な物語がはじまりそうな、期待感が湧いてきます。とは言え、この本単独で見れば、少し説明が足りずにもどかしい箇所もあります。ページをめくってイメージを作りながら、これから詳しく語られる物語を楽しみに待ちましょう。
もともとこの挿絵は、19世紀前半のフランソワ・ミショーの「十字軍の歴史」に、19世紀後半になってつけられたものとのこと。私がギュスターヴ・ドレに出会ったのは、旧約・新約の聖書物語でした。ドレの挿絵というだけでも買う価値があると思うくらい、この絵は美しい。臨場感のある壮大な構図、緻密に尽くされた技巧。この本の良いところは、挿絵が主役で、説明が必要以上にでしゃばらないところかも知れません。
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これぞ、大人の漫画。
地図が同じようなものが続くので、そのスペースを利用して、系図、年表など他の資料を挿入してもらえればもっと理解と移入度が増した。
それを差し引いてもドレの圧倒的な版画と、、簡潔で明快な解説(というよりも版画に付随する物語のあらすじ)の融合はお見事。
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本校の図書館から借りた本である。非常に興味深い本が入れられており、これは誇ってよいことである。
十字軍と言えば世界史の授業で知って以来、その存在や内容について関心を持ってきた。しかし、それ以上の知識があるわけではなかったが、この本によってその内容やその歴史、悲しみや栄光等々を理解することができた。
ギュスターヴ・ドレの挿絵を復刻し、それに短い場面解説文と地図とを載せて2ページ構成とされたこの本は、十字軍の実態や人々の思い、その悲しみなどを非常にリアルに、わかりやすく伝えてくれる。これは絵の持つ力と短文ながら適切な解説がもたらした効果だろう。また、筆者が言うように、地図の存在も話を立体的にしてくれる。人々が歩いたその苦労が目に見えるようだった。
大変おもしろい本で、おすすめである。
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十字軍の長く疲弊したその歴史を、短い文章と細密に描かれたペン画とで見事に解説、しかもそれぞれの地図に現在地もマークするなど、画期的な歴史書になっていてわかりやすい。ギュスターヴ・ドレのドラマチックな挿絵が、偏りのない文章によって一層生かされているのではと感じられた。面白い試みの本だった。
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これ意外なことに、塩野さんの作品に関する挿絵とかじゃなくて、十字軍の絵本を翻訳したものだった。全部絵で少し説明と、その出来事のあった所の地図がついてるから、十字軍がざっとどんなものかイメージするのに良い資料。面白かったし、文だけではわからないイメージしにくい部分の補充になった。
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宗教の名のもとに起こされる戦争、十字軍。
自然科学が発達する以前、我々の常識は宗教であって聖職者が許せば殺しも許されたのです。
この本は本文と地図を脇役に、キリスト教とイスラム教の双方に平等なタッチの絵が主役です。
とても理解に助かりました。
今ではキリスト教によるそれは見られませんが、現代人にも大きく関わる歴史でしょう。
なぜなら、イスラム過激派による“ジハード”は終わっていないのですから。
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塩野七生さん十字軍四部作の第一作目。絵と地図の分かりやすい入門書との触れ込みだが、塩野さん自身はこの第一作をオペラでいうところの序曲と考えている。「幕が降りている前で演奏される序曲が終わると幕がするすると上がり、第一幕が始まると言う具合だ」。その通り次の幕をわくわくしながら楽しめる作品となっている。
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あっという間に読み終わった。簡潔な文章ながら実に分かりやすく、なおかつあっさりではなく深い文章。今まで「ローマ人の物語」ではなんだかまどろっこしい言い方で苦手だったが、これくらいならいける。なんといってもドレのイラストが素敵。これを読んで確かに「十字軍の物語」を読んでみたくなった。